By See-ming Lee

朝一番からフルパワーで働ける人から、お昼になってやっとエンジンがかかってくる人、さらには「夜中にならないとノって来ない」という人など、1日の中でその人が最も活発に動ける時間帯にはバラつきがあります。原因は人ごとに異なる「体内時計」に起因するものなのですが、その影響は脳の記憶力にも及んでいます。

It's Okay That You Don't Like Mornings--Your Memory Probably Doesn't Either - Scientific American Blog Network

https://blogs.scientificamerican.com/mind-guest-blog/its-okay-that-you-dont-like-mornings-your-memory-probably-doesnt-either/

ロンドンサウスバンク大学のSchool of Law and Social Sciences(法・社会科学部)で上級講師を務めるジュリア・ショー氏は、朝イチの時間帯とお昼過ぎの14時から16時の時間帯に最も能率が下がることを自覚しているとのこと。その原因を単なる「やる気」の問題として片付けるのではなく、ショー氏はカナダ・サイモンフレーザー大学の博士課程で研究を行っているアンドレア・スミット氏の協力を得て原因を考えることにしました。スミット氏は睡眠と周期的神経科学の分野に関する専門家で、ショー氏の記憶能力が1日のある時間帯において極端に下がる理由を探りました。

人間の体には、人それぞれの体内時計、または生物時計が備わっており、睡眠や活動のリズムをつかさどっています。スミット氏はこの生体時計によって「その人が『朝型人間』か『夜型人間』なのかが決められている」と語っています。スミット氏は脳波を測定することで体内時計と記憶の相互関係を研究しており、1日の中で極端な生体時計に関するテストを実施することで、朝型人間と夜型人間の人たちの集中力や視覚的な短期記憶に生じる違いを検証しています。

そこで判明したのは、予想どおりというべきか、午前中の夜型人間は集中力と短期記憶の両方の項目が最悪の状態に陥っていたという事実だったとのこと。スミット氏は「私たちの研究からは、生体時計によるリズムが脳の記憶能力のごく初期の段階から影響を及ぼしていることがわかります」と語っています。ショー氏はこれを聞いて「我が意を得たり」という様子で、隣に座っている同僚から生産性の低さを指摘されたとしても「これはダラダラしているのではなく、私の脳の『気を散らせる情報を抑制する能力』に問題があるからなんです」と答えることにしたそうです。



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夜型人間であるショー氏は、睡眠を多く採るタイプの人でもあるとのこと。ひとたび昼寝に入り、アラームをセットし忘れていたりすると、いとも簡単に12時間以上眠ってしまうほどのショー氏ですが、スミット氏の研究はこれを説明する内容になっているとのこと。スミット氏によると「研究結果からは、記憶能力は睡眠を終えた直後の段階で最も高くなること、そして睡眠が妨害されると、脳の記憶が長期記憶の領域に移動されるプロセスが悪影響を受けることがわかっています」とのこと。これは、テストや会社の重要なプレゼンテーションなどを控えて知識や情報を頭に詰め込む必要がある人にとって、十分な睡眠を採ることが重要であることを意味しているそうです。特にこの傾向は10代の若者に顕著に見られるとのことで、スミット氏は「学校が始まる時間は、青年期の若者にとっては早すぎ、学業のパフォーマンスに影響を与えています」と語っています。

さらに人間など動物の脳は、睡眠中に昼間の記憶を整理して必要な記憶だけを抽出する働きを行っていること、そして睡眠により脳内の老廃物が除去され、アルツハイマー病を引き起こすとされるタンパク質を排出する働きがあることなどもわかっています。睡眠は動物にとって非常に重要な行為です。「なぜか朝は仕事が進まないな」と感じたり、「夕方になるほど自分はパフォーマンスが上がる」というのは、単なるやる気だけの問題ではなく、自分の生体リズムに密接に関わる部分もあるということを理解しておくことも重要といえそうです。



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