私立恵比寿中学・廣田あいか「自分のホームは自分の中にしかない」―― “アイドル”に収まらない本当の姿。
ももいろクローバーZの妹分として結成されたエビ中こと私立恵比寿中学。メンバーのひとり、廣田あいかは自らのギャップ、それに対する周囲の反応を楽しんでいる。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)では、独特の声でのトークで視聴者はおろか共演陣まで驚かせる一方、パフォーマンスではパワフルな歌声を見せつけ、衝撃を与えた。『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)では熱い鉄道愛を披露。常に“アイドル”と“それ以外の何か”のはざまで人々の心を惹きつける。映画『咲-Saki-』では麻雀に青春を燃やす女子高生を熱演し、「また新しい自分が見つかりました」と笑う。
(※この取材は1月下旬に行われました。)
撮影/川野結李歌 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
――『咲-Saki-』は小林 立さんの人気漫画が原作で、気弱なドジっ娘・宮永 咲(浜辺美波)を中心に、麻雀を通じて女子高生たちが成長していくさまが描かれます。“JK”と“麻雀”という組み合わせが新鮮ですが…。
最初に聞いたときは「え? 麻雀…?」って思いました。麻雀について何も知らない状態で原作を読ませていただいたら、ググッと引き込まれて、今回の映像化とは関係ないシリーズまでどんどん読み進めちゃうほどハマりました。
――廣田さんが演じるのは、咲と同じ清澄高校のメンバーである片岡優希ですね。
原作を読んで、「絶対にやりたい! 他の子が優希ちゃんを演じるのはイヤだ!」って思いました。
――どんな印象を持たれたんですか?
最初はかわいいなって思ったんです。清澄のみんなといるときは、ギャーギャー騒いで盛り上げようとするタイプで、ちょっと子どもっぽい印象でした。でも、ひとりでいるときは大人っぽい部分もあって。
――無邪気なかわいらしさと、勝負師としての強さの両面を持っていますね。
団体戦の先鋒(1番手)を務めてるんですけど、戦いに向かうときのセリフもすごくカッコいいんです! みんなが楽しんでるのが一番だっていうところは、女子の鏡だなって(笑)。現実にいたらびっくりするけど、そんな優希ちゃんを清澄のみんなは妹みたいにかわいがってくれて、そこも素敵だなと思いました。
――昨年12月にまず連続ドラマ4話、今年に入ってからは特別編が放送され、それに続く形で今回の劇場版が公開となります。映画では、インターハイ出場を目指す4校の戦いが繰り広げられますね。
撮影は去年の夏だったんですけど、その時点でドラマの後に劇場版が公開されることは決まっていて、撮影の順番も映画のパートはちょうど中盤あたりでした。映画には、いまをときめく女の子たちがたくさん出ていて、みなさん忙しいし、アイドルにとって夏は頑張りどきだし(笑)。その中で、「ここしかない!」ってスケジュールでギュッと集中して撮りました。
――順撮りではなかったんですね。映画を見ると、県予選での清澄のメンバーたちの絆の深さ、チームワークが強く感じられたので、てっきり、連ドラのパートの後で撮影されたのかと…。
それは合宿のおかげですね! 連ドラ版の最後に、清澄のメンバーが合宿に行く話があるんですが、そこだけは全編の中でも最初の頃に撮っているんです。しかも本当に泊まりがけで合宿しながらの撮影だったので、そこで最初にみんなとの関係を深められたのが、すごく大きかったと思います。
――リアル合宿だったんですね!
私自身、学生時代は修学旅行とか、参加できなかった学校行事が多かったので、こういう合宿って初めての経験だったんです。青春を感じられて楽しかったです!
――優希とご自身で、似ているところや共感する部分はありましたか?
個性を思い切り出しながら、幸せでいられるところはうらやましいなぁって思いましたね。私も「これが好き」というのはハッキリしているタイプだけど、優希ちゃんほどの勇気はなくて…。個性を出すのが難しい世の中で、何の制限もなく生きているところが優希ちゃんの魅力的だし、作品の世界で優希ちゃんとして自由に生きられて幸せでした。
――清澄の中で、優希は1年生ということもあり“妹”的な立場ですが、カメラが回っていないところでの浜辺美波さん(宮永 咲役)、浅川梨奈さん(原村 和役)、山田杏奈さん(染谷まこ役)、古畑星夏さん(竹井 久役)との関係性や、廣田さんのポジションは?
実年齢では、私は5人の中で上のほうなんですけど、みんな、性格は役柄とけっこう違うのに、関係性は役に引っ張られる部分が大きいんですよね。
――となると、普段から妹的な立場で?
みんなに引っ張ってもらってます(笑)。取材でも、部長として星夏ちゃんが話を広げてくれる。浅川とは歳は近いけど、しっかり者で、前から仲がいいっていうのもあって。優希と和の関係に近いかな…? 杏奈は2歳も下なんだけど、役の上ではひとつ上の仲のいい先輩で、いまでもよく連絡を取り合ってます。美波クンも全然、年下って感じがしない! みんな同い年か、私が一番下って感じです(笑)。
――普段のエビ中での立場はどうですか?
エビ中は…ご存知の方も多いかもしれませんが、ヤンチャな子が多くて、私がしっかりしなきゃってところもあるので(苦笑)。取材でも、私が「しゃべんなきゃ!」「まとめなきゃ!」ってことが多いかな…?
――正反対のポジションですね。
自分で“しっかり者キャラ”って言うのもなんですけど。いや、私がしっかりしてるんじゃなくて、他のみんながおかしいでしょ!(笑) ちなみに、プライベートでは私、リアル末っ子なんで、どっちかというと清澄チームのほうに近いです。
――可憐な女子高生たちが、麻雀で熱い戦いを繰り広げるというギャップが本作の大きな魅力ですが、廣田さんも周囲から「ギャップのある人」として受け止められることが多いと思います。
私の場合はステージの上で、曲ごとにその世界に入り込むのが好きなんですよね。すごくかわいらしい感じだったのが、急にカッコよくなったらみんなビックリしてくれるかな? とか。それはエビ中に入ったときから考えてました。
――意識的にギャップを見せるようにしてるんですね?
私、もともとアイドルに詳しかったわけでも、なりたかったわけでもなくて、『下妻物語』という映画が大好きだったんです。深田恭子さんが演じる主人公が、普段はフリフリの服を着ていてかわいいんですけど、クライマックスでガラッと雰囲気が変わるのが魅力的で。ああいうことをやってみたい! と思って。その気持ちはいまでもあります。
――アイドル志望ではなかったとのことですが、なぜアイドルに?
アイドルになったのは…「知らない間になってた」というのが一番近いのかな(笑)。所属事務所に入るきっかけが「スターダスト芸能3部101人目を探せオーディション」だったんですけど、(事務所に)「アイドルグループに入っていいよ」と言われて、「それで行くのか」という感じで。
――それがエビ中だったんですね。
そのまま、その道を歩んできたんですけど、自分が“アイドル”だっていう感覚があんまりなくて、そう言われても不思議なんですよね。「自分はあくまでも自分」って感じなんですけど…。でも“アイドル”って言われると、周りもアイドルとして見るじゃないですか?
――実際、アイドルですし(笑)。「アイドルの」「エビ中の」など、どうしても枕詞とともに紹介されることになりますね。
それがイヤではないんですけど、面白いなぁって思うんです。「○○の」という説明が頭に付くと、そのイメージ、角度で見えちゃうものじゃないですか。だから、私のことをアイドルとして見つけてくれた人には、まず何より「アイドルの廣田あいか」に見えるし。
――以前、井上陽水さんの『傘がない』を、低音ボイスを響かせておひとりで熱唱されて話題になったことがありましたよね。パフォーマンスから入った人は、廣田さんは“アイドル”というより“歌手”という認識になるのかなと思うんですが。
異なる場所で見つけてもらえるって面白いし、そことは違う場所にいる私を見たときに、どんなふうに思うんだろうって想像するのが楽しいんです。そのためにも、掘り下げたら掘り下げただけ、面白いものが出てくる人間でありたいと思います。
――今回の映画で、麻雀の牌を手に戦いを繰り広げる姿は、これまでとはまた別の“アイドルらしからぬ”姿だと思います。
この役で、いままでよりもさらにわけのわかんない存在になったかな? って思うし、この映画を通じて私を知ってくださった方がいて、アイドルの私やそれ以外の部分を見たらどんなふうに思うのかな? ビックリしてもらえるかな? と思うとすごく楽しみです!
(※この取材は1月下旬に行われました。)
撮影/川野結李歌 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
女子高生が麻雀? 原作にググっと引き込まれた
――『咲-Saki-』は小林 立さんの人気漫画が原作で、気弱なドジっ娘・宮永 咲(浜辺美波)を中心に、麻雀を通じて女子高生たちが成長していくさまが描かれます。“JK”と“麻雀”という組み合わせが新鮮ですが…。
最初に聞いたときは「え? 麻雀…?」って思いました。麻雀について何も知らない状態で原作を読ませていただいたら、ググッと引き込まれて、今回の映像化とは関係ないシリーズまでどんどん読み進めちゃうほどハマりました。
――廣田さんが演じるのは、咲と同じ清澄高校のメンバーである片岡優希ですね。
原作を読んで、「絶対にやりたい! 他の子が優希ちゃんを演じるのはイヤだ!」って思いました。
――どんな印象を持たれたんですか?
最初はかわいいなって思ったんです。清澄のみんなといるときは、ギャーギャー騒いで盛り上げようとするタイプで、ちょっと子どもっぽい印象でした。でも、ひとりでいるときは大人っぽい部分もあって。
――無邪気なかわいらしさと、勝負師としての強さの両面を持っていますね。
団体戦の先鋒(1番手)を務めてるんですけど、戦いに向かうときのセリフもすごくカッコいいんです! みんなが楽しんでるのが一番だっていうところは、女子の鏡だなって(笑)。現実にいたらびっくりするけど、そんな優希ちゃんを清澄のみんなは妹みたいにかわいがってくれて、そこも素敵だなと思いました。
――昨年12月にまず連続ドラマ4話、今年に入ってからは特別編が放送され、それに続く形で今回の劇場版が公開となります。映画では、インターハイ出場を目指す4校の戦いが繰り広げられますね。
撮影は去年の夏だったんですけど、その時点でドラマの後に劇場版が公開されることは決まっていて、撮影の順番も映画のパートはちょうど中盤あたりでした。映画には、いまをときめく女の子たちがたくさん出ていて、みなさん忙しいし、アイドルにとって夏は頑張りどきだし(笑)。その中で、「ここしかない!」ってスケジュールでギュッと集中して撮りました。
――順撮りではなかったんですね。映画を見ると、県予選での清澄のメンバーたちの絆の深さ、チームワークが強く感じられたので、てっきり、連ドラのパートの後で撮影されたのかと…。
それは合宿のおかげですね! 連ドラ版の最後に、清澄のメンバーが合宿に行く話があるんですが、そこだけは全編の中でも最初の頃に撮っているんです。しかも本当に泊まりがけで合宿しながらの撮影だったので、そこで最初にみんなとの関係を深められたのが、すごく大きかったと思います。
――リアル合宿だったんですね!
私自身、学生時代は修学旅行とか、参加できなかった学校行事が多かったので、こういう合宿って初めての経験だったんです。青春を感じられて楽しかったです!
映画の現場では年下キャラ…エビ中では正反対!?
――優希とご自身で、似ているところや共感する部分はありましたか?
個性を思い切り出しながら、幸せでいられるところはうらやましいなぁって思いましたね。私も「これが好き」というのはハッキリしているタイプだけど、優希ちゃんほどの勇気はなくて…。個性を出すのが難しい世の中で、何の制限もなく生きているところが優希ちゃんの魅力的だし、作品の世界で優希ちゃんとして自由に生きられて幸せでした。
――清澄の中で、優希は1年生ということもあり“妹”的な立場ですが、カメラが回っていないところでの浜辺美波さん(宮永 咲役)、浅川梨奈さん(原村 和役)、山田杏奈さん(染谷まこ役)、古畑星夏さん(竹井 久役)との関係性や、廣田さんのポジションは?
実年齢では、私は5人の中で上のほうなんですけど、みんな、性格は役柄とけっこう違うのに、関係性は役に引っ張られる部分が大きいんですよね。
――となると、普段から妹的な立場で?
みんなに引っ張ってもらってます(笑)。取材でも、部長として星夏ちゃんが話を広げてくれる。浅川とは歳は近いけど、しっかり者で、前から仲がいいっていうのもあって。優希と和の関係に近いかな…? 杏奈は2歳も下なんだけど、役の上ではひとつ上の仲のいい先輩で、いまでもよく連絡を取り合ってます。美波クンも全然、年下って感じがしない! みんな同い年か、私が一番下って感じです(笑)。
――普段のエビ中での立場はどうですか?
エビ中は…ご存知の方も多いかもしれませんが、ヤンチャな子が多くて、私がしっかりしなきゃってところもあるので(苦笑)。取材でも、私が「しゃべんなきゃ!」「まとめなきゃ!」ってことが多いかな…?
――正反対のポジションですね。
自分で“しっかり者キャラ”って言うのもなんですけど。いや、私がしっかりしてるんじゃなくて、他のみんながおかしいでしょ!(笑) ちなみに、プライベートでは私、リアル末っ子なんで、どっちかというと清澄チームのほうに近いです。
もともとアイドルになりたいわけじゃなかった
――可憐な女子高生たちが、麻雀で熱い戦いを繰り広げるというギャップが本作の大きな魅力ですが、廣田さんも周囲から「ギャップのある人」として受け止められることが多いと思います。
私の場合はステージの上で、曲ごとにその世界に入り込むのが好きなんですよね。すごくかわいらしい感じだったのが、急にカッコよくなったらみんなビックリしてくれるかな? とか。それはエビ中に入ったときから考えてました。
――意識的にギャップを見せるようにしてるんですね?
私、もともとアイドルに詳しかったわけでも、なりたかったわけでもなくて、『下妻物語』という映画が大好きだったんです。深田恭子さんが演じる主人公が、普段はフリフリの服を着ていてかわいいんですけど、クライマックスでガラッと雰囲気が変わるのが魅力的で。ああいうことをやってみたい! と思って。その気持ちはいまでもあります。
――アイドル志望ではなかったとのことですが、なぜアイドルに?
アイドルになったのは…「知らない間になってた」というのが一番近いのかな(笑)。所属事務所に入るきっかけが「スターダスト芸能3部101人目を探せオーディション」だったんですけど、(事務所に)「アイドルグループに入っていいよ」と言われて、「それで行くのか」という感じで。
――それがエビ中だったんですね。
そのまま、その道を歩んできたんですけど、自分が“アイドル”だっていう感覚があんまりなくて、そう言われても不思議なんですよね。「自分はあくまでも自分」って感じなんですけど…。でも“アイドル”って言われると、周りもアイドルとして見るじゃないですか?
――実際、アイドルですし(笑)。「アイドルの」「エビ中の」など、どうしても枕詞とともに紹介されることになりますね。
それがイヤではないんですけど、面白いなぁって思うんです。「○○の」という説明が頭に付くと、そのイメージ、角度で見えちゃうものじゃないですか。だから、私のことをアイドルとして見つけてくれた人には、まず何より「アイドルの廣田あいか」に見えるし。
――以前、井上陽水さんの『傘がない』を、低音ボイスを響かせておひとりで熱唱されて話題になったことがありましたよね。パフォーマンスから入った人は、廣田さんは“アイドル”というより“歌手”という認識になるのかなと思うんですが。
異なる場所で見つけてもらえるって面白いし、そことは違う場所にいる私を見たときに、どんなふうに思うんだろうって想像するのが楽しいんです。そのためにも、掘り下げたら掘り下げただけ、面白いものが出てくる人間でありたいと思います。
――今回の映画で、麻雀の牌を手に戦いを繰り広げる姿は、これまでとはまた別の“アイドルらしからぬ”姿だと思います。
この役で、いままでよりもさらにわけのわかんない存在になったかな? って思うし、この映画を通じて私を知ってくださった方がいて、アイドルの私やそれ以外の部分を見たらどんなふうに思うのかな? ビックリしてもらえるかな? と思うとすごく楽しみです!