写真:AP/アフロ

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 日本時間の11日未明、トランプ米大統領就任後初となる日米首脳会談が米ワシントンのホワイトハウスで行われた。

 会談後に行われた共同会見冒頭で、トランプ氏は「日本の領土に対して、両国は非常に重要な同盟国である」「両国はこれから同盟関係にさらなる投資を行い、両国の防衛能力をさらに深めていきたい」などと述べ、日米同盟の強化を訴えた。

 また、焦点となっていた、中国が領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県)の位置付けについて、安倍首相は「安保条約5条の対象であることを確認した」と述べ、米国による日本の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であるとの認識で一致したことを明かした。

 さらに北朝鮮の弾道ミサイル発射をめぐり、米国による日本周辺の「核の傘」維持について、トランプ氏は「北朝鮮のミサイルを防ぎ、核の脅威を防いでいくことが両国にとって重要な国益に当たる。これは非常に重要な優先課題である」と述べた。

 一方、トランプ氏が就任後に批判的な発言を行っていた日本の為替政策や対日貿易赤字の問題、さらには米国のTPP(環太平洋経済連携協定)離脱に伴い浮上している、日米自由貿易協定交渉などの経済問題については、具体的な声明はなされなかった。全国紙記者は語る。

「会見で安倍首相は日本のリニア新幹線を例にあげ、『日本はこうした高い技術力で、大統領の成長戦略に貢献できる』と述べ、さらに『多くの日本企業が全米各地に工場をつくり』『昨年も日本から米国へ新たに1500億ドルを超える投資が行われた。これらは米国内に大きな雇用を生み出している』などと語り、繰り返し米国への“貢献”を強調していました。農産物や自動車をはじめとする日米貿易について、今後TPP以上の厳しい交渉が予想されるなかで、現時点で“下手に出過ぎ”という印象です。今後の交渉で足元を見られて、米国側の要求がますますエスカレートし、日本側が命令されるような立場になってしまわないか。今回の会談が“米国への隷属外交”の幕開けになってしまわないかが懸念されます」

●“破格の待遇”の危なさ

 また、別の全国紙記者は言う。

「安倍首相はトランプ氏の大統領選当選後、各国の首脳に先立って就任前の大統領を米国まで訪問するという異例の行動に打って出て、トランプ氏との親密さを演出しました。そして今回も、会談後にはトランプ氏の別荘があるフロリダに招かれ、長時間にわたりディナーやゴルフを共にする予定で、まさに米国から“破格の待遇”を受けることに成功しました。さっそくトランプ氏はフロリダへの移動の飛行機内で安倍首相と撮影したツーショット写真をTwitterに投稿し、話題となっていますが、この段階では親密になりすぎている印象です。米国側に隙を与えて、日本側がノーといえない状況が生まれかねず、非常に危険にみえます。

 ゴルフをはじめとするフロリダでの“差しの会談”のなかで、2人の間で経済面などの難問について突っ込んだ話し合いが行われることが予想されますが、優秀なビジネスマンであるトランプ氏から、逃げ場のない環境のなかで厳しい要求を飲まされてしまわないかが心配です。そしてトランプ氏の狙いは、まさにそこにあるのは明らかで、まるで安倍首相がトランプ氏の手玉に取られているようにみえます」

 フロリダで日米トップの間でどのような会話がなされたのか、注視する必要がありそうだ。
(文=編集部)