日米首脳会談では「尖閣諸島に日米安保条約適用」が共同声明に明記されたが、前日にトランプ米大統領は中国の習近平国家主席と電話会談。「一つの中国」の原則を尊重すると表明した。今回の首脳会談の“陰の主役”は中国だった。

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2017年2月13日、安倍晋三首相とトランプ米大統領による日米首脳会談の“陰の主役”は中国だった。会談後の共同声明には、中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されることを明記。一方でトランプ大統領は日米会談の前日、中国の習近平国家主席と電話会談し、「一つの中国」の原則を尊重する考えを伝えた。

共同声明は「日米同盟」について、「核および通常戦力の双方による、あらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎない」と指摘。「(米国の防衛義務を定めた)日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認した」とした上、「同諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」「東シナ海の平和と安定を確保するための協力を深める」とも明記した。

さらに、中国名指しこそ避けたものの、「日米両国は威嚇、強制または力によって海洋に関する権利を主張しようとするいかなる試みにも反対する」と、けん制。「関係国に対し、拠点の軍事化を含め、南シナ海における緊張を高め得る行動を避け、国際法に従って行動することを求める」と強調した。

首脳会談でトランプ大統領は選挙中に触れた在日米軍の駐留経費負担増を封印。会談後の共同記者会見では米軍駐留を受け入れている日本国民に感謝する言葉まで付け加えた。

一方でトランプ大統領は安倍首相との会談前日の9日、電話会談で習主席が「一つの中国」の原則を尊重するよう求めたのに対し、「同意する」と表明。大統領就任前に示唆していた「一つの中国政策の見直し」をあっさり引っ込めた。

中国メディアによると、習氏はトランプ氏の表明を「『一つの中国』の原則は中米関係の政治的土台だ」と称賛。「中国は米国と共に意思疎通を強め、協力を拡大し、中米関係の健全で安定的な発展を推進していくよう努力したい」と応じたという。

トランプ大統領は共同記者会見でも、中国との対話を進める意向を示し、「中国とはとてもうまくやっていける。これは日米中、地域の全ての国に良い結果をもたらす」と述べた。こうしたトランプ氏の対応について、英紙フィナンシャル・タイムズは「米国の安倍氏厚遇による副作用を減らす意図がある」と報じている。

しかし、「尖閣に安保」や「一つの中国」堅持は、これまでの米国の政策を追認しただけ。特に中国にとっては、大統領就任前の「不規則発言」による「失地」を回復したにすぎない。オバマ前大統領は13年6月、国家主席に就任したばかりの習氏をカリフォルニア州の保養地に招いて厚くもてなした。対照的にトランプ大領は今回、安倍首相との蜜月ぶりをわざわざ演出してみせた。中国は「予測不能」のトランプ政権に引き続き、強い警戒感を抱いているとみられる。(編集/日向)