圧巻のパフォーマンスでツアーを締めくくったOGRE YOU ASSHOLE

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OGRE YOU ASSHOLEのワンマンライブツアーが、2月4日の東京・恵比寿LIQUIDROOMでツアーファイナルを迎えた。全14公演のラストを飾ったライブの模様をリポートする。

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昨年11月にリリースされたアルバム『ハンドルを放す前に』が、各種音楽メディアでも絶賛された彼ら。同アルバムのリリースに合わせた今回のツアーでは、昨年11月26日の宮城・仙台Hookを皮切りに、年をまたいで計14公演を実施。北は札幌から南は鹿児島まで、各地を大いに沸かせてきた。

ツアーファイナルとなった今回の恵比寿LIQUIDROOM公演は、チケットが早々にソールドアウト。ライブバンドとしても定評のある彼らが、新作を通してどのような進化を遂げたのか、音楽ファンからの高い注目度を集めていた。

立すいの余地なく詰め掛けた観客を前に登場したメンバーは、出戸学(Vo./Gt.)の「あ、こんばんはOGRE YOU ASSHOLEです。よろしくお願いします」というシンプルなあいさつとともに、アルバムに先掛けシングルとしてリリースされた“はじまりの感じ”からライブをスタート。

穏やかなビートの中で、浮遊感のあるギターのフレーズが鳴り響く落ち着いた立ち上がりではあるものの、楽曲のタイトル通り、それが「何かが始まる前の静けさ」のようにも感じられる。

続く“ハンドルを放す前に”では、極限まで無駄をそぎ落としたかのような簡素で音数の少ないサウンドを展開。まったりとしたリズムでありながら、そこにユルさは感じられず、単色の照明と相まって独特の緊張感を醸し出す。

かと思えば、後半はボーカルやギターの音を重ねたドローン/シューゲイザーのような音像に様変わりし、一気に音のスケールを増していく。そのただならぬ音響に、観客は早くも「一音も聞き漏らすまい」とばかりに聴き入っていく。

リフのギターのカッティングが印象的な“なくした”の後、出戸は「今日はツアーファイナルに来てもらってありがとうございます。最後まで楽しんでいってください」と感謝の言葉を。多くは語らないものの、ここから演奏はさらに冗舌になっていく。

続いて披露されたのは“ライフワーク”。先ほどまでとはかなり趣の異なる、どこか爽やかさすら感じるナンバーに、観客も思い思いのリズムで体を揺らしていく。

出戸と馬渕啓(Gt.)のギターが有機的に絡み合う“マスク”や、“クラッカー”など、USインディーからの影響を感じさせる楽曲が並ぶ中、初期の楽曲“タニシ”が披露されると、観客からは歓声が。

音源ではピコピコ音と相まった絶妙な「軽さ」が耳に残るこの曲だったが、この日はしっかりとしたバンドサウンドを展開。バンドのトレンドを反映させたアレンジで、確かな進化の足跡を見せつけた。

“頭の体操”では、無機質でどこか脱力した雰囲気から大きくアレンジを変え、かなりダンサブルなテイストに。音源として形にする際「冷凍」したサウンドを、ライブを通して「解凍」させたかのような、血の通ったビートでフロアを揺らしていく。

打って変わって“寝つけない”では、どこか呪術的でドロドロとしたグルーヴを展開。シンプルな演奏ながらも要所でエフェクトを豪快にかけていき、「これぞオウガ!」というサイケデリックな音像を全身で浴びた観客は思わず酔いしれる。

さらに、盆踊りなど和モノのリズムを想起させる“かんたんな自由”へ。あえて「踊れる曲」を続けず、間にサイケな曲を挟むこの緩急を前にして、観客のボルテージも否応なしに上昇していく。

そんな観客の熱量が一つの大きなうねりとなり、爆発したのが“フラッグ alternate ver”。途中ビートを変えつつ、時間をかけてじっくりと「溜めこまれた」後のカタルシスに、観客は猛烈な盛り上がりで応えてみせた。

続く“見えないルール”でも、音源よりも熱を帯びたアグレッシブな演奏で畳み掛けていく。後半馬渕が怒濤(どとう)の勢いでギターをかき鳴らすという、ライブではおなじみのパフォーマンスに、客席からも大歓声が沸き上がった。

メロウかつミニマルな響きの“あの気分でもう一度”で再び一息入れた後、“わけもなく”ではまるで水中で聴いているかのような、浮遊感のあるサウンドに魅せられる。空間そのものを覆っていくような、豊かな音像が心地よく響き渡った。

そのまま流れるように“移住計画”へとなだれ込むと、さまざまな効果音も相まって、まさに楽曲で歌われている「宇宙への船出」のようなスケールを感じさせていく。

いよいよライブも終盤に差し掛かり、ここで満を持して“ロープ long ver”を投下。前曲からの流れをくみ取りながら、すべてを飲み込むような勢いで音を練り上げていく。最後はすさまじいごう音と濃密なアンサンブルで観客を圧倒してみせた。

その後、エピローグのような“もしあったなら”で本編が終了。「もっと欲しい!」と言わんばかりの熱烈なアンコールに応え、再登場した出戸は「今日は皆さん本当にどうもありがとうございます。あと2曲やって終わりにします」とあいさつ。

そこで披露されたのは、名曲“夜の船”。出戸の弾き語りから始まる展開に驚きの声が上がる中、彼らの楽曲の中でも屈指のメロディーと、出戸の繊細な歌声が美しく響き渡る。また、バンドサウンドと相まることで、さらに詩情豊かな演奏を繰り広げた。

この日のライブを締めくくったのは“ワイパー”。ここですべてを出し切るかのごとく、終盤にごう音で埋め尽くし大団円。見どころだらけの熱いライブに幕を下ろした。

2時間足らずのライブでありながら、それを感じさせない密度の濃いパフォーマンスで観客を圧倒した彼ら。最新アルバムから最初期のナンバーまでを網羅したセットリストに、観客たちは一様に満足げな表情を浮かべていた。