Inc.:フランスでは2017年に入り、従業員に「接続を絶つ権利」を与える法律が成立しました。この法律は、勤務時間終了後に電子メールの集中砲火に悩まされる事態から従業員を守るよう、企業に義務づけるものです。こうした「時間外のメールチェック」業務は、原文記事が書かれたアメリカではほぼ当たり前の習慣と化しています。

毎晩遅くまで、ミーティングの案内や、不安に駆られた上司からのメールをさばいている人にとって、この法律は朗報のように思えるでしょう。とはいえ、これがフランスでの話であることを忘れてはいけません。フランス人は、良い暮らしや上等なワイン、そして有り余るほどの余暇を楽しむことに情熱を傾けている人たちです。そう考えるとこの新法も、私たちにとっては、夢見ても決して手の届かない、海の向こうのヨーロッパ大陸特有の優雅な特権なのかもしれません。

とはいえ、アフターファイブまでしつこく連絡を寄こす上司から逃れられるかどうかは、人生において、より上質な楽しみを得られるかという問題にとどまらないことがわかってきました。常時接続されている状態は、働き手の「燃え尽き」や、家族の負担を招くだけでなく、身体的な病気につながる恐れもあることが、研究で判明したのです。

メールのチェック回数が多いほど、病気になる恐れが高まる


このドキリとする小見出しこそが、科学的心理学会(APS)のブログに先日掲載された記事の結論です。この記事は、勤務時間外のメールチェックが及ぼす影響に関して行われた、複数の新たな研究成果をまとめたものです。

これらの研究で示唆されているのは、まったく当たり前の話なのですが、24時間365日、電子的機器を通じて仕事につながれた状態でいるのはストレスになり、燃え尽きや極度の疲労につながるということです。そんなことは、ドイツで2万4000人を対象に実施された大規模な調査を見なくてもわかっている、と言いたくなるかもしれませんが、万一わかっていない人がいても、この調査結果を見れば納得するでしょう。さらにこのほかにも、時間外のメールチェックが一般的なストレスを引き起こすことを指摘した研究は数多くあります。

とはいえ、意外に感じる人もいそうな調査結果もあります。これは2005年に実施された『第4回欧州労働条件調査』のデータをもとに行われた、少し前の研究事例です。それによると、常に接続されている状態は、気持ちの上での燃え尽きにつながるだけでなく、さまざまな身体的不調を引き起こす可能性も高いというのです。

ここではAPSの記事から、結論部分を紹介しましよう。「この調査により、勤務時間後に職場から連絡を受けることが多いと回答した人では、健康に問題を抱えていると答える割合も多いことがわかりました。そうした人たちが訴える症状としては、骨や筋肉の痛み、あるいは心臓や血管の不調などが挙げられます」。単刀直入に言うなら、勤務時間後にメールをチェックする回数が多ければ多いほど、病気になる可能性が高まるということです。


上司と部下、双方が気をつけるべき点は?


心理的なストレスと身体的な症状の間に関連があることは以前からよく知られています。ですから、メールチェックが体に悪影響を及ぼすと聞いてもそれほどの驚きはないでしょう。とは言っても、夜の9時に受信トレイを空にしようと奮闘している時には、そうした行動と、翌朝に感じる体の痛みのつながりを見落としてしまいがちです。

では、仮にメールチェックと体の不調のつながりにはっきりと気付いたとして、どんな対策ができるでしょうか? 原文記事が書かれたアメリカはフランスとは事情が違いますし、特にトランプ新政権の動向を見るにつけ、労働者の保護につながる法律を制定しようとする大きな動きが、今後すぐに起きるとはとても思えません。とはいえ、勤務時間後のメールチェックが及ぼす弊害をできるだけ抑えるために、上司や部下が実行できる手立ては必ずあるはずです。

リーダー格の社員に対しては、健康を保つための歯止めの設け方や部下がハイテク関連の燃え尽きに陥るのを防ぐ方法というテーマで、多くのアドバイスが世に出ています。Googleのような企業でさえ、仕事を終えてオフィスを出る前に仕事用のデバイスを回収するプログラムを試験的に実施しているほどです。何かと動きの速いIT界の巨大企業が、社員に対してハイテクから遠ざかる時間を与えられるのであれば、ほかの企業も間違いなく、この例にならうことができるはずです。


After-Hours Email Can Make You Sick, Science Warns|Inc.

Jessica Stillman(訳:長谷 睦/ガリレオ)
Photo by Shutterstock