■先代NC型RHTの代案を、デザイン本部長にスケッチで直訴!

現行のND型ロードスターのソフトトップモデルは、流れるような美しいフォルムが魅力です。ただロングノーズ&ショートデッキ化を最優先したため、ルーフ全体を分割して電動で開閉するRHT(リトラクタブルハードトップ)が搭載できなくなってしまいました。

ようやく納まる仕組みに辿り着くも、リアピラーを分断して折り畳むため、開閉動作が煩雑な上に、トランクの上部にはみ出すスタイルにならざるを得ません。さすがにデザイン本部長は、デザイン陣の労をねぎらいつつも、お蔵入りを決めました。

1

ただデザイン陣としては、このままでは終われません。その場で腹案として暖めていたミッドシップのようなスケッチを書き「リアピラーを残す前提で、デザインさせてもらえませんか?」と直訴したのです。

そして、そのスケッチを見た本部長から「これで行けよ!」とゴーサインが出され、デザインの方向性が定まりました。

■エレガントなファストバックが、オープンの新しい価値になる!

これこそが、「ファストバックのエレガントなスタイルが、オープンの新しい価値になる」という新機軸のアイディアでした。ただし先代NC型で販売の過半数を占めたRHTの方向転換は、相当難しい経営判断を求めることになります。

そこでデザイン陣は、経営陣に対して3段階のプレゼンテーションを行いました。最初にファストバックのクレイモデルを見せて「カッコいいね」と感嘆させ、次にインテリアモデルの運転席に座らせて「意外に開放感もあるね」と納得させ、最後にRFの独創的かつ上質な開閉動作をCGで見せて安心させることで、経営陣から承認を得たのです。

■CGの中のバーチャルなRFを、マツダの技術で具現化

ただこの時点でのRFは、CGの中の張り子の虎で、架空のバーチャルモデルに過ぎません。製品化には課題山積で、まさに経営陣の承認がRF開発の事実上のスタートとなりました。

実車を見て感じるのは、よくぞキャノピーごと持ち上げながら、精緻で滑らかな動作を実現したということ。実車のRFは、CGと全く同じ動作を再現できているそうですから、開発した技術陣の心意気を強く感じる次第です。

またソフトトップの試作ボディにRFユニットを取り付けて風洞へ持ち込み、空力性能はもちろん、走行中の風切り音やオープン時の風の流れや爽快感といったオープンカーの本質をブラッシュアップしていったのです。

■デザイン本部長の要請に応えた開発本部長

ただ開発陣からの最終提案では、ボディとキャノピーのオープニングラインを詰め切ることができておらず、デザイン陣としても引くに引けない状況になったそうです。

最後はデザイン本部長から開発本部長に、美しいオープニングライン実現のために設計変更を要請。ここで開発本部長も、無理を承知で「やるか!」と決断したのですから素晴らしい!

デザイン陣とと開発陣の熱い熱い切磋琢磨から、シルエットもオープニングラインも開閉動作も、全てが美しいRFが誕生したのです。

最近ではクルマ造りの分業化が進み、個人の個性や判断は反映されにくいと言われていますが、さにあらず。あらためて新型ロードスターRFでは、「いいクルマは人の心意気が創る」ものであると強く認識しました。

RFはディーラーにも配備され始めましたから、是非ファストバック&オープンの贅沢体験をしてみてはいかがでしょうか?

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

第546弾新型ロードスターRFのすべて (より深く知りたい方はこちらがオススメ)
http://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=9341

デザイン本部長にスケッチで直訴。新型ロードスターRFの美しいファストバックがオープンの新しい価値になる!(http://clicccar.com/2017/02/11/444425/)