五輪出場の枠取りがかかる3月の世界選手権ヘルシンキ大会。その前哨戦となる四大陸選手権が、来年2月の平昌五輪本番会場となる江陵アイスアリーナで16日に開幕する。欧州勢が出ないこの大会、女子の表彰台争いは日本勢と北米勢がしのぎを削ることになる。

 日本にとっては残念なのは、全日本選手権で3連覇を達成した宮原知子が、左股関節の疲労骨折のため、四大陸選手権と続く冬季アジア大会を欠場することになったことだ。全治4週間ということだが、宮原は昨年12月のGPファイナルの前から、痛みを抱えながら大会に出場して結果を残してきた。

 宮原は昨季の四大陸選手権で、自己ベストを更新して初優勝を飾っている。相性のいい大会だけに、欠場はやむにやまれぬ決断だったのだろう。平昌五輪で3つの出場枠を確保するためには、日本の女王として世界選手権に出場して表彰台を死守する役割を担う必要がある。そのための治療優先だったに違いない。


全日本選手権で2位となり、四大陸選手権に初出場する樋口新葉 そんな緊急事態の中、全日本2位の樋口新葉と3位の三原舞依の若い2人には、初挑戦となる四大陸選手権で、世界のファンやジャッジに猛烈なアピールをするような演技をしてほしいところだ。

 16歳の樋口は、痛み止めを飲むほどの痛みを右足の甲に抱えていながら全日本に出場。強い気持ちで演技をやり通し、2年連続の表彰台に上って四大陸選手権、世界選手権の日本代表の座を掴んだ。この1年の急成長ぶりはめざましく、課題の表現力にも磨きがかかりつつある。スピードに乗った高さと幅のある得意のジャンプが決まり、安定してミスのない演技ができれば、優勝争いに加わってくるだろう。

 樋口は全日本の後、1月のアイスショーに出演した以外は、負傷した右足の治療に専念。代表になった四大陸選手権と世界選手権の2大会に照準を合わせてきた。大舞台に期するものがあるはずだ。

 三原にも表彰台に立つチャンスがある。シニアデビューとなった今季は、GPシリーズ第1戦のスケートアメリカで堂々の3位に入り、鮮やかな初陣を飾った。GP2戦目の中国杯では4位だったが、ここでもあと一歩で銅メダルを手にできるところだった。欠場する宮原のお株を奪うような「ミス・パーフェクト」ぶりを発揮すれば、表彰台の一角に立つ力は十分にある。

 全日本の後は年明けのアイスショーに出演、1月下旬からは2週連続で試合に出場している。全国高校総体ではショートプログラム(SP)2位から、フリーではノーミスの演技を見せ、高2で初優勝を遂げた。一方、長野で行なわれた国体の少年女子では、またもSPは2位発進ながら、フリーでは世界ジュニア代表の白岩優奈の後塵を拝して4位と沈み、総合3位に終わっている。

 世界選手権代表になっても三原は「自分の実力はまだまだ足りない」と、浮かれた様子は微塵もない。初出場の四大陸選手権ではしっかりと結果を出して自信をつけ、世界選手権での飛躍の足掛かりを作ってもらいたい。

 宮原に代わって出場する3人目の代表には、昨年末の全日本で5位に終わって悔し涙を流した本郷理華が選ばれている。今季の前半戦の不振を一新するような演技を見せて、復調をファンやジャッジにアピールできるかどうかが注目される。

 20歳の本郷には、このチャンスを生かさないわけにはいかない事情がある。10代の有望選手が目白押しの日本女子。来季は彼女たちが続々とシニアに参戦してくる予定で、その勢力に対抗しなければならないのだ。全日本の結果を見ても、五輪代表の座が危ぶまれる位置に追い込まれた格好になっている。過去2回の四大陸選手権では連続して3位となっており、今回も表彰台を狙っているはずだ。
 
 そんな日本勢の前に立ちはだかる壁となりそうなのが、今季、好調なケイトリン・オズモンド(カナダ)だろう。GPの2大会は連続2位、GPファイナルでは4位。カナダ選手権では優勝を飾って代表の座を射止めた。SPで好位置につけてもフリーでミスが出るなど、まだ演技に波のある彼女だが、シーズンも後半戦に入って安定感が増してくれば、怖い存在の筆頭になる。

 また、急成長を見せて上位争いに顔を出しそうなのが、新全米女王のカレン・チェンだろう。17歳の若さで、勢いに乗ったら強敵になる可能性もある。そしてアメリカでもうひとり気になるのが、今季のスケートアメリカで2位になった容姿端麗なマライア・ベルだ。全米選手権で3位に食い込み、代表切符を手にした20歳。基本に忠実なしっかりしたスケーティングが持ち味で、癖のないきれいなジャンプを跳ぶ。初出場の四大陸選手権でどんな演技を見せるか、注目のひとりとして挙げておきたい。

 いずれにしても、日本勢3人が自ら思い描いた演技を存分に発揮すれば、表彰台に立てる可能性は十分ある。平昌五輪の会場で滑ることにより、本番のひのき舞台に戻ってくるイメージを作り、次なる目標の原動力にしてもらいたいもの。今回の四大陸選手権は、新しい風が吹きそうな予感がする。

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