こんなにある!「返済不要・タダでもらえる」奨学金

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■意外と穴場なのが自治体による「給付型」

奨学金の返済に苦しむ若者の急増が社会問題となるなか、注目を集めているのが、返済の必要のない「給付型奨学金」だ。地方自治体や民間団体によるものに加え、最近では有力な私立大学が、優秀な学生を集めるために導入する例が増えている。実際の受給のハードルは、どのくらい高いのか。

「各奨学金にはそれぞれのポリシーや目的に沿った、独自の選考基準が設けられています。最も大まかな分類は、特待生制度的な学力重視型か、経済支援に重きを置く家計重視型かということです」と言うのは、奨学金アドバイザーの久米忠史氏だ。

「一般論として、学力重視型の奨学金は、求める成績のレベルがかなり高めです。一方で家計重視型は、受験生の世帯収入が所定の条件に合えばいい。給付の受けやすさという観点からは家計重視型、とりわけ大学が独自に設けている『予約型』の給付奨学金が、採用人数が多くおすすめです」

予約型奨学金の代表例、早稲田大学の「めざせ!都の西北奨学金」の申込資格は、首都圏以外の高校等の出身者で、世帯収入が税込み800万円未満(給与所得の場合)であることなど。

高校の成績は問われない。受験前の書類選考で採用候補と認定され、入学試験に合格すれば、年額40万円の奨学金が4年間給付される。採用候補者数は約1200人と、同種の奨学金のなかでは飛び抜けて多い。

慶應義塾大学や上智大学、立教大学や法政大学などにも、同様に予約型の給付型奨学金制度がある。「これまで特待生制度的な奨学金が中心だった関西でも、いわゆる『関関同立』の有力4大学が相次いで予約型の給付型奨学金を導入しました。関東では専修大学も同様の制度を開始し、受験生にとっては選択肢が広がる傾向にあります。第一志望の大学にこの制度があるなら、積極的に出願していいと思います」と久米氏は言う。

入学後に申請する大学独自の給付奨学金にも、採用人数が多いものはある。明治大学給費奨学金(やや家計重視)の場合、2015年度は2242名の応募者(1〜4年生合計)のうち1440名(約64%)が採用候補に。中央大学では各学部に、成績重視型の多様な給付型奨学金制度があり、全学で500人以上の学生が支給を受けている。

民間団体や自治体の給付奨学金は、募集人数が数人から数十人と、より少数精鋭型。「自治体の奨学金のほうが一般に家計重視型で、応募資格も居住者に限られるため狙い目かもしれません」(久米氏)。

一方、各都道府県のトップ公立高校から難関国公立大学をめざす受験生なら、JT国内大学奨学金(高校推薦)を検討してはどうか。出願は指定校から各校1人のみ、校長推薦が必要で成績要件も収入条件も厳しいが、4年分の学校納付金相当額に加え、30万円の入学一時金、毎月5万〜12万円の月額奨学金が支給される。

とはいえ、給付奨学金だけを頼りに進学資金計画を立てるのはあまりに無謀だとも、久米氏は指摘する。「選考を通る保障はありませんし、たとえ通ったとしても、不慮のトラブルで受給資格を失うこともありえます。事前の学費貯蓄や、貸与型を含む他の奨学金との併用も、必ず検討してください」。

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久米忠史
奨学金アドバイザー。1968年、和歌山県生まれ。わかりやすい説明が評判を呼び、全国の高校や大学で年間100回以上も講演。著書に『奨学金 借りる? 借りない? 見極めガイド』など。
 

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(川口昌人=文)