「意外と知られていないのは、勃起と射精は一連の流れではなく、医学的には別々の経緯を介して起こる現象なのです」
 こう語るのは、ED治療の第一人者で『浜松町第一クリニック』院長の竹越昭彦氏だ。

 驚く人も多いはず。我々の感覚では、勃起→射精でこの流れは同じだと思っていた。
 「いえ、簡単に説明すると勃起は副交感神経、射精は交感神経が支配しているのです」

 本コーナーの愛読者ならすでにご存じだと思うが、勃起は副交感神経(つまりリラックス状態)の時に起こりやすい。
 「やる気マンマンでは勃起しにくいのです。また、初めてセックスをする相手だとなかなか勃起できないのもコレが原因。緊張や不安を抱えていては勃ちにくいのです」

 むしろ、長年連れ添った妻やずっと交際している彼女が相手のほうが、気負ったり緊張したりすることがないため、勃起現象は起こりやすいと言えるのだ。
 そのためED解消の秘訣は、“心を落ち着かせること”と、このコーナーでも紹介してきた。
 「もちろん、それに間違いはありませんが、射精に関しては別なんです。男性は交感神経が優位に働かないと射精できない。いわば闘志に溢れ、アドレナリンも全開。この状態に持ち込んだ時、射精となるのです」

 つまり我々男性は、勃起から射精という流れの中で、副交感神経から交感神経へ瞬時に切り替えているのだ。
 「いつまでも元気な男性は、この“切り替え”が上手なんです。セックスをする前はまったりとした気分なのに、いざ女性に挿入した途端、ケモノになれる。逆にED気味の方は、この切り替えがうまくできていない」

 では、勃起から射精の切り替えはどうすれば上手にできるようになるのか。
 「一番のお勧めは、朝のセックス。人間は寝起きの時は副交感神経が非常に優位な状況ですからね」

 朝勃ちという現象もその一つ。まだまどろみの中にいて、アレコレと余計なことを考えるほど頭も回転していない。いわばストレスの少ない状況なのだ。
 「当然、第一関門である勃起はしやすい。ただし、一方でまだ脳がしっかりと働いていない状態のため、射精はしにくい。だから、最初のうちは、朝セックスでは射精を目的とせず、挿入することだけを考えてください」

 まずは挿入。そして、しばらく入れたまま、目が覚めてくるのを待つのだ。
 「次第に脳が働き始めると、自然と人間は交感神経が優位になります。つまり、だんだん射精しやすい状況となるんです」

 寝起きは時間の経過とともに、副交感神経→交感神経に切り替わる時でもある。この自然現象を利用して、勃起→射精を行ってしまうのだ。
 「これがうまくいくようになれば、朝でなくても、セックス時は副交感神経から交感神経への切り替えがスムーズになるんです。また、この切り替えが上手になれば仕事もできる男になれます。程よく気を抜いて、ここぞという場面で気を張れる」

 勃起と射精は全くの別物と考えて、自分の体をコントロールしていこう!

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竹越昭彦氏
『浜松町第一クリニック』院長。ED治療の第一人者で、バイアグラやレビトラ、シアリスといった治療薬のそれぞれの効果や服用法などに精通。著書に『40代からの心と体に効く【生涯SEX】のすすめ』(扶桑社新書)がある。