開幕を前に、約1億2000万円の赤字を計上する見込みとなった長崎。この事態を受け、フロントが引責辞任する事態となった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 J2のV・ファーレンが、深刻な経営不振に陥っている。2016年の決算が約1億2000万円の赤字を計上するとの見通しで、これはJ2に昇格してから最高の赤字額になるという。
 
 これを受けて、池ノ上社長が責任を取る形で辞任届を提出し、岩本専務取締役や服部取締役はすでに辞任していて、Jリーグから監査が入っているとの報道もあった。
 
 広告料収入の大幅ダウンや、入場料収入も見込んでいた数字に届かなかったことが、赤字の原因となったようだね。いずれにしても、厳しい現実を突きつけられたというわけだ。
 
『ダ・ゾーン』との大型放映権の契約で、Jリーグの優勝賞金が倍増されるのはポジティブな側面とはいえ、経営に苦しんでいるクラブは少なくないようだ。今回はV・ファーレンがニュースになったけど、たしか2年前には愛媛が粉飾決算で制裁を受けたよね。
 
 ライセンス制度ができて、短期に資金を集めようとしているのか、それが思うようにいかず、厳しい状況に四苦八苦しているのかもしれない。
 
 また、V・ファーレンも愛媛も、J1昇格を視野に入れてシーズンを戦っている部分はあると思う。でも、そうしたビジョンがクラブにとって果たして良いことなのか。上を目指すことが、逆に身の丈に合った経営を圧迫しているのではないだろうか。
 
 海外の下部リーグには、昇格を目標にしないで、地域の若い選手をちゃんと育てて、トップリーグに売却してクラブ運営を安定させていくという文化が根付いているよね。でも、日本はまだその段階にはない。配分金も増えるし、とにかくJ1を、という風潮があるような気がしてならない。
 
 応援するクラブがトップリーグに所属していなくても、週末にスタジアムに行って、試合を見て、友だちの輪が広がって、サッカーをエンジョイする。それで十分に有意義な時間を過ごすことができると思うんだけど、やれ昇格だと煽って、各クラブに無理をさせていたら、それはあまり好ましくない状態だよね。
 
 チームが存続するために、なにをすべきか。優勝を狙うのは別にいいとして、クラブが持てる力の範囲内で戦うべきなんじゃないのかな。無理をして、経営が行き詰り、活動できなくなっては、本末転倒だよ。
 
 V・ファーレンに関しては、入場料収入が伸び悩んでいるようだけど、地域密着という点でも抱える問題が小さくないのかもしれない。もっとも、街の大きさからすればポテンシャルがないわけではないし、約1億2000万円も取り戻せない額ではないはずだ。
 
 多くのJクラブがいまだ企業スポーツとしての側面を残していて、アマチュアリズムから完全に脱却できているわけではない。そうした現状のなかで、V・ファーレンはどんな指針を示して、歩もうとしているのか。
 
 赤字を計上するような経営を改める必要があるのは間違いない。シーズン前のキャンプには行かないとか、移動費を節約するとか、いろんな面で経費削減ができると思う。
 
 社長が変わったからといって、クラブの状況が良くなるとも思えない。地道な努力が必要なんだ。V・ファーレンの今後の動向には注目したいね。