右足首の故障で3月のWBCを欠場することが発表された大谷翔平【写真:田口有史】

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サッカー選手などに多く見られる“職業病“、幼少期のケアが後々の故障の引き金に?

 日本ハムの大谷翔平投手が右足首の故障で3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を欠場することが発表された。「三角骨」の故障は、サッカー選手やバレーダンサー、体操の選手などに多く見られる“職業病”でもあるという。サッカー元日本代表MF中村俊輔(ジュビロ磐田)もかつて三角骨の障害で摘出手術を受けたが、同選手の専属トレーナーを務める入船しんもり鍼灸整骨院の新盛淳司院長は幼少期のケアが後々の故障の引き金になると分析している。

「三角骨は誰のカラダにもあるものではないのです。足首の距骨という骨の後ろ側にあるのですが、小学生の頃に距骨と一体化するはずの結節と呼ばれる隆起が癒合せずに、分離したままの状態となった骨を三角骨と呼びます。原因は様々な議論がされてますが、過剰骨と呼ばれる三角骨の持ち主は10パーセント程度とも言われています」

 新盛院長は大谷や中村が苦しんだ三角骨について、こんな解説をしてくれた。足首の急激なひねりなどの衝撃をくわえ続けることで三角骨が磨耗し、骨棘と呼ばれる尖ったトゲができると、周囲の組織を刺激し、痛みを生じるケースが多い。中村は2015年シーズンの開幕前に左足首の三角骨の除去手術を済ませている。

 独特なフリーキックなど足首をひねるという動作の多い中村にとっては職業病とも呼べる故障。発症の背景には身体的な特徴もあるという。

「捻挫を軽視せずに、きちんと治すこと」

「中村選手は足首の関節の可動域はかなり広いです。一方、大谷選手も足首の関節について緩いと発言していました。関節は、関節包や靭帯で補強され、筋肉や腱・皮膚など軟部組織にて制限を受けますが、生まれつき関節包や靭帯が緩く、関節が柔らかすぎる方もいます。関節が柔らかいということは、競技を行う上で、可動域が大きくなり、有利な面がある一方で、関節には過度なストレスがかかる場合がある。一般的に体が柔らかいと怪我が少ないと言われていますが、柔らかすぎる場合も怪我につながることがあるので注意が必要です」

 新盛院長は、関節の柔らかさがパフォーマンスを高める一方で、故障の遠因になるリスクもあると指摘している。そして、育成年代の両親や指導者、トレーナーの心がけでリスクを回避できる可能性もあるという。

「子供の頃の捻挫をしっかり治すことが大事です。生まれつき関節が緩いタイプでなくても、捻挫をしっかり治さないと、靭帯が伸びて、関節が緩くなるケースがあります。サッカーの世界にも、三角骨障害だけではなく、軟骨の障害や、捻挫グセを抱えている選手が多く、関節の痛みで競技から引退後も悩まされる選手は少なくありません。子供の頃に足首を捻ってしまった後、安静をきちんと取らずにプレーを再開するケースを散見しますが、将来的に非常にデメリットをもたらす可能性があります。危険な選択と言えると思います。

 また、痛みが減ったからといって、きちんとリハビリをせずに復帰することも非常に危険です。捻挫を軽視せずに、きちんと治すことを、選手本人だけでなく指導者や保護者の方にご理解頂く事が、子供の将来を守ることにつながると思います。手首を手のひら側に曲げ、親指がつくかどうかなどをチェックする、関節弛緩性を評価するテストもあります。子供の頃からの取り組みが大事だと思います」

 数々のトップアスリートを見守ってきた新盛院長はこう提言している。