常識的には考えられないが、可能性を否定できないもの。今、取り沙汰されているのは、就任後も傍若無人な振る舞いを繰り返すトランプ米大統領の弾劾と政治的な混乱が続く韓国での軍事クーデターの可能性だ。写真はホワイトハウス。

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2017年2月11日、常識的にはまず考えられないが、可能性を全面的に否定できないものがある。例えば選挙。昨年11月の米国大統領選は番狂わせだった。今、取り沙汰されているのは、就任後も傍若無人な振る舞いを繰り返すトランプ米大統領の弾劾と政治的な混乱が続く韓国での軍事クーデターの可能性だ。

トランプ大統領はイスラム圏7か国を対象に入国禁止などの大統領令に署名したものの、司法判断で効力が一時停止されて、ツイッターで判事や司法制度を批判するなどの“暴走”を続けている。このため、米国内では願望や希望的観測を含め、大統領弾劾の可能性がしばしば取り上げられている。

米誌ニューズウイークで、ローザ・ブルックス米ジョージタウン大学法学部教授は「トランプを追い出す三つの方法」との記事を執筆。「われわれは本当にあと4年、あの男で我慢するしかないのだろうか」として、弾劾に触れた。

ブルックス教授は「合衆国憲法の下、下院の過半数が賛成した場合、大統領を『反逆罪、汚職、その他の重罪および軽罪』の疑いがあれば弾劾裁判にかけられる。上院の3分の2が賛成して有罪が確定すれば、罷免だ」と前置き。「弾劾のいいところは、反逆であれ殺人であれ、議会は証拠がなくても手続きを進められるし、どんなささいなことも『重罪や軽罪』と見なすことができる」と指摘した。

一方で「上下両院の多数派を共和党が占めるため、議会が弾劾を可決する可能性が低い」として、米国憲法修正第25条に言及。「これまであまり注目されたことがなかったが、この条項には『副大統領と各省長官の過半数』が、大統領には『職務上の権限と義務を遂行できない』と判断した場合、『副大統領が直ちに大統領代理として、大統領職の権限と義務を遂行する』と明記されている。これならマイク・ペンス副大統領の野心もくすぐるだろう」と書いている。

韓国では1960年4月、李承晩政権が学生デモで倒され、政治混乱を招いた際、朴正煕少将(その後、大統領。朴槿恵大統領の父)らがクーデターを起こし、実権を掌握した。朴正煕大統領が79年に暗殺され、政治空白が生じた時は、全斗煥国軍保安司令官や盧泰愚第9師団長(2人とも大統領に就任)らが決起して戒厳令を敷き、「ソウルの春」(民主化)を押しつぶした。

その後、93年に金泳三文民政権が誕生して以来、軍の政治への介入は途絶え、選挙による政権交代が続いている。軍も近代化され、文民統制が定着。さらに国政介入事件で朴槿恵大統領を追い詰めた大規模な集会やデモも軍の介入を招くような暴動化を避け、平和的手段に終始した。

軍の動向を占う上でカギとなりそうなのは、米国との「距離」。トランプ政権首脳として初めて韓国を訪問したマティス国防長官は韓民求国防相らとの会談で、北朝鮮の脅威に対抗して広範な抑止力の提供を約束。在韓米軍への高高度迎撃ミサイル(THAAD)配備を急ぐことでも一致した。韓国の次の政権が中国と意を通じて北朝鮮に大きく接近し、THAAD配備を見直すような事態になれば「二度あることは三度ある」にならないとも限らない。(編集/日向)