日米首脳会談での安倍晋三首相(左)とドナルド・トランプ大統領(右)(写真:ロイター/アフロ)

写真拡大

 2月10日、日本の安倍晋三首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領による初の日米首脳会談が行われた。

 2人はワシントンD.C.のホワイトハウスで会談を行った後、大統領専用機「エアフォースワン」に搭乗してフロリダ州に移動。トランプ大統領の私邸「マール・ア・ラーゴ」でゴルフや夕食をともにしたことが報じられた。

 会談後の共同記者会見などでは、これまで日本批判も繰り返してきたトランプ大統領の強硬姿勢が鳴りを潜めたように見えたことで、メディアには「巧妙」「罠」などの文字も躍るが、経済評論家の渡邉哲也氏は「アメリカ側はこれまでにない大歓待で日本側をもてなし、会談は大成功に終わったといっていい」と語る。

「会談の成否を計る指針として、会見および共同声明の有無がある。共同声明、共同記者会見、個別記者会見の順番で成功となるが、今回は共同記者会見が行われた上に共同声明が出されており、非常にうまくいったということを世界にアピールした。また、共同声明には『今後、日米は国際社会で完全に連携して動く』という姿勢が明記されている。

 そもそも、エアフォースワンは非常時の司令塔になるものであり、内部などは完全な機密事項。核の発射ボタンも搭載されているといわれており、同乗させること自体が最上級のもてなしである。これは、対中国における日米の安全保障の連携を強調するものであったといえるだろう。さらに、別荘というプライベートな場所に招いたことは、『個人的にも親しい関係を構築していく』というアピールにほかならない」(渡邉氏)

 外務省発表の共同声明には「両首脳は、上記及びその他の課題を議論するための経済対話に両国が従事することを決定した。また、両首脳は、地域及び国際場裏における協力を継続する意図も再確認した」とある。これが、渡邉氏の言う「国際社会で日米が連携するという意思表示」というわけだ。

●トランプが破壊したメディアの「日米分断工作」

 今回の会談では、2人が笑顔で握手したりゴルフ場でハイタッチしたりする写真が、トランプ大統領のツイッターを通じて多数公開された。これについて、渡邉氏は「異例であり、意図的。両者の親密さを強くアピールした背景には、メディアが画策してきたトランプ大統領に対するネガティブキャンペーンや日米分断工作に対抗するという目的があるだろう」と見る。

「アメリカをはじめ、各国のリベラル系メディアは『トランプが国際社会で孤立している』『日米の安全保障に懸念』などと連日のように煽ってきた。しかし、今回の“仲良しアピール”によって、いわば実態と報道の内容が乖離してしまうことになる。これこそがトランプ大統領の狙いであり、一部のメディアによる日米の分断工作は失敗に終わったといえる。

 また、トランプ側とすれば、日英を抱え込むことで他国の反発を押さえ込みたいという思惑もある。トランプ大統領は、最初の首脳会談の相手にイギリスのメイ首相を選んで英米関係の強化を世界にアピールした。そして、今度は日本との関係強化を強く訴えたわけだが、これによってG7(先進7カ国)の中でも特に影響力の強い英米日の3カ国が連携することになり、それは同時に他国に対する抑止力になる。だからこそ、必要以上に親密さがアピールされたわけで、すべては用意周到かつ計算の上で行われたものだろう」(同)

 トランプ大統領は、年内には来日する意向があるという。今後の日米関係は、さらに世界の注目を集めることになりそうだ。
(文=編集部)