『ホワイトリリー』のヒロイン、飛鳥凛と中田秀夫監督

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Jホラーの名手・中田秀夫監督が「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の題材に選んだのは、艶めかしいレズビアンの師弟愛を描く『ホワイトリリー』(2月11日公開)だ。オーディションでヒロインの座を勝ち取った飛鳥凛と中田監督にインタビューし、初めて挑んだロマンポルノの現場について話を聞いた。

【写真を見る】白百合を散りばめた女性同士の濡れ場が美しい/[c]2016 日活

陶芸家の登紀子(山口香緒里)と出会い、彼女に心酔して身も心も捧げていくはるか(飛鳥凛)。飛鳥にとって初の濡れ場は、山口との絡みとなった。「本当にあっという間で撮り終わって楽しかった記憶しかないんです。もっとぴりぴりした感じなのかと思ったら、現場はとても活気づいていました。山口さんや中田監督、そしてスタッフの方々と共に闘った感じで、すごく充実した撮影期間でした」。

中田監督はロマンポルノのメガホンをとるのは初めてだが、日活に入社後、小沼勝監督らのロマンポルノ作品の現場で助監督を務めた経験がある。監督は最近観直した『団地妻 昼下りの情事』(71)で、前衛的な撮り方に驚いたそうだ。

「オーラルセックス中という設定で、白川和子さんのアゴやのどに寄っているシーンがあるんです。のどがゴクゴクと動いているんですが、そのシーンがすごいなあと。1本目からこんな表現をされていたのかと改めて驚きました。そのシーンですごく白川さんのエロスを感じたんです」。

ロマンポルノの約束事の1つに、10分に1度の濡れ場シーンをいれるとあるが、、本作では美しい指でロクロを回す何気ないシーンも実に官能的だ。「僕自身、指フェチというわけではないんですが、飛鳥さんの手の指や足の指、町井くんの指などは、敢えて露骨にクローズアップしました。指だけじゃなく唇もそうです。実際にセックスする時に使う部位ですから、当然意識はしました」。

ある日登紀子が有名陶芸家の息子である悟(町井祥真)を新弟子として連れてきたことで、はるかの心はかき乱されていく。やがて3人が交わる怒涛の展開を迎えるが、すでに山口とのラブシーンを何度かこなした後だった飛鳥は、現場でも肝がすわっていたようだ。飛鳥が「町井さんは撮っている最中から『どうやって演じよう』と悩まれているようでした」と申し訳なさそうに言うと、中田監督は大いにうなずく。

「そうそう。彼のなかで羞恥心がまだ残っているというのが逆に良くて。あのシーンは登紀子先生にセックスを強要されるわけだから、それがむしろプラスだと思ったんです。町井くんは人間としても俳優としても、とても真面目な人だから、今回のチャラ男役は難しかったんじゃないかと。それにレズビアン主体の映画に、男が後から入っていくわけだから、むしろ男の方が緊張するんです。ロマンポルノを何十本もやっている人なら別ですが、初めてやる人は男性スタッフに見られるのもけっこう恥ずかしいと思います。ただ、僕はストレートな人間ですが、町井くんの裸体もとても美しいと思いました」。

飛鳥も同シーンを振り返り「町井さん、ずっと緊張していてすごく汗をかいていましたが、私は現場に慣れてきた頃だったので、ケタケタ笑っていたんです。『ラストシーンだったのですが、大丈夫ですよ』と言いながら」と余裕を見せる。

中田監督は「設定自体がクレイジーで、町井くんはそこに迷い込んだ住人の役ですから」と話す「裸で歩いていくシーンではかなり悩んでいました。前貼りだけじゃなくてお尻も隠しているから、お尻のテープが見えないように歩かないといけなくて。でもちゃんと前貼りをするからこそ、演技としてのラブシーンができる。いわゆる擬似の設定だけど、お客さんにはあたかも本当にやっている感じに見せなければいけない。これまでのロマンポルノを観ると、そこは本当に“匠の技”だと思いました」。

本作で体当たり演技に挑んだ飛鳥は、最後に清々しい笑顔でこう語った。「今作で自分の殻を破ることができたと思います。いままで映画やドラマでラブシーンを演じたとしても、そういう絡みのシーンは撮ったことがなかったので、感情がつながっていない作品が多かった気がします。でも今回は1本まるまる通して艶めかしいところまでリアルに演じられました。すごい経験ができたと思います」。【取材・文/山崎伸子】