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ドローンなどの飛行ロボットは昆虫や鳥類を参考にすることが多いのですが、コウモリとその翼が持つ柔軟性と俊敏性に優れた飛行スタイルを模倣して、飛行や急降下を可能にした「コウモリ型自立飛行ロボット」が開発されています。

A biomimetic robotic platform to study flight specializations of bats | Science Robotics

http://robotics.sciencemag.org/content/2/3/eaal2505

Bat-inspired robot swoops and dives like the real thing | New Scientist

https://www.newscientist.com/article/2120119-bat-inspired-robot-swoops-and-dives-like-the-real-thing/

コウモリロボットを開発しているのは、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のアリレザ・ラメザニ氏を含む開発チーム。コウモリの翼には40の関節があるのですが、そのまま再現すると巨大になり過ぎるため、コウモリロボットの翼は9つの関節で設計されました。本物のコウモリよりも柔軟性は劣るものの、各翼をあらゆる方向に動かすことができ、関節部は軽量のカーボンファイバー製で、両翼にはコウモリの羽根を模倣した超薄型シリコン皮膜が取り付けられています。

超薄型シリコン皮膜を採用したことで、コウモリロボットは翼の表面の緊張状態を保ちながらも、翼の形状を変化させることができるとのこと。ほかの素材では骨格に貼り付けてもうまく伸縮できなかったそうです。ロボットの総重量はわずか93gで、背骨の部分に動力となる小型モーターを搭載しており、関節の角度を計算して翼の位置を調整するためのセンサーも内蔵しています。本物のコウモリも、翼で空気の流れを検知するセンサー器官を備えていると考えられています。



なお、実際に開発されたコウモリロボットが飛行している様子は、以下のムービーから見ることができます。

Bat-inspired robot swoops and dives like the real thing - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=5XDpBJDDu7M

上空を羽ばたく物体はまるで生きているコウモリのように見えますが、これがコウモリの複雑な体形態を模倣したというコウモリロボット



空高く羽ばたいていたところから、地面に向かって急降下する能力を備えています。



コウモリは伸縮性のある皮膚を持っていることで、飛行中でも翼の形状を変形させることができるとのこと。



コウモリの皮膚にならって開発されたのが「超薄型シリコン皮膜」。



翼の動かし方はまるで本物のコウモリです。



鉛筆をさしても破れることはなく、丈夫で伸縮性のある素材であることがわかります。



コウモリロボットは廃棄された原子炉など、人間では入れないような場所の探索・監視に使われることが想定されています。同様の用途で使用できるドローンには「強風を受けると墜落する」という問題が残されていますが、コウモリロボットは風を受けても墜落する可能性が低いため、新世代のドローンの誕生が期待されています。