就任1カ月、トランプ大統領が選挙中の勢いそのままに飛ばしています。金融・経済政策では日本も名指しされています。今後の通商交渉では様々な攻撃・口撃を仕掛けてくることは必至。このやっかいな大統領に日本はどう対峙すべきか!? 経済のプロも愛読しネタ元にしていると評判の刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が徹底的に掘り下げて考えます。

強硬な通商交渉と通貨安誘導批判
いきなり「切り札」を切ってきた

円安誘導批判は「いずれ出てくる」とは考えられていましたが、2月10日の日米首脳会談を控えて「思ったよりずっと早く」仕掛けてきました。

「今後の通商協定には通貨安誘導に極めて強い制限を導入していく」(1月26日)「中国や日本は何年も通貨安誘導を繰り広げている」「米国の貿易赤字は他国の資金供給と通貨切り下げが原因である」(1月31日)等々。

 本紙は当初、トランプ大統領は第一弾として各国との通商競争を強硬な姿勢で臨み、それが行き詰まったら第二弾として相手国の通貨安誘導をやり玉に挙げる「二段作戦」に出てくるだろうと考えていました。しかし、上記の発言を見るに最初から通商政策と通貨政策を「セット」で臨むようです。

 これはあまり「得策」とは思えません。なぜなら、中国、日本、それからドイツ、韓国、台湾、さらにはカナダ、メキシコと各国の通貨安政策を順番に批判していって、それでもドル高が止まらなかったら次に打つ手がほとんどなくなってしまうからです。一連の発言は今後の通商交渉で有利に立つためですが、将来の有効な為替(ドル高)対策のカードを1つ無駄に切ってしまったことになります。

 結局はさらに将来の中国や日本に対する通貨安誘導批判が大きくなるだけですが、さすがにトランプもいきなり中国と対峙することは避けるでしょう。うまい具合に2月10日に日米首脳会談が予定されていますので、まずは熾烈な日米通商交渉の火蓋が切って落とされるはずです。

 さらに1月31日のトランプ発言では、資金供給(Money Supply)も槍玉に上げています。これは(必ずしも明確ではありませんが)日銀の量的緩和を指しているはずです。現在で量的緩和を行っている中央銀行は、日銀、ECB、イングランド銀行だけであり、どう考えても最初の槍玉は日本であると身構えておくべきです。

通商交渉は「弾を使わない戦争」だ
日本はトランプ政権とどう戦うべきか

 ここは日銀の量的緩和を含む通貨安誘導批判に対する「しっかりした反論」と、妥協する場合の優先順位を決めて交渉に臨まなければなりません。昔から通商交渉とは「弾を使わない戦争」であり、理屈を主張しても何の役にも立ちません。

 日本の通貨安誘導批判には過去の為替介入(ドル買い介入)が含まれていることは間違いなさそうです。確かに円高を和らげるための介入もありましたが、同時多発テロ後の低迷から抜け出せない米国に35兆円ものドル買い介入を強行し、米国の金融システムとドルの信認を補強した「溝口介入」もあります。感謝こそされ批判される謂れのない介入もありますが、この期に及んではそんな主張もまた無意味です。

 介入の結果1兆2000億ドル以上に積みあがった外貨準備高は国債の発行(つまり国民負担)が原資であり、最近の低金利で以前ほど利鞘も稼げなくなっています。幸か不幸か現在のドルの水準は、外為資金特別会計のトータルコスト(1ドル=100円近辺)を上回って含み益となっています。

 2〜3年先には大幅なドル安になっている可能性もあるので、ここでトランプの通貨安誘導批判に対して「外貨準備をいつでも減らせるフリーハンド」を得ておくべきと考えます。

 同時に、国内的にも全く意味がなくなっている量的緩和の縮小スケジュールも用意しておくべきでしょう。一時的に日本の金融市場にショックをもたらすかもしれませんが、今やっておかないと将来もっと大きなショックがやってくることになります。

闇株新聞が「将来もっと大きなショックがやってくる」と分析する理由は何か? ならば量的緩和縮小は具体的にどのように行うべきか!? 等は、本連載の本編である金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」で徹底的に解説しています。今、世界で何が起こっているのか、その裏側にはどんな闇が潜んでいるのか? 日々のニュースを闇株新聞と一緒に考えていきましょう。