2017年1月11日、横浜FCから『2017シーズン契約更新』のリリースが発表された。

「2017シーズンの契約を無事に更新することができました。いつも支えていただいているクラブ関係者、チームメイト、サポーターのみなさんとともに今シーズンも全力で戦い続けたいと思います」


1967年2月26日生まれの三浦知良は約2週間後に満50歳 コメントの主は、三浦知良。自身の背番号に合わせた日に発表されたこのニュースは、日本国内のみならず世界にも配信され、海外からも称賛の声が相次いだ。

 今年、50歳。よりフィジカルが求められるようになった現代サッカーにおいて、この年齢で現役を続けられるのは、やはり驚異としか言いようがない。徹底した自己管理と妥協を許さないメンタリティ。その強靭な精神力こそが、カズをキングたらしめる最大の要因だろう。

 昨年12月、そして今年1月と、恒例のグアム自主トレをトータル期間で1ヵ月近くこなし、チームに合流したカズは、1月下旬から始まった横浜FCの宮崎キャンプでも、緻密なスケジュール管理のもとで調整を進めている。

 1月28日に地元チームとの練習試合に15分出場すると、31日の鹿児島ユナイテッドFC戦に30分出場。そして2月2日から始まった『DAZNニューイヤーカップ』では、初戦のアビスパ福岡戦を回避し、4日に行なわれた第2戦の鹿島アントラーズ戦に満を持してスタメン出場した。

 多くの選手が長袖ユニフォームを着用するなか、カズはまるで少年のように半袖ユニフォーム姿でピッチを走り回った。前半の45分間の出場にとどまったものの、試合後のカズは充実の表情を浮かべていた。

「試合に挑む緊張感というものを、鹿島アントラーズというチームは常に持っている。僕たちとは力の差があると思うけど、そうした相手に対して緊張感のある試合の入り方ができましたし、自分自身もやっているなかで、本番に近いようなシチュエーションがすごくたくさんあった。リーグ戦に近い雰囲気だったので充実感があったし、タメになる45分でした」

 土曜日開催の試合であり、J1王者とカズが対峙する一戦とあって、会場にはプレシーズンでは異例の6000人以上の観衆が訪れていた。しかし多くのファンの前で、カズはほとんどの時間帯で守備に追われ、ボールに触る機会も限られた。見せ場の少ない45分間だったのは確かだった。それでもカズは、この状況は想定内だったと振り返る。

「本来ならば攻撃をたくさんしたいですし、攻撃での連係をもっと多くしたい。見せどころを増やしたいのは正直な気持ちですけど、鹿島相手にそれほどできないだろうとは思っていた」

 そうした予測のなか、カズがこの試合に課したテーマは「守備の連係を高めること」だった。

「練習で取り組んでいる連係、特にディフェンスの部分で相手にボールを通されないとか、くさびを入れさせないとか。ボランチを背にしたときの守備だったり、前からの追い込みだったり、そういうものは相手にボールを持たれる時間が長かったので、体感できたのかなと。それも非常に高いレベルの相手に対してね」

 もちろん、大会である以上は結果にこだわっていただろうし、得点という形を求めていたはず。だが、自身のコンディションや相手との力関係を踏まえ、プライドを保つのではなく、チャレンジャーの気持ちを備え、今やるべきことを徹底するという高いプロ意識が垣間見えた。

 もっとも結果を見れば、横浜FCはこの鹿島戦に勝利し、続くV・ファーレン長崎戦に引き分け、2勝1分でこの大会の優勝を飾っている。

 面白いことに、この大会で横浜FCが対戦したチームの監督は、すべてカズと同じ「1967年生まれ」だった。鹿島の石井正忠、福岡の井原正巳、長崎の高木琢也……。Jリーグ開幕当時にしのぎを削った相手であり、日本代表でもともに戦った仲間たちである。

「(年齢は)全員一緒ですね。みんなは30代くらいで引退して、そのあと指導者の道に行ったわけですけど、指導するのは大変なことだと思いますよ。選手を続けていくことも大変かもしれないですけど、監督はもっと大変で、みんなすごいなと思いますね。チームをまとめて苦労が多い監督をやるのは、僕にはできない。逆に、本当に尊敬しますよ」

 おそらく、通常の感覚の持ち主であれば、50歳で現役を続けることのほうが大変だと考えるはずだ。しかし、カズにあるのは「チームを率いることより、自身がプレーしたほうがはるかに楽」だという感覚である。常人では理解できない発想を持ち得ているからこそ、カズは誰もがたどり着けない領域に足を踏み入れることができたのだろう。

 50歳の誕生日を迎える2月26日は、奇しくも今シーズンのJ2開幕日に当たる。

 驚くべきことに昨シーズンは、直近の5シーズンのなかでは最多となる20試合に出場。ふたつのゴールを記録し、今なお進化していることを証明して見せた。だからこそ、50歳となる今シーズンのカズに対しても、誰もが自然に期待を寄せてしまう。

「たくさんの方が応援してくださって、盛り上げてくれるので、その期待には常に応えたいと思っています。自分のコンディションを上げながら2月26日の開幕戦に辿り着けたらいいなと思いますし、そのなかで自分のゴールでチームが勝てれば最高だなと。まずは2月26に自分が出られるように、毎日全力を尽くしてやっていきたいなと思います」

 酸いも甘いも知り尽くしたベテランならではの落ち着きのなかに、開幕を待ち切れない高揚感も内包する。そこにあるのは、サッカーを楽しみたいという普遍の想いである。

 三浦知良、50歳──。永遠のサッカー少年は、今年もJリーグに、大きな話題を振りまいてくれそうだ。

■Jリーグ 記事一覧>>