左から大変身した染谷将太(二海堂晴信役)、神木隆之介(桐山零役)
 - (C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会

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 若手実力派としてさまざまな難役をこなしてきた俳優の染谷将太が、映画『3月のライオン』ではプロ将棋棋士としての情熱的な一面と、主人公・桐山零のライバルかつ良き“心友”としての愛らしい一面を併せ持った人気キャラクター・二海堂晴信を演じている。なぜ、彼が二海堂を演じることになったのか? メガホンを取った大友啓史監督が語った。

 羽海野チカのベストセラー漫画を実写映画化する『3月のライオン』は、中学生で異例のプロ将棋棋士デビューを果たした零(神木隆之介)の成長を周囲の人々との交流を通して描いた人間ドラマ。染谷ふんする二海堂は、難病を抱えながら誰よりも将棋に対し命と情熱を燃やすプロ棋士で、人一倍明るく前向きな性格が愛されているキャラクターだ。

 そんな二海堂役として染谷に白羽の矢が立ったのは果たしてなぜなのか? 大友監督は原作のふっくらとしたキャラクター造形を再現するため「最初は二海堂役に本当に太ってもらわなきゃとダメかなと思った」というが、わずかな撮影準備期間において大幅な増量・減量をするのは現実問題として難しい。そのため監督はさまざまなテストを重ね、“特殊造形”という手段にたどり着いた。

 「特殊造形は下手をすると固まっていくんですよ。そうすると目の表情勝負だったりするんです。だから、目が大きい染谷くんだったら面白いなと。染谷くんは一見クールな芝居が多いけれど、(監督が実写化した『るろうに剣心』で藤原竜也が全身を包帯で覆って演じた)志々雄と一緒で、造形をすることで逆に思いっきり芝居ができたりすることもある。彼の今までの出演作を観て『こっち側にこういう振り方をしていくと……』と考えているうちに『イケる』と思った瞬間があり、染谷くんにオファーしました」(大友監督)。

 そのオファーを受けた染谷は、毎回約2時間30分にも及ぶ特殊造形を経て二海堂に変身。その変貌ぶりはじっくり見ても染谷だとわからないほどだ。特殊造形の際の表情作りにおいて重要な“動かし方”も造形師が絶賛するほど上手かったという。この変身を染谷本人ものびのびと楽しんだようで、「染谷の事は忘れてください、それが本望です。映画の中だけで生きている二海堂くんです。自分は身体を貸した程度です」と語っている。

 演技においては監督から「明日命を失ってしまうかもしれない、二海堂はそういう覚悟と思いを抱えて生きている。だから一瞬一瞬全力で、瞬間燃焼の思いで演じてほしい。結果として他の役から浮き出たとしても、彼の背景を考えると許される役だから、安心して振り切って演じてほしい」と伝えられ、全力燃焼でそれに応えた染谷。対局シーンの現場では、盤にのめり込むかのような前傾姿勢で終始苦しそうな表情をしながらも、鋭いまなざしで駒を睨みつける染谷の姿が。その背中からは、命を賭して勝負に向かう二海堂の覚悟が伝わってきた。

 さらに、別日の撮影の合間にはお菓子を片手にスタッフとほがらかに談笑する様子も見受けられた。その姿もまた、愛されキャラで読者からも人気の高い二海堂そのもの。どの場面であっても「この役には彼しかいない」と思わせる、ぴったりなキャスティング結果となった。(編集部・吉田唯)

映画『3月のライオン 前編』は3月18日、『3月のライオン 後編』は4月22日より全国公開