仙台から新加入のウイルソン。前線の柱となるのは間違いないだろう。写真:ヴァンフォーレ甲府

写真拡大 (全2枚)

 ヴァンフォーレ甲府は2月10日、宮崎・綾町小田爪多目的競技場でベガルタ仙台と45分×4本のトレーニングマッチを行ない、0-2(0-0、0-1、0-1、0-0)で敗れた。甲府は宮崎入りしてから3試合目のトレーニングマッチだったが、4日の徳島ヴォルティス戦(0-2)、7日のFC今治戦(1-3)も含めて3連敗となった。
 
 甲府は通常の5-4-1ではなく、「ウイルソンを生かしたい」(吉田達磨監督)という狙いから5-3-2の布陣を試した。右ボランチ兵働昭弘、アンカー小椋祥平、左ボランチ田中佑昌の3枚にかかる守備の負担は大きくなる一方、河本明人がウイルソンの近い位置でフォローする関係を作り、前線にボールを入れやすい厚みを作っていた。
 
 1本目は甲府の守備が機能。縦を切りつつ相手ボールをサイドに押し出し、前に踏み込んで奪う狙いがハマっていた。ディフェンスリーダーの山本英臣はインフルエンザで欠いていたが、土屋征夫、新井涼平、新里亮の3バックがチャレンジ&カバーの連係をよく保ち、仙台を完全に封じる。
 
 しかし2本目に入って59分、仙台に三田啓貴のミドルからこぼれ球をつながれ、奥埜博亮の先制ゴールを許す。そこからはボランチの消耗と「ちょっとバラバラになってしまった」(兵働)という連係の崩れから、2本目の残りは仙台ペースに。甲府は攻撃でも奪った後の精度やイメージの共有を欠き、いくつかあったチャンスを決められなかった。
 
 小椋祥平はそんな展開をこう説明する。
「(1本目と2本目の)仙台は各駅停車というか、ボールの動かし方が横横で、一個飛ばしがなかった。トラップしてパスというリズムも変わらなかったので、スライドが間に合っていた部分もある。後半は一つ奥に飛ばされて、ワンタッチで中に落とされて、スライドしたけれど付いてなくて起点を作られて……という感じになっていた」
 
 両チームの主力組がプレーした1、2本目は、仙台が1-0で取った。甲府は宮崎入り後の3試合で、主力組が1点も取れていない。着手して2日目という5-3-2の布陣で守備面の成果こそあったが、攻撃面の不安を払拭できていない。
 兵働はウイルソンの使い方について、こう反省する。
「もっとボールを入れてあげないと、フラストレーションが溜まってしまう。良い動き出しをしてくれているので、もっと入れられるチャンスはあると思う」
 
 ウイルソンの絡んだカウンター攻撃は得点こそ生まなかったが、迫力はあった。だが、それ以上の課題が速攻に持ち込めなかった場合の遅攻だ。兵働も「カウンターはいい形で決められそうな場面があるけれど、いけない時の時間の使い方、ボールの動かし方がもう少し」と口にする。個の能力で相手を上回ることが難しく、戦術的にも守備に比べて手がついてないとはいえ、甲府は攻撃面でのイメージやタイミングの擦り合わせ、受ける動きの不足が目についた。
 
 吉田監督はウイルソンと周囲の連係についてこう説明する。
「アタックのところが思い切れないというか、ちょっと遅かった。今までは周りの選手が急ごうとした時にウイルソンがゆっくりで、『どうせ来ないでしょう』というのがあった。今日は逆にウイルソンの動きが速くて、ボールの後ろにいる選手が合わせられなかった」
 
 1トップと2トップの使い分けについては「どっちでも行けるかなと(思う)」と述べ、併用を示唆している。
 
 一方で吉田監督は結果に対する悔しさをにじませつつ、内容については「今治戦から中2日で、ちょっとした戦術的なトレーニングしかできなかったけれど、その中では中盤の作りも悪くなかった。ウイングバックが攻撃に絡めるかどうかは大きな課題になったけれど、オーガナイズして守備をしてそこからカウンターをするという流れについては良いモノが見られた」と一定の評価も述べていた。
 
取材・文:大島和人(球技ライター)