米国のドナルド・トランプ大統領が中東・アフリカ7カ国からの入国を一時禁止した措置は、世界に混乱を招き各国で批判の的となっている。

 だが肝心の米国では、一連の世論調査によって一般国民の多くが支持していることが明らかになった。この事実が日本の主要メディアではなぜか報じられない。

「大統領令は憲法違反」?

 トランプ大統領は1月27日、イスラム教徒の多いシリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7カ国からの米国への入国を一時禁止する大統領令を出した。この7カ国はオバマ政権から「テロ懸念国家」と指定されていた。トランプ政権は入国審査を厳格化するまでの期間として、それらの国からの入国を90日間禁止した。

 トランプ政権のこの措置は、米国内で民主党はじめ各方面から反発を受けた。ワシントン州の司法当局はこの大統領令を憲法違反だとして差し止めを求める法的措置をとった。

 トランプ政権はこれに反発して、サンフランシスコの上級裁判所へ控訴した。だが同上級裁も2月9日、ワシントン州当局の主張を認める判断を発表した。トランプ政権は最高裁判所へ上訴する構えを明らかにしている。

肝心の米国民の反応は?

 では、肝心の米国民はトランプ政権のこの措置にどんな反応を示したのか。

 最初に世論調査の結果を報じたのはロイター通信である。調査では、米国民の49%がトランプ大統領の措置に賛成、41%が反対という結果が出た。米国の一般国民の約半数は大統領の措置に賛意を表明しており、反対する人より多いという事実が明らかとなった。

 ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、CNNテレビなど、反トランプ色が強く、民主党を支持するメディアは、その結果をごく簡単に報じただけだった。日本の主要メディアの伝え方もきわめてあっさりしていた。

 だがその直後の2月初め、今度は米国の大手世論調査機関ラスムセン社が世論調査の結果を公表した。それによると、7カ国からの入国を一時禁止する措置への賛成が57%、反対が32%であり、賛成派が大差で多かった。

 ラスムセン社は、大統領選キャンペーン中もトランプ氏の支持率を他の世論調査機関よりも正確に伝えてきた実績がある。だが、ラスムセン社が発表した「57対33」という数字は、日本の主要メディアの間ではまったく報道されなかった。

 さらに世論調査機関「モーニング・コンサルト」が政治雑誌の「ポリティコ」と合同で実施した世論調査でも、同じような結果が出ている。2月6日に報道された調査結果によると、トランプ政権の入国一時禁止措置を支持する米国民は全体の55%、不支持は38%だった。

大統領令はすべて支持されている

 さらにこの合同世論調査で注目すべきなのは、トランプ大統領が矢継ぎ早に打ち出した11の大統領令のうち、入国一時禁止措置は一般米国民から最も高い支持を得ていることだ。

 例えば、TPP(環太平洋パートナーシップ)からの離脱は支持が47%(不支持が33%)、メキシコとの国境での壁建設は支持が47%(不支持が42%)だった。これらよりも入国一時禁止措置は支持されている。トランプ大統領が出した11の大統領令はすべて賛成が反対を上回っている点も注視に値する。

 一見、過激に映るトランプ大統領の措置は、一般の米国民から支持されていた。民主党系の反対派は「人道主義に反している」「憲法に違反している」と非難するが、実は民意に沿っていないということだ。

 この現実は、日本のメディアでもほとんど伝えられていない。日本の多くのメディアが反トランプ陣営の米国の主要メディアの報道に依存している状況ではやむを得ないが、トランプ政権の読み方、マスコミ報道にはご注意を、ということだろう。

 昨年の大統領選で日米の主要メディアは的外れな分析や展望を重ねとんだ大恥をかいた。そのことは忘れられるべきではない。

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筆者:古森 義久