「横綱の名に恥じぬよう、精進いたします」 1月25日の昇進伝達式で、こう口上を述べた第72代横綱の稀勢の里(30)。

 若乃花が横綱となった1998から19年。ついに、日本出身の横綱が誕生した。「初場所14日目時点で13勝を挙げ、優勝が決定。千秋楽でも、横綱・白鵬との対決を見事に制し、横綱審議委員会は満場一致で、稀勢の里の横綱推薦を決めました」(スポーツ誌記者)

 八角理事長は「安定感は一目瞭然」、弁護士の勝野義孝委員も「去年、年間最多勝を取っており、地力がある。今場所は精神的な弱さも出なかった」と語るなど、その強さを絶賛した。

 13年以降、綱取りのチャンスを、あと一歩で幾度も逃してきたが、相撲に詳しいスポーツジャーナリストの大野勢太郎氏は、大躍進の理由をこう分析する。「場所前に足首を痛め、稽古の内容が良くないと聞いていましたが、逆にそれが、功を奏しました。調子が良いと、勇んで相撲を取ってしまいますが、調子が悪い分、ゆっくりとスタートを切って、丁寧な相撲を取れたと思います」

 さらに決定的な違いはメンタル面での落ち着きだ。「千秋楽で白鵬に土俵際まで追い込まれても、余裕がありました。これまで、勝負直前に笑顔を見せたりと、いろいろやっていましたが、そんなことをする時点で(気持ちは)負けている。今場所は、それがなくなり、うまく心を整えることができたんだと思います」(前同)

 加えて、弟弟子・皸造粒萍も援護射撃となった。「白鵬、鶴竜と2横綱から星を奪い、稀勢の里の優勝に大いに貢献。稀勢の里から“皸造里かげだよ”と、感謝の言葉もあったそうです。皸造盖勢の里と同じ茨城県出身。同郷で同部屋の先輩のために、いつも以上に奮起したんでしょう。稀勢の里も、横綱推薦を受けて開いた1月23日の会見で“皸造鯊膣悗飽き上げるのも自分の使命”と語り、兄弟愛を見せました」(前出のスポーツ紙記者)

 前出の大野氏も、こうした若手の台頭に注目。モンゴル勢時代が終わり、“稀勢の里時代”が訪れることを予見する。

「稀勢の里が横綱になったのは、相撲界で世代交代の時が訪れたということ。御嶽海など、平成生まれの若い力もグンと伸びました。朝青龍、白鵬らが横綱になった後、メディアとの摩擦が生まれることもありましたが、稀勢の里は優しい男ですから、その心配もない。いい横綱になると思います」

 大相撲がさらに面白くなりそうだ。