ししゃも?ドコモCMで話題のSHISHAMOが、そこらの若手バンドと違うところ

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 突然ですが、「ししゃも」はご存知でしょうか? と言ってもちょっと炙ると美味しいアレじゃなくて、女性3人組バンド・SHISHAMO。堤真一と綾野剛の掛け合いが楽しいNTTドコモのCMや、ダウンタウンの松ちゃんがいい味を出しているタウンワークのCMで曲を聴いたことがあるかもしれません。

◆後から足した音でごまかさない清々しさ

 2月22日にはニューアルバム「SHISHAMO 4」も発売になり、ブレイク間近のグループなのです。主に10代女子の共感を集め人気なのだそうですが、よく聴くと骨太な音楽をやっているのが興味深いところ。まず、演奏の説得力が群を抜いています。

 各々のメンバーが担当している楽器の音がきちんと鳴っているからです。演奏する姿が明確にサウンドに反映されている。後から足した無意味なストリングスやらシンセでごまかしていないので清々しく響きます。

 確かに近年はブームの再来を思わせるほど多くのバンドがいますが、残念ながらほとんどはのっぺりとした歌メロのオケ程度の添え物。

 その点、SHISHAMOは3ピースバンドならではの生々しさが隠し味になっています。たとえばギターが手を休めてスペースが空いても、それが不足にはならず、代わりに歌のメロディを盛り立てるベースやドラムスのフレージングが楽しめる。ギターも、“ここで鳴ったらカッコいいな”というタイミングを外さない。

 月並みな言い方ですが、センスがいいのです。

 何も難しいことをしているわけではありません。でも、奥行きがあるのです。それぞれのパートが立体的に組み合わさっている構図が見える。やれることを確実にやっている安心感が、頑丈な土台を築いているのでしょう。

◆“取るに足らないこと”を巧みに歌詞にする

 それは歌詞についても同様。自分たちの知っていることしか歌にしないのです。たとえば、「がたんごとん」(作詞・作曲 宮崎朝子)という曲にあるこの一節。

<隣の人のイヤホンから漏れる音楽に気付いて 自分のイヤホンの音量気にしたり
この人と同じ風には見られたくはないなあ そんなことを考えて あの街へ>

 取るに足らないのは分かっているけど、なんだか引っかかってモヤモヤする。幸せになりたいけど、そのための一歩が踏み出せずにいる。それが楽にできたら苦労なんてしない。言葉にするのは難しい“分かっちゃいるけど”なグダグダ感をすくい取る。それを詞の中のキャラクターを使って巧みに描き出している点が、優れているのです。

 さらに注目すべきは、言葉とメロディの絡み方。ストレートなコードでつながっているのに、“え、そこへ行く?”と聴き手をハッとさせる心地よい飛躍があるのです。特に、<がたんごとん がたんごとん 生活リズムの妖怪だ>の部分に至っては、もうマジック。この勘の良さは吉田拓郎に通じるものがあると言えるでしょうか。

 そして、「がたんごとん」という言葉のリズムからベースとドラムのコンビネーションが形作られているのが、本当に素晴らしい。彼女たちが日本語の音韻を大切にしていることが分かる演奏だと思います。浜口庫之助や奥田民生の「イージュー★ライダー」のように、時代を超えて愛される曲のエッセンスが詰まっている。

 というわけで、まだ20代前半と若い彼女たち。ぜひ長く音楽を続けていってほしいと思わせてくれる、愛すべきバンドです。
 
<TEXT/音楽批評・石黒隆之>