「Thinkstock」より

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 1月14、15日には大学入試センター試験が行われ、受験シーズンも佳境を迎えつつある。受験生本人はもちろん、その親も落ち着かない日々を過ごしているに違いない。

 日本では、義務教育を受けた後、高校、大学と進学していく人が多く見られる。しかし、教育の世界は今、改革のまっただ中にあり、教育の内容を含め、大きな変化が起きようとしている。

 そのなかで、近年注目を集めているのが無認可のスクール、いわゆる「無認可校」だ。独自のカリキュラムを採り入れているため、公教育では培われない個性が育つといわれている。いったい、無認可校とはどんなところなのか。

●テストも成績表もなし?無認可校の実態

「公立学校や学校法人の認可を得た私立学校は、国が定めた法律に則った教育を行う場所で、『一条校』といいます。『無認可校』とは、学校教育法に基づかない独自の教育を行う学校を指します」

 そう話すのは、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんだ。無認可校の特徴は、自治体や学校法人ではなくNPO法人や企業などが母体になっている点で、不登校児の受け皿となっているフリースクールや、主に外国の子どもたちを受け入れるインターナショナルスクールなどがそれに当たる。もちろん、それらのなかにも一条校に該当するものもあり、一概にすべてが無認可校というわけではない。

 無認可校のなかには、海外の教育理念を取り入れている学校もある。

「海外の教育理念を取り入れている学校としては、子どもの自由な感覚を養うことに重きを置いた『モンテッソーリ教育』や、芸術性を高めることに特化している『シュタイナー教育』などが、よく知られています。これ以外にも独自の教育法を導入した学校が日本全国に点在しており、『子どもに質の高い教育を受けさせたい』と願う親からは高い関心を集めています」(中曽根さん)

 こうした無認可校では、公教育のカリキュラムにはない学びが得られるという。たとえば、シュタイナー教育を採り入れている無認可校には、学校にはつきもののテストや成績表すら存在しない。市販の教材や、教科書に頼らないため、自ずと学ぶ姿勢が積極的になり、子どもの想像力や自主性が伸びるメリットがあるという。

●不登校扱いや高卒資格が得られないデメリットも

 一方、無認可校には法律に基づかない学校という側面がある以上、通うことでデメリットが生じることもある。

「たとえば、無認可校に通う子どもは、形式上は公立校に籍を置いた状態になります。在籍しているのに行かないわけですから、不登校という扱いになってしまうのです。また、無認可校で高校卒業年齢まで教育を受けても、高校卒業資格は得られません。大学受験をする場合は、高等学校卒業程度認定試験を受ける必要があります」(同)

 さらに、指導要領やカリキュラムが可視化しづらいため、実際に学校でどんな教育が行われているのか、わかりにくい面もあるという。

「無認可校は独自の教育を行うので、子どもを公教育の学校に転入させた場合、学習のペースが違うために戸惑ってしまうということもあるでしょう。一方、公教育なら、どこに転校してもカリキュラムに大きな違いはありません。『全国一律の教育』が公教育のメリットなのです」(同)

 もっとも、その「全国一律の教育」こそが、実は公教育のデメリットでもある。

「現在の全国一律の公教育は、戦後間もない時期に確立されたもので、国家を立て直すために考えられた教育です。しかし、個々の自主性や発想力、グローバルな視点が求められているなかで、規則正しく、みんなと一緒に教科書を読んで勉強するという教育が、本当にこれからの日本の社会に適しているのか、という問題もあります」(同)

 無認可校、認可校、それぞれに課題はある。しかし、無認可校が注目されることで、昔に比べて教育の選択肢が広がってきたことは間違いないだろう。

 実際、無認可校を認可校にしようとしたり支援を増やしたりという動きが活発になっているという。教育環境も多様化しているのだ。そのため、「今から、教育に対する視野を広げておいたほうがいい」と中曽根さんは語る。

「もっとも重要なのは、認可か無認可かではなく、子どもに合った教育を見極めてあげることです。探究型の学びを提供するアフタースクールなども増えているので、認可校に通いながらそれらを活用するなど、方法はいろいろあります。それぞれの子どもに合わせ、どんな教育をどう採り入れていくか、自由に考えてみてはどうでしょうか」(同)

 もはや、「教育はこうあるべき」という考え方は、時代遅れの固定観念になりつつあるのかもしれない。
(文=中村未来/清談社)