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SAPジャパンは2月10日、都内で記者会見を開き、保険会社の業務を包括的に管理できるソフトウェア「SAP for Insurance」を国内において提供を開始すると発表した。

新ソフトウェアは新規契約や契約管理、保険支払、請求、会計、リスク管理、資産運用などのあらゆる保険業務を包括的に管理できる製品となり、「基幹業務」「リスクと会計」、マーケティングや販売などを担う「カスタマー」の各ソリューションで構成されている。商品や顧客などのデータを横断的な管理を可能とするほか、SAP HANAをベースにすることでデータをリアルタイムにつなげ、提供形態にはオンプレミス型とクラウド型を用意している。

説明を行ったSAP ジャパン ソリューション統括本部 デジタル&インダストリーソリューション第一部 部長の織田新一氏は「新製品はS/4 HANA、ERPのソリューションの網羅性(システムのシンプル化)、顧客志向のアーキテクチャ(顧客体験の向上)、デジタル化への対応(変化対応力の向上)が特徴となる」と述べた。

同氏は「現状の保険会社の基幹業務システムは、メインフレームベースの手組みシステムやポイントソリューションだが、運用・保守費用が高いほか、複雑なため迅速な変化に対応しにくいといった課題がある。われわれの基幹業務システムはポイントソリューションではあるものの、顧客中心のビジネスプロセス、デジタル技術を活用したプロセスの自動化、業務と一体化するオペレーショナルBIにより、システムのシンプル化を実現している」と説明した。

「リスクと会計」「カスタマー」ソリューションに関しては「リスクと会計は目的別で構築され、重複したシステムや不具合の発生、頻繁に発生する制度変更といった課題に対応しており、リスク管理や経営管理、予算管理など目的別で構築されているほか、IFRS9/17などの制度に対応している。カスタマーは従来の顧客との接点は対面やコンタクトセンターなど用途別となっており、これらの各チャネルに対してシステムを構築している。われわれは『SAP Hybris』の技術を使い、オムニチャネル基盤を構築し、顧客のさまざまな体験を一元管理する仕組みを提供していく」という。

新製品の展開について「海外では基幹アプリケーションを軸とした導入実績はあるものの、統合的なソリューションは国内では浸透していない。そのため、日本では業務ノウハウを蓄積しているパートナーと協業することにより、販売していく。すでに、野村総合研究所とは戦略的な協業を行っており、今後も日本のパートナー各社と協業に向けた検討を実施していく」と織田氏は期待を口にした。

○顧客ニーズに対応するための保険会社の脱メインフレームを支援

SAP ジャパン バイスプレジデント 金融統括本部長兼プラットフォーム事業統括の鈴木正敏氏は、保険業界の市場環境について「2000年をピークに日本の総人口は減少し、特に生産年齢人口が大幅に減少しており、少子高齢化社会を迎えている。このような社会環境の変化に対し、適合していくことが保険会社に求められている。生命保険会社では、近年では死亡保障ではなく、生存保障にビジネスニーズが移行しており、ニーズの変容に対応していかなければならない。また、損保会社における収益の半分は自動車保険、火災保険などだが、今後はサイバー攻撃など新しいリスクに対し、いかに適応していくことが課題となっている」と指摘した。

このような状況を踏まえ、顧客は保険会社に対し「多種多様なニーズに対応した新商品を開発し、いち早く市場に投入することや、割安な保険料、見積もり・契約手続き・保険金支払いが簡便で迅速なこと、インターネットやスマートフォンの利用が可能なこと、24時間いつでもどこでもアクセスできることなどを求めている。これらに対応するには、顧客志向を分析した製品の早期的な市場投入、ITの活用による事業費の削減、オムニチャネルの採用などデジタル化に取り組むことが必要」と説く。

そして鈴木氏は「新製品にういて強調したいのは基幹業務の部分だ。現状では、国内における保険会社の大半が堅牢性を有するメインフレームで業務を行っているが、ITの進化は進んでおり、脱メインフレームを実践できる状況に移行している。そのため、われわれとしてはリスクと会計業務、カスタマー業務も含めプロセスの自動化、顧客体験のデジタル化、商品投入スピードの改善、システム運用費用の改善、IFRS対応(IFRS9/17)、グローバル基準のリスク管理を可能とする新製品でメインフレームからの脱却を支援する。最終的には一連のソリューションから吸い上げられたデータを用いて、より高度な意思決定を行うビッグデータに活用していく」と語った。

(岩井 健太)