「iPhone 7 HP」より

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 米アップルのスマートフォン(スマホ)、iPhoneが好調である。2007年に開発され世に送り出されたこの革新的なスマホは、今年で11年目を迎える。ハイエンドモデルとして生み出され、いまだ世界のスマホ市場利益シェアで9割を維持している。果たしてiPhoneは今後もこの好調さを持続させ、アップルを支え続けることができるのであろうか。

 米市場調査会社ストラテジー・アナリティクスが1月31日に発表した16年10〜12月期のアップルの世界スマホ市場におけるシェアは17.8%と、韓国サムスンを0.1%上回り、2年ぶりに首位に返り咲いた。

 首位奪回の要因は、サムスンのギャラクシーノート7の発火問題による敵失の影響があるものの、同期のiPhoneの出荷台数は7,829万台に達し過去最高の売上を記録した。アップル全体の売上高の約7割を占めるこの主力製品の回復は、アップルの売上高をそのまま押し上げる結果となり、売上高前年同期比では3%増とプラスに転じ、1年ぶりの増収となった。

 この売上増に最も貢献したのは、iPhone 7 Plusの販売好調さである。平均販売価格が16年6〜9月期の618ドルから同年10〜12月期には694ドルへと76ドル上昇したのが、それを物語っている。

 だが、その一方で粗利益率が前年同期の40.1%から38.5%へと縮小した。大画面化への開発投資などが主な縮小要因であることから、大画面化が売上増に大きく寄与する一方で、利益率の縮小をもたらす結果となった。

●期待される「変貌」

 こうしたなか、今回の決算では2つの光明が見いだせる。そのひとつは、Apple Watchが販売好調なことである。ストラテジー・アナリティクス社のデータによると、同期のApple Watchの出荷台数は、520万本に上ると見られる。これにより、アップルはスマートウォッチ市場で63.4%のシェアを獲得し2位サムスンの9.8%を大きく引き離し、この市場でほぼ一人勝ちの状態を作り出している。

 もうひとつの光明は、現在アップル全体の売上の約1割に相当する「サービス事業」の存在である。このカテゴリーには、Apple Payの決済やApple Musicの音楽配信、さらにはApp Storeのアプリ配信事業などが含まれる。

 Apple Payではユーザー数が3倍に増加し取引量も6倍に増え、また、Apple Musicでは会員数が2,000万人を突破し、さらに、App Storeでは収入が4割以上増えたことから、どの事業もまだまだ伸びしろがあり、今後の成長が期待できる。

 確かに、これらの事業のこれまでのグローバル展開は見事であった。とりわけ昨年ローンチされたApple Payの日本展開では、世界展開のなかで唯一、アップルがカード事業者に決済の仕様を合わせるという小技まで見せた。

 このように、決済サービス、音楽配信サービス、アプリ配信サービスなど、そのひとつひとつの事業展開を見る限り、アップルが手堅い経営を行っているのは確かである。だが、iPhoneの絶大なる破壊力の陰で、変化に対する危機意識が薄れつつあるのも事実である。

 ティム・クックCEO(最高経営責任者)は、「今後4年でサービス事業の規模を倍にしたい」と豪語する。次の10年で、アップルの事業構成はどのように変貌を遂げているのであろうか。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)