パンの耳をゲットする有川絢子(通称ジュン、池田エライザ)を目撃し、コミュ障とリア充の格差を感じたブン(上白石萌音)とホクサイ/(C)鈴木小波/講談社・「ホクサイと飯さえあれば」製作委員会・MBS

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■ 【連載】聖地巡礼さんぽ〜あの作品の街を歩く〜Vol.29

【写真を見る】北千住駅西口。大きな商業施設が並び、駅前は常に人でにぎわっている

漫画や映画、ドラマなど、人気作品の舞台となった街を散策し、“住みたい街”としての魅力を深堀していく本連載。ここからみんなの“住みたい街”が見つかるかも?

第29回では、アニメ映画「君の名は。」のヒロイン役で注目を集めた上白石萌音(かみしらいしもね)の連続ドラマ初主演作「ホクサイと飯さえあれば」(MBS・TBSで放送中)を紹介。鈴木小波(さなみ)の同名漫画を実写化した本作は、食べているシーンはあえて描かず、作るシーンによって視聴者の食欲を刺激する異色グルメドラマ。

料理に並々ならぬ情熱を持つ超内向女子・山田文子(通称ブン)が、相棒のしゃべるぬいぐるみ・ホクサイ(声:梶裕貴)に叱咤激励されながら、おいしい“おうちごはん”を通して新たな友情を育んでいくというストーリーが、ほっこりと心を温めてくれる。

その舞台となった街が“北千住”。「撮影する前は単純に『下町』のイメージしかなかったのですが、シナハン、ロケハン、そしてロケと、訪れる回を重ねるうちに『おしゃれな街』へと印象は変わっていきました。いくつかの商店街はもちろん、そこから枝分かれする路地の各所においしそうな食べ物屋さんやおしゃれなカフェなどが点在していて、ドラマプロデューサーの観点からも『絵になる街』だと感じました」と語ってくれたのが、プロデュースの森谷雄さん。

作品に登場するスポットと北千住の街の魅力を、地元に住む人・働く人、そしてドラマの制作の方たちのコメントと共に紹介していきます!

■ 「千住ほんちょう商店街」の「桝屋(ますや)商店」と「石鍋青果店」

「北千住は下町らしさを残しつつ、いくつもの商店街があります。江戸時代最大の宿場町(千住宿)として栄え、そんな歴史の香る北千住の商店街も見ていただきたいと思いました」(制作担当の畝田光記さん)というように、作中にもたびたび登場する商店街。

そのなかでも、登場シーンの多い「千住ほんちょう商店街」をピックアップ。

北千住駅西口から徒歩2分の場所に位置する「千住ほんちょう商店街」は、100店舗以上ものバラエティ豊かな店舗が軒を連ね、活気に満ちあふれている。

第1話に先駆けて放送された第0話「上京・新居飯計画編」で、上京したてのブンが「ホカホカメンチカツ!しかも激安!」と言って、吸い寄せられるように入ったのが「千住ほんちょう商店街」にあるお肉屋さん「桝屋商店」。さらに第1話で、所持金が足りず「ハーフサイズがあれば…」と恨めしそうにメンチカツを眺めるのもココ。

戦前はさくら鍋(馬肉のすき焼き風鍋)を食べられる飲食店だったという「桝屋商店」は、明治時代から約120年続く老舗。

最近の地元について「ご近所付き合いや、行事も多いので町内同士のつながりがある。飲み屋が多く、大学もあるので若い人が増えて、商店街もにぎやかになった」と話してくれたのは、北千住で生まれ育った4代目店主・河村博輔さん。住み心地を聞いた時の「まあまあ」とはにかむ姿が素敵なご主人です。

第1話で、金物店や乾物店などを買い物して回るブンが、レタスを買いに寄った「石鍋青果店」。こちらも地元に愛され続ける老舗で、現在は84歳の石鍋美代子さんが3代目として店を切り盛り。店頭に立つのはもちろん、毎朝自ら車を運転して仕入れに出かけるというからパワフルだ。「住みやすくていいわよ。ここから出られない。若い人に聞いても物価が安くて住みやすいって言うのよ」と、北千住愛あふれる看板娘はニッコリ。

そして「石鍋青果店」には2匹の看板猫も。取材の日は、メスのはなこ(7歳)がお出かけ中だったので、オスのたろう(7歳)にだけごあいさつ。

そして去り際、25歳で嫁いで約60年、八百屋さんとして働き続ける石鍋美代子さんに「私も涙こぼしこぼしやってきたけど、一生懸命やればいいことがあるわよ。かんばんなさい!」と激励され、シビれる気持ちで店を後にしました。人情がすごい!

■ 「わかば堂」

「北千住の商店街も楽しいのですが、さらに、裏路地には隠れた名店もあり、今の北千住を知っていただきたく撮影をお願いしました」(制作担当の畝田光記さん)というのが、路地裏にたたずむ「わかば堂」。

古民家をリノベーションした隠れ家カフェは、落ち着いた雰囲気で食事ができると、女性を中心に人気を集めている。季節の素材を使った料理やスイーツ、自家製パンのほか、各種ワインも豊富に取りそろえるなど、使えるシーンはさまざま。

「大学生からお年寄りまで、老若男女いろいろな方に来ていただけるのが北千住ならではだと感じています。下町の昔ながらの文化と、若い人の新しい文化がうまい具合に交わっていると思います」と、働くなかで感じる北千住の魅力を教えてくれたのが、柔らかい笑顔が素敵な店長・山本英輔さん。

この店の穏やかな雰囲気に溶け込んだ店長さんの姿は、お店に行ってご確認を。

第1話では、おいしそうな香りに釣られてやって来たブンが、池田エライザ演じる有川絢子(通称ジュン)とニアミスする場所として登場するのみだが、今後の放送回も要注目。「こういうおしゃれカフェはイケてるリア充女子が集う場所だから…」とブンが入店を断念した「わかば堂」が、その後どのように描かれるかお楽しみに。

■ 「東京未来大学」

ブンとジュンが通う“千住大学”として撮影が行われた「東京未来大学」。2007年4月に開学した新しい大学で、「(ロケ地に選んだ理由は)二人が学ぶ大学としてイメージにピッタリと感じたからです。キャンパスがとても素敵で撮影は楽しかったです」(制作担当の畝田光記さん)というように、キャンパスはきれいでおしゃれ。

学部は、保育・教育学と心理学を学ぶ「こども心理学部」と、心理・経営・教育を学ぶ「モチベーション行動科学部」の2つ。“理論と実践”のバランスを重視して社会で活躍できる人材を育てることを目指し、その“実践”の一環として地域交流も盛んだ。

「地域の親子を招いて年に3〜4回行うイベント『Chigo Café』、足立区の小学生に経済を学ぶ場を提供する『こどもみらい祭』、足立区の企業や商店とコラボした商品開発や、地域の保育園の遠足で大学見学を行うなど、各学部でさまざまな企画を積極的に行っています」(キャンパスアドバイザーの松葉美渚さん)。

ちなみに、「東京未来大学」があるのは、テレビドラマ「3年B組金八先生」のロケ地として使われていた旧足立区立第二中学校の跡地。リノベーションされているが校舎は残っており、“金八”の聖地としても知られている。

■ 「荒川の土手(虹の広場)」

オープニング映像でも使われているブンのお気に入りの場所が、「荒川の土手」。第1話ではブンがジュンと友達になる場所として、第3話では土手で絵を描くブンに、高校教師・柑田川(かんだがわ)永太郎(通称ろーちゃん、前田公輝)が一目ぼれする場所として、などなど、重要なシーンでたびたび登場する。

撮影が行われた虹の広場周辺は、土日にはランニングする人や野球などのスポーツを楽しむ人でにぎわう地元の憩いの場。すぐ近くには鉄道橋が架かり、千代田線や常磐線、つくばエクスプレスなど、ひっきりなしに行き交う電車を眺めるのも楽しい。

「(北千住は)歩けばすぐに荒川土手まで行ける点も素敵ポイントです」(プロデュースの森谷雄さん)、「お天気のいい時は、最高のお散歩コースになると思います」(制作担当の畝田光記さん)というコメントからも分かるように、土手のある景色は人を引き付け、駅から徒歩で行けるというのはうれしいポイント。

取材を終え、改めて思う北千住の魅力は、アクセスの良さとお店の充実ぶり。

プロデュースの森谷雄さんも、「『住む街』として考えた時、やはり沢山のお店と乗り入れている路線の数は魅力的だと思いました。学生さんや若いサラリーマンやOLさんにはとても便利な街なんじゃないかなと思います。川も近くて開放感も得られます」と話し、「僕が若かったら、住んでしまうかもしれません(笑)」と住む街としての北千住に太鼓判。

取材先の方々も全員、一番の魅力として挙げるほどアクセスの良さは抜群。

また、主人公・ブンの自炊料理は商店街でそろえられる食材ばかり、というのも本作のポイント。実際、スーパーでまとめて買えるものではあるけれど、「餅は餅屋」と言って、精肉店、金物店、乾物店、青果店を巡り、彼女流の“ショッピング”を楽しんでいるのが微笑ましい。その「餅は餅屋」の買い物を、当たり前にできるのは、商店街が元気な北千住ならでは。

ちなみに、商店街といえばこんなほっこりする裏話も。

「撮影していた場所の近くの団子屋さんが萌音ちゃんと同じ鹿児島出身の方で、萌音ちゃんが鹿児島弁でお話ししているのを耳にしました。とても微笑ましい光景でしたよ」(プロデュースの森谷雄さん)。

食べることの楽しさ・大切さを、多彩なアイデアとほっこりとしたストーリーで見せてくれる「ホクサイと飯さえあれば」。ドラマの世界にマッチした北千住へ、アクセス便利な電車に乗って、ふらりと遊びに行ってみよう。【東京ウォーカー/小林未亜】

第30弾は2月下旬配信予定