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トランプ大統領が特定の7カ国からの移民・難民のアメリカ入国を制限する大統領令に署名したことで、数百人の対象者が空港で身柄を拘束されました。この移民政策に対してはシリコンバレー各社が反対の声を挙げ、連邦裁判所が一時的差し止め命令を出すという異例の事態に発展しているのですが、騒動のさなかでチリ旅行から帰国したアメリカ生まれのNASA職員までもが空港で身柄を拘束され、さらにiPhoneのロック解除を強制されていたことがわかりました。

How to protect your data when traveling internationally - The Parallax

https://www.the-parallax.com/2017/02/09/protect-data-traveling-internationally/

A US-born NASA scientist was detained at the border until he unlocked his phone - The Verge

http://www.theverge.com/2017/2/12/14583124/nasa-sidd-bikkannavar-detained-cbp-phone-search-trump-travel-ban



アメリカ生まれでアメリカ国籍を持つNASAのジェット推進研究所の科学者であるSidd Bikkannavar氏は、オバマ政権下の1月15日に南米旅行に向けてアメリカを出国し、トランプ政権発足後にチリ・サンティアゴから帰国し、テキサス州のジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル・ヒューストン空港に到着しました。しかし、Bikkannavar氏はトランプ大統領の入国制限命令の影響で入国が認められず、別室に呼ばれアメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)に身柄を拘束されたとのこと。



Bikkannavar氏はジェット推進研究所の職員であることを説明しており、問題のないアメリカのパスポートを持っていただけでなく、入国審査を事前に行えるCBP発行の「グローバルエントリー」にも登録していたにも関わらず、入国が認められなかったとのこと。CBPの職員はBikkannavar氏に「電子機器の検査」と書かれた書類を渡し、ジェット推進研究所から支給されていたiPhoneの内部情報を確認する必要があると説明しました。一方で、iPhoneはNASAの業務的な機密データが入っていたため、Bikkannavar氏は「会社支給のiPhoneを外部に公開することは許可されていない」と、入国審査に非協力的に見えないよう慎重に説明したものの、頑なにiPhoneのパスコードの提示を求められたとのこと。

CBPの職員は「電子機器を調べる権限がある」と説明を続け、さらなる拘留やiPhoneの押収についても言及したため、最終的にBikkannavar氏はiPhone本体とパスコードをCBPに引き渡すことに合意しました。CBPの職員はiPhoneを持ち去り、30分後に戻ってきたとのこと。この間にiPhone内のどんな情報が調べられたのか、何をコピーされたのかなどはわからず、Bikkannavar氏はCBPがチェックした状態のままNASAのIT部門に持ち込むため、iPhoneを受け取ると同時に電源を切ったそうです。

ようやく入国が認められたBikkannavar氏はNASAに向かい、上司に一連の騒動を報告しましたが、機密情報を含むiPhoneを外部に公開したことに対してどのような措置を受けるかは分かっていないとのこと。なお、Bikkannavar氏が入国制限を受けた理由について、「危険物を持ち込んでいる可能性があるため」と説明されたそうですが、入国審査の際に一度も荷物を調べられていないそうです。Bikkannavar氏がアメリカ人にもかかわらず、電子機器のチェックまで求められた理由はわかっていませんが、Bikkannavar氏は「自分の名前がインド由来だからではないか」と推測しています。