過眠症(ナルコレプシー)とは?|セルフチェックと睡眠の質を高める方法

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いくら眠っても眠い! Fuminners(フミナーズ)読者の中には、そんな悩みを抱えている人も少なくないはず。もしかすると、その眠気は「過眠症」によるものかもしれません。では、その過眠症とはどんな病気なのでしょうか。原因や症状の抑え方などをまとめました。

【目次】過眠症とは?過眠症の主なタイプ/症状過眠症の原因過眠症かも? と思ったらチェックしよう過眠症(ナルコレプシー)を改善する方法規則正しい睡眠をとるコツ

過眠症とは?

過眠症とは?

過眠症とは睡眠障害の一種で、「夜間に十分に睡眠時間をとっているはずなのに昼間に耐えられないほど強い眠気が生じ、起きているのが困難になる症状」のことです。

米国国立神経疾患・脳卒中研究所(National Institute of Neurological Disorders and Stroke(NINDS))によると、過眠症は仕事中や食事中、会話中など、眠ってはいけないときに何度も居眠りしたくなるような強い眠気に襲われるという特徴があります。
 
この眠気によって、集中力や持久力が損なわれるため、仕事や学業に支障をきたすことが多くなります。できる限り早期発見、早期治療をしたい病です。

過眠症の主なタイプ/症状

過眠症の主なタイプ/症状

過眠症の症状は、大きく4タイプに分けられます。

ナルコレプシー

日中に30分程度の短い睡眠を繰り返します。世界的には1,000人〜2,000人に1人がかかっているとされており、10代で発症するケースも多くあります。

<主な症状>

日中に耐え難いほどの眠気に襲われ、眠ってはいけない場面でも急に眠ってしまう(睡眠発作)睡眠発作の時間は長くても30分以内で、目覚めた後は一時的にスッキリする笑ったり怒ったりすると、突然全身の力が抜けてしまう。ひどいときにはへたり込んでしまうこともある金縛りにあったり、現実と区別がつかないような夢を体験したりする

うつ病に伴う過眠症

うつ病を患っている人が、日中に強い眠気を感じてしまう症状。うつ病患者は睡眠に問題がある場合が多く、特に「※非定型うつ病」の人に過眠症状が見られます。

<症状>

倦怠感とともに気だるい眠気を感じる日中の長い時間を眠って過ごしてしまう

※非定型うつ病…20〜30代女性に多く現れる症状で、うつ病の主症状である「気分の落ち込み」が2週間以上続く。同時に、常にふさぎ込むのではなく楽しいことがあると明るい気分になる。
 
さらに、
・食欲が増す
・過眠傾向にある
・疲労感が強く手足が重く感じる
・夕方〜夜にかけ調子が悪くなる
・他人の顔色が気になってしまう
ことのうち2つ以上症状が見られる場合に、非定型うつ病と診断される。

過眠症とうつ病の関係

うつ病に伴う過眠症の場合は、うつ病の治療をメインに行います。治療は、抗うつ薬や抗不安薬などを用いた薬物療法と、医師との対話や様々な交流を通して気持ちのコントロール方法を身につける精神療法の2つを中心に行います。
 
過眠症状に対しては、睡眠導入剤を取り入れ、夜間の睡眠障害を改善していきます。

病院に行くなら何科を受診する?

日中のひどい眠気など、過眠症が疑われる不調が続いたときは、早めに睡眠外来を受診するのがベスト。近くにない場合は、かかりつけの医師に相談するのも一つの手です。かかりつけ医がいない場合は、産業医や近所の内科・婦人科・小児科など身近な医療関係者にまずは症状を相談してみましょう。症状を正確に伝えるために、事前にセルフチェックしておくと理想的です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)に伴う過眠症

睡眠中に気道が閉塞して無呼吸の状態になる「睡眠時無呼吸症候群」が原因です。眠りが浅くなったり、目が覚めたりすることで睡眠不足となり、その結果、眠気が十分に解消されず過眠となります。肥満体型で激しいいびきをかく人や、顎が小さい人などに多く見られます。日本の患者数は成人男性の4〜5%以上、女性(特に更年期以降が多い)の1%以上と推測されています。

<症状>

睡眠中、呼吸がしばしば止まっている起床時に疲労感がある勉強中や仕事中、集中が続かない

特発性過眠症

過眠症状を起こす明らかな原因がない場合に診断される病気です。 10〜20歳代に発症することが多く、有病率はナルコレプシーよりやや少ないと推測されています。

<症状>

昼間に強い眠気が起こり、急に眠り込むこと(睡眠発作)がある睡眠発作が1時間以上続き、目覚めた後も眠気が持続し、リフレッシュ感が乏しい夜間の睡眠が10時間以上と長い

過眠症の原因

過眠症の原因

そもそもなぜ「過眠」という症状が出るのか、睡眠の仕組みから考えてみましょう。過眠症は、脳内の覚醒コントロール機能の異常が引き起こす症状です。
 
睡眠は、「睡眠を作り出す仕組み」と「覚醒を作り出す仕組み」のバランスを保つことで成立しています。ところが、そのバランスが崩れると、脳のコントロールセンターに障害が出ます。脳の視床下部にある覚醒のコントロールセンターが命令を出すと「覚醒」状態になりますが、このコントロールセンターがきちんと機能しなくなると、脳内に覚醒命令が出ず眠気を感じるようになるのです。

過眠症かも?と思ったらチェックしよう

過眠症かも?と思ったらチェックしよう

「過眠症かも?」と感じている人は、症状を把握するためにセルフチェックをすることをおすすめします。
 
よく使用されているのが、「エップワース眠気尺度」(ESS)というチェックシート。日常生活で感じる眠気について評価するためのテストで、世界中の医療機関や産業保健の現場で広く使われています。
 
最近の日常生活を思い浮かべ、0から3のうちで最も当てはまる番号を1つチェックしましょう。質問項目にある状況になったことがない場合は、その状況にあったとしたらどうなるか想像して答えてください。

座って本を読んでいるとき、居眠りをすることは
絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

 

テレビを見ているとき、居眠りをすることは
絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

 

人の大勢いる場所でじっと座っているとき(会議や映画館など)、居眠りをすることは
絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

 

他の人が運転する車に乗せてもらっていて、1時間くらい休憩なしでずっと乗っているとき、居眠りをすることは
絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

 

午後じっと横になって休んでいるとき、居眠りをすることは
絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

 

座って人とおしゃべりしているとき、居眠りをすることは
絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

 

お昼ご飯のあとに静かに座っているとき、居眠りをすることは
絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

 

自分が車を運転していて、数分間信号待ちをしているとき、居眠りをすることは
絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

総合得点が11点以上の場合は日中の眠気が強く、過眠症の疑いがあります。早めに睡眠障害の専門医を受診すると良いでしょう。

過眠症(ナルコレプシーなど)を改善する方法

過眠症(ナルコレプシー)を改善する方法

過眠症の症状改善には、次の2つの方法があります。

薬を用いた治療

眠気に対処するためには、脳の活動を活発にすることが重要。そのためには、メチルフェニデートやモダフィニルなどの「中枢刺激薬」という種類の薬が有効とされています。睡眠外来などを受診すると、診断によって症状に合った薬として、クロミプラミンなどの抗うつ薬を処方される場合もあります。

規則正しい生活をする

夜勤や眠るまでの行動を見直して、睡眠時間が不規則になることを減らすように、普段の生活や行動を改善して症状を抑える方法です。まずは起床時刻と睡眠時間を決め、規則正しい生活を送ることを心がけましょう。日中の眠気をコントロールするために、昼休みなどに10〜30分程度の仮眠をとるのもおすすめです。

規則正しい睡眠をとるためのコツ

睡眠の質を高める上で押さえておきたいのが、「体内時計」を整えることと、「就寝前にリラックス」することです。

朝日を浴びる習慣で「体内時計」を整える

睡眠の質を高める上で欠かせないのが、睡眠ホルモンとも呼ばれ、自然な眠気を促す作用がある「メラトニン」です。メラトニンの量が不足していると寝つきが悪くなるなど、睡眠の質が悪化する原因になります。
 
メラトニンの分泌を高めるには、朝日を浴びて「体内時計」のリズムを整えることが大切。メラトニンは朝目覚めて太陽の光を浴びてから約14〜16時間後に分泌が始まり、その1〜2時間後に分泌量が上昇して真夜中にピークを迎えます。

就寝前、照明を落としてリラックスする

メラトニンは目から入ってくる光によって分泌が抑えられるので、メラトニン分泌量が増える就寝1〜2時間前には照明を落として部屋をなるべく暗くするようにしましょう。スマートフォンやパソコン、TVなども心地良い寝つきを妨げます。眠る前の使用は避け、心身がゆったりできる環境を整えましょう。お好みでアロマやハーブティー、ストレッチなども良いでしょう。
 
過眠症は、早めに受診して適切な治療を受ければ、日常生活に支障をきたすことのないレベルの症状に抑えることも可能といわれています。セルフチェックで自身の症状を把握して過眠症に心当たりがあれば、まずは早めの受診を検討しましょう。
 
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
<参照>
『睡眠障害のなぞを解く』(講談社)櫻井武
 
田辺三菱製薬 Suimin.net
http://www.suimin.net/step1/syndrome/type_b/
 
宮島薬品株式会社 睡眠障害
http://www.miyajimayakuhin.co.jp/580
 
医療法人 和楽会
http://www.fuanclinic.com/byouki/karada.htm
 
眠すぎるのは過眠症かも?危険度をセルフチェック!(坪田聡先生監修)
https://allabout.co.jp/gm/gc/302294/
 
ナルコレプシーの原因とメカニズム(坪田聡先生監修)
https://allabout.co.jp/gm/gc/302274/
 
ナルコレプシーの治療法・対策法 (坪田聡先生監修)
https://allabout.co.jp/gm/gc/302295/
 
アステラス製薬 なるほど病気ガイド「うつ病」
https://www.astellas.com/jp/health/healthcare/depression/basicinformation06.html

photo:Getty Images