国民がトランプ一家に期待する「セレブ一家」からの脱却

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ドナルド・トランプ米大統領の上級顧問、ケリーアン・コンウェイは2月9日、出演した米FOXニュースの番組で、トランプの娘イヴァンカが手掛けるブランドの製品の購入を呼び掛けた。不買運動がきっかけで、小売各社が同ブランドの取り扱いを中止する事態が相次いでいることを受けたものだ。

トランプ大統領自身もツイッターで、「娘が(販売を中止した大手百貨店の)ノードストロームから非常に不公平な扱いを受けている」などと批判を展開している。

一方、トランプ一家を巡っては、この他にもメラニア夫人が英紙デイリー・メールのウェブサイトを提訴したとのニュースが伝えられている。

「メラニア夫人はかつてエスコートとして働いていた」と報じられたことについて夫人の代理人は訴状の中で、「夫人は世界で最も写真を撮影される女性の一人である間に、幅広くさまざまな商品を扱うブランドを創設し、複数年にわたる数百万ドルもの規模になるビジネス関係を築くことができた」と述べ、その「またとない、生涯に一度の機会を得た」ときに、報道によって多額の利益を得る力が損なわれたと訴えている。

この2つの件から明らかになった重要な点は、次のことだ。

・メラニア・トランプは、大統領夫人の立場を金もうけに利用しようとしていた
・コンウェイは大統領の上級顧問という自身の立場を利用して、イヴァンカのブランドを宣伝した

就任からわずか数週間で、大統領の家族らがそれぞれの新たな立場を利用し、個人の「帝国」を宣伝し、拡大するつもりであることが一層明確になってきている。セレブ一家という独特の環境にあったトランプの家族たちは、世界のリーダーとして報道されることになった現状も、自分たちのブランドを後押しすることに役立つという程度に考えている可能性がある。

倫理規定や合法性に関する問題は別の話として、彼らがそうした考えを持っていると見ることは、何もばかげたことではない。トランプ一家は、露出が利益につながることが当然のショービジネスに熟練している。

さらに、彼らは長年、明らかに「何でも金で買うことができる」という21世紀型のビジネスモデルの中で生きてきた。丁重な扱いも、ソーシャルメディアも記者会見も、たまたま街中で歩いているところ撮影されたはずの服装での写真も、金を使えばどのようにも変えられる環境で暮らしてきたということだ。

国民が大統領一家に望むもの

だが、今この一家は、大統領(とその家族)の立場はそれらとは異なるのだということを理解し始めているかもしれない。ホワイトハウスの住人となる人たちは、他の誰よりも厳密に規範に従うこと求められる人たちだ。

これは、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の(未成年での飲酒が問題になった)双子の娘たち、バラク・オバマ前大統領の(大麻吸引疑惑が報じられた)長女マリアが身をもって思い知らされたことでもあった。

特に若いファンが多い有名人には、一定の行動が期待される。一方で、国民は有名人たちがビジネスパーソンであることも理解している。例えば、自己啓発を訴えるレディー・ガガがティファニーのような高級宝飾店の広告に登場しても、ファンはそれによって彼女がどれだけの収入を得るかを問題にしない。

だが、米国民は大統領一家には、ロールモデルであることを求める。大統領とその家族を金で動かすことが可能だなどという考えとは、無縁であってほしいのだ。自身のブランドを宣伝することに力を注ぐトランプ一家の態度は、彼らがロールモデルになり得る力を損なっている。彼らはもはや、単なる有名人ではないのだ。新しい世界に、適応しなくてはならない。