衝撃作『お嬢さん』のベッドシーンについて語ったチャヌク監督

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 映画『オールド・ボーイ』などで知られる韓国の鬼才パク・チャヌク監督が9日、都内で行われた映画『お嬢さん』ジャパンプレミアイベント(第2夜)に来場し、本作で「今までの映画史で一番セリフの多いベッドシーン」を目指したことを明かした。

 英国の作家サラ・ウォーターズの傑作「荊の城」を原案にした本作は、美しく純真な令嬢・秀子と、その財産を狙う詐欺師、そして侍女になりすました孤児がだまし合いを繰り広げる官能サスペンス。韓国では成人映画(R19指定)のオープニング記録を更新したほか、アメリカ、フランスを合わせると、すでに500万人以上の動員を果たすなど、世界的にも注目されている話題作だ。

 原作では、19世紀ヴィクトリア朝だった舞台設定を、1930年代における日本統治下の朝鮮半島に置き換え。戦前の建造物が多く残る三重県を中心に日本ロケも行われたほか、日本語のセリフがところどころで飛び交うなど、日本的要素が満載となっている。この日、登壇したパク監督は「舞台を日帝時代に置き換えたことを今、少し後悔しています。この『お嬢さん』のプロモーションでいろんな外国に行ったが、日本に来るのは避けようと思っていた」とジョークを交えて切り出すと、「韓国の俳優たちは一生懸命日本語を練習して臨んでくれた。外国人ということで少し未熟という点が多々あるかと思いますが、韓国から見た日本はこうなのかなと思って、温かい目で見守っていただけたらうれしいです」と呼びかけた。

 この日はゲストとして、松本潤と有村架純主演で今秋公開予定の映画『ナラタージュ』の原作者としても知られる作家の島本理生も来場。「パク監督は、映画の作風から激しい方なのかと想像していたら、とても穏やかで優しい方。監督は会う方からギャップがあると言われませんか?」という島本の言葉に、「実はよく言われます。特に『オールド・ボーイ』の頃は、どこに行っても、革ジャンを着ている人や、チェーンを巻いている方、体にタトゥーが入っている方にファンだと言われることが多かったけど、最近は女性ファンが増えてきてうれしいです」と穏やかに微笑んだパク監督。

 さらに島本からは、本作のベッドシーンについて「男女のベッドシーンだと、どんなに愛し合う二人でも力関係や上下関係が出てしまう。しかしこの女性二人のベッドシーンは対等に見えた。監督は、男女と、女性同士のベッドシーンとの違いを感じたことはありますか?」といった質問が。それに対して、「脚本を書くときから決めていたことがありました。それは映画の歴史の中で、一番セリフが多いベッドシーンを撮ろうと思ったということなんです。単なる運動をしているだけではなく、2人が会話を交わしながら、心と感情を共有しあうようなベッドシーンにしたかった。体は後からついていくんです」と明かすパク監督。

「きっと男女だったら、これほど親密な会話を交わしながらのベッドシーンを撮るのは難しかったでしょうね」と付け加えると、「やはり男性が入ると、射精という目的があるため、そこに向けて走っていく描写となり、その瞬間にシーンが終わってしまう。しかし今回は女性同士ということで、(愛を交わす)過程を重要視しているので、目標に到達する前に終わるんです」と解説。「普段だと、大勢の皆さんを前にこういう話をするのは妙な気持ちになるものだけど、この映画に関しては性欲に素直だと認めている人物だし、性を礼賛するような映画になっているので、まったく妙な気持ちにならないですね」と笑顔を見せた。

 そして最後に「映画に詳しくない女性に何か映画を薦めるとしたら?」という島本の質問に、パク監督は「大好きな映画はいくつかあるが、ルキノ・ヴィスコンティの『山猫』、成瀬巳喜男の『乱れる』、キム・ギヨンの『下女』、ニコラス・ローグの『赤い影』、それからアルフレッド・ヒッチコックの『めまい』などですかね」となかなか通好みのラインナップをあげて、島本を感心させていた。(取材・文:壬生智裕)

映画『お嬢さん』は3月3日より全国公開