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●世界でも最安水準の料金設定
2月8日、英Perform GroupとNTTドコモは共同で記者会見を開催し、Performのスポーツ専門配信サービス「DAZN」(ダ・ゾーン)のNTTドコモユーザー優待版「DAZN for docomo」を、2017年2月15日から提供開始する。ドコモユーザーは月額980円(税別、以下同)から利用できる。

○世界の主要スポーツのライブ中継に対応

DAZNは英Perform Groupが2016年夏に立ち上げたスポーツ中継専門のストリーミング配信サービスだ。ドイツ、スイス、オーストリアなど欧州に加え、2016年8月からは日本でも配信を始めている。

サッカー(セリエA、ブンデスリーガなど)やメジャーリーグ(MLB)、バスケットボール(NBAなど)、アメフト(NFL)といった世界的な人気スポーツから、F1やラリーなどのモータースポーツ、ユニークなところではダーツやボウリング、ビリヤード、卓球、釣りといった、さまざまなスポーツ競技のフルHD解像度でのライブ中継/オンデマンド配信を行なっている。

日本ではバレーボールのプロリーグであるV・プレミアリーグ(全試合)とV・チャレンジリーグ(一部の試合)、広島東洋カープや横浜DeNAベイスターズの試合の配信を行うほか、2017年から10年契約でJリーグの動画配信を含む有料放送放映権を獲得している。

DAZNは、昨年(2016年)8月にスタートした時点での利用料金は月額1,750円(ちなみに欧州では9.99ユーロ=約1,200円)だったが、今回の提携により、DAZN for docomoの利用でNTTドコモユーザーなら月額980円で契約できる。これは世界的にみても最安水準の料金設定だ。

●ライバルも値下げで対抗
サービス内容は既存のDAZNと変わらず、ログインをドコモのdアカウントで行うことと、利用料はドコモユーザーであれば携帯電話料金と合算で支払える点が異なる。また、「dTV」(月額500円)と同時に契約した場合、980円+500円=1,480円のところ、200円引きの1,280円で利用できるセット割引も用意されている。

DAZN for docomoを利用可能な端末は、PC、スマートフォンおよびタブレット(iOS、Androidに対応)、Playstation 3/4、ソニーやLG、パナソニックの一部スマートテレビ、Amazon FireTV、Chromecast、AppleTV、ひかりTVチューナーなど。

1アカウントで6台までの端末が利用でき、同時に2台でのストリーミング視聴が可能だ。たとえばリビングではFireTV Stickを挿した大型テレビでサッカーを流し、手元のスマートフォンではF1の中継を見る、といった楽しみ方もできる。

発表会場では大画面のテレビからスマートフォンまで、さまざまなサイズのデバイスでDAZNの映像を流していたが、番組の切り替えも素早く行え、ごく普通のスポーツ中継を見ている感覚で楽しむことができた。海外のスポーツでも一部日本語の解説が入るものもあるということで、これまで馴染みのなかった国のリーグ戦などを楽しむこともできるというのは、大きな魅力になるだろう。

○ソフトバンクの「スポナビ」が値下げ

携帯キャリアによるスポーツ中継サービスとしては、ソフトバンクがヤフーと共同で提供中の「スポナビライブ」がある。こちらは月額3,000円のところ、ソフトバンクユーザーなら500円で契約できるようになっていたが、DAZN for docomoの発表を受けて、3月16日から一般向けの月額料金を1,480円に値下げ。

また、ソフトバンクおよびワイモバイル携帯のユーザーに加え、他社携帯でも「Yahoo! プレミアム」の契約者は、月額980円で利用できるようになる。

配信解像度も従来のスポナビライブがHD解像度対応だったものがフルHDに対応したほか、同時に受信できる端末が4台になった。なお、従来の500円/月のサービスは3月15日をもって新規契約終了となる(終了後もHD解像度で視聴は可能。料金は契約時のままとなる)。

スポナビライブは海外サッカー(プレミア、リーガ)やメジャーリーグ、ヨット(アメリカズカップ)、テニスのほか、プロ野球、バスケットボールのB.LEAGUE、大相撲、格闘技(KNOCK OUT)といった日本の競技の配信がある。

配信する競技の数としてはDAZNが圧倒的に強いが、日本市場で考えれば根強い人気のあるプロ野球や大相撲の配信を持つスポナビライブにも一定の強みがある。どちらを選ぶかは好みの問題と言えるが、今後は全国大会クラスだけでいいので、柔道や剣道、あるいは高校・大学スポーツといった非プロスポーツにまで手を広げてもらえれば、さらに魅力が増すだろう。

●解約率減少のための秘策?
DAZN for docomo自体はサービス内容、価格ともに非常に高い魅力のあるサービスだが、気になるのはパケットの消費量だ。フルHDクラスの配信となると、ビットレートは20〜30Mbps以上が当たり前となる。家庭であればWi-Fi+光回線といったかたちでデータオフロードできるが、モバイルでは、回線速度自体はLTEによって確保できるとしても、場合によっては1試合で数百MB〜GBクラスの容量を消費してしまう可能性もある。

こうした指摘に対しては、モバイルであっても大容量プラン、特に50〜100GBといった超大容量契約の「ウルトラパック」の活用を推奨している。

ソフトバンクはキャンペーンとして、スポナビライブに利用する通信料を無料にする、いわゆるゼロレーティングを実施していたが、ドコモとしてはゼロレーティングを行うのではなく、サービスはサービスとして対価を取っていく方針のようだ。

その意味では、ユーザーを大容量プランに移行させるための戦略的なサービスと捉えることもできる。MVNOの台頭で離れゆくユーザーに対し、価格差を正当化するような割引率を提示することで足止めを図るとともに、より大容量の契約へと移行させる巧妙な作戦だ。

○スポーツファンにとっては非常に魅力的

世界的にスポーツ放映料の高騰で地上波/BS・CSからもスポーツ中継がめっきり少なくなってしまった感があるが、スポーツファンにとってはマイナースポーツや海外スポーツも抑えた非常に魅力的なサービスとなる。特にJリーグやF1のファンはこぞって加入するのではないだろうか。

ドコモは早急に100万契約を目標としたいとしているが、今回の施策で案外2017年夏前までにはあっさりと達成してしまうように思える。ドコモの発表に合わせていち早く対応してきたソフトバンクや、今のところ動きの見えないauがどういった反応を見せるのか、そして既存の放送メディアがどう対応するかも含めて、今後も注目していきたい。

(海老原昭)