Inc.:あなたに、ある能力があったらどうなるか、想像してみてください。同僚や顧客、部下と会話するときにはいつでも、相手の感情や思考がはっきりわかり、自分のことのように「体験する」ことすらできるという能力です。

まるで映画「X-Men」に出てくる超能力のように聞こえますよね。では、「この不思議な能力は誰でも持つことができるし、その力強さと魅力によって会話を成功に導くことができる」と言われたらどう思いますか?

もちろん、あなたも例外ではありません。この超能力は「共感」と呼ばれています。

この能力は、誰でも身に付けられるものでありながら、しばしば誤解されています。いくつかのバリエーションが存在するためです。以下で簡単に説明しましょう。

共感とは何か?


共感という言葉が使われるとき、いったい何が意味されているのでしょう? 共感という言葉の最も一般的な用法は、以下のように分類できます。

相手が感じていることをそのまま感じ取る。相手の立場で考える。自分の視点ではなくほかの誰かの視点で、世界について、あるいは特定の状況について想像する。「読心術」とも言われる能力。相手の感情やボディーランゲージを読み取る。

あなたのいう「共感」はどのカテゴリーに入りますか?


共感の研究


共感というのは心の触れ合いの話であり、ビジネスの世界には無関係ではないかと思った人は、以下の研究を知っておいた方が良いでしょう。

世界的な人材コンサルティング企業DDI(Development Dimensions International)は、46年間にわたってリーダーシップの研究を行ってきました。そして、最適なリーダーシップの本質は、組織の内外で「有意義な会話」を繰り返すことに尽きる、と結論付けています。

この信念を確固なものにするため、DDIは18カ国、20業界から300以上の組織を選び出し、1万5000人を超えるリーダーの評価を行いました。評価の内容は、どのような会話スキルが仕事のパフォーマンスに最も影響を与えるかです。

「High Resolution Leadership」で発表された研究結果は本質を突いています。それによれば、「関与を促す」、「功績を認める」といった能力ももちろん重要ですが、仕事のパフォーマンスに最も重大な影響を与えるのは、ほかでもない共感だそうです。

具体的には、共感を持って聞き、反応する能力です(以下の図表を参照してください)。


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「Empathy: Why It Matters, and How to Get It」(共感力はなぜ重要で、どうしたら得られるか)の著者Ray Krznaric氏は、次のようにわかりやすくまとめています。


現代の職場で必要とされる共感力は、相手の視点で物事を見ることだけではありません。共感力は、チームワーク、革新的なデザイン、賢明なリーダーシップの土台です。共感とは、話を聞いてもらっている、理解してもらっていると相手が実感できるよう心がけることなのです。


共感に関するこうした考えには素晴らしい響きがあります。話し相手の視点に立つことで、その場で相手を引き込むことができるというのですから。大きな違いを生み出せる可能があります。これは喜ばしい知らせです。


悪い知らせ


このように、リーダーが共感力を求められているのは明らかです。しかし残念ながら、DDIの研究対象となったリーダーたちの場合、共感する力が「高い」または「非常に高い」と評価された割合は、10人中たったの4人でした。

研究に参加したDDIのシニアバイスプレジデントRichard S. Wellins氏は1年前、「Forbes」のインタビューで次のように述べています。


共感力の低下は深刻な状況にあります。ミシガン大学のチームが大学生を対象に行った研究でも、8年間で34%〜48%の共感力の低下が見られました。大学生は未来のリーダーだというのにです!

共感力の低下には2つの理由があると、私たちは考えています。1つ目は、リーダーたちは組織からどんどん要求を突き付けられるようになり、人と顔を合わせて会話する機会が減少していることです。DDIの調査では、リーダーたちが多くの時間を「交流」より「管理」に使っていることが判明しています。リーダーたちは、交流の時間を2倍に増やしたいと考えています。

2つ目の理由はまさにテクノロジーです。特に、高性能な携帯端末に責任があります。携帯端末は今では交流の必需品ですが、Sherry Turkle氏は著書「Reclaiming Conversation」(会話を再生させる)で、携帯端末で交わされる交流を「細切れの会話」と表現しています。


結論


最初に説明した通り、共感にはいくつかのバリエーションが存在します。共感はただ「感じる」ことではないのです。あなたに共感する力があることを聞き手に感じ取ってもらうためには、どのような言語や表現、ジェスチャーを用いれば良いのかを考えてみましょう。言うまでもありませんが、心の底から共感しているのでなければ、簡単に見抜かれてしまいます。

共感が持つ真の可能性を侮ってはいけません。競争優位を高めるためにも、リーダーたちの共感力を育むことから始めましょう。

リーダーの共感力は、周囲の人々のパフォーマンスに影響を及ぼします。共感は、良いチームワークにとって不可欠な要素なのです。


The Science Behind What Really Drives Performance (It's Going to Surprise You)|Inc.

Marcel Schwantes(訳:米井香織/ガリレオ)
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