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グンゼは2月10日、京都大学iCeMSと共同で、ヒトES/iPS細胞の大量培養を可能にする、「布」を足場とした細胞培養基材の開発に成功したと発表した。

同成果は、同社ならびに京大iCeMSの陳勇 特定拠点教授、亀井謙一郎 iCeMS特定准教授、劉莉 特定拠点助教らによるもの。詳細は、オランダの科学誌「Biomaterials」に掲載された。

ヒトES/iPS細胞は再生医療や創薬などで活躍する細胞として期待されているが、これまでの培養皿やフラスコを用いた2次元(平面)の細胞培養では、実用化する際に必要となる数(1人あたり109-10個)を得るためには、培養皿では1000枚以上が必要となるなど、十分な細胞数を得ることが難しいという課題があった。また、大量細胞培養法として近年着目されている、液体に細胞を浮遊させる培養法では、不規則な細胞凝集や撹拌による細胞ストレスが品質に影響を及ぼすことが課題となっていた。

そこで本研究グループは今回、フィルタなどの分野などで実用化されている300nm程度の細さを実現したナノテク技術「ナノファイバー」を細胞の人工的な足場として用いる手法を考案。ポリグリコール酸を素材としたマイクロファイバーとゼラチンナノファイバーを組み合わせた布のように培養したままピンセットなどで持ったり折り曲げたりできる新たな培養基材「Fiber-on-Fiber(ファイバー・オン・ファイバー)」を新たに開発することで、実用に耐えうる物理強度を実現したほか、この基材をガス透過性のある細胞培養バッグに封入することで、細胞にストレスをかけずにヒトES/iPS細胞を大量培養できることを確認したという。

具体的には、1週間で細胞数が40〜50倍以上に増加していることを確認したという。

なお、研究グループでは、今回の成果について、今後の組織工学や再生医療の発展につながることが期待されるとコメントしているほか、ヒトES/iPS細胞だけでなく、さまざまな接着系の細胞を細胞を大量培養するために基材としても利用されることが期待されると説明している。また、同基材は、ヒトES/iPS細胞からの分化誘導にも使用できる可能性もあるほか、細胞移植用の基材としての可能性もあるとしており、すでにその実用化に向けた取り組みを進めているとしている。