海外メディアの報道によると、米アップルが開発しているとされる眼鏡型の情報機器は年内にも発表される可能性があるという。

iPhoneの2017年モデルと同時発表か

 これは、米マイクロソフトの元テクノロジーエバンジェリストで、著名ブロガーのロバート・スコーブル氏が、米国のインターネット番組「This Week in Tech(TWiT)」に出演して語ったものだと米アップルインサイダーなどの海外メディアが伝えている。

 それによるとアップルの眼鏡型機器は、現在建設中のアップル新社屋についての発表が行われる際、あるいは今秋に発売が予定されているiPhoneの2017年モデル発表時に併せて明らかにされる可能性があるという。

 これに先立つ今年1月、スコーブル氏はアップルがドイツの光学機器大手、カールツァイスと提携して眼鏡型の機器を開発していると報告していた。

 このとき同氏はカールツァイスの従業員にアップルのプロジェクトについて確認を取ったとし、自身のFacebookページに投稿していたが、今回あらためて複数の“最高レベルの情報筋”の話として、ネット番組で報告した。

クックCEO、拡張現実への投資に言及

 同氏によると、アップルが開発しているとされるのは軽量な眼鏡型機器で、体の別の部分に装着する電子機器か、iPhone内に収められる電子機器と連携する。そしてiPhoneと無線で接続し、利用者が見ている現実世界に重ねて様々な情報を表示する。

 目の前の現実の場面にデジタル情報を重ね合わせて表示するこうした技術は、「拡張現実(AR:augmented reality)」と呼ばれ、利用者が実際の場面から離れ完全にデジタル世界の中に身を置く「仮想現実(VR:virtual reality)」とともに注目されている。

 そして、アップルのこれら分野の研究開発については様々に報じられている。例えば米メディアによると、同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)はかねて、拡張現実技術の可能性について言及し、同社がこの分野に投資していることを明かしていた。

 米シーネットによると、クックCEOは仮想現実よりも、拡張現実により強い関心を示しているという。

 同氏は昨年9月にABCニュースのインタビューに応じ、「仮想現実と拡張現実はともに非常に興味深い技術。しかし私の見解では可能性があるのは拡張現実だ。おそらく格段に大きな可能性だろう」と述べていた。

数々の企業買収、社内に数百人規模の研究チーム

 そして、このクックCEOの発言を裏付けるかのように、米ブルームバーグは昨年11月、アップルが拡張現実用眼鏡のプロジェクトを進めているとし、すでに同社が複数のサプライヤーと協議していると伝えていた。アップルはそのうちの1社に試験を目的としたディスプレー部品を発注したという。

 またアップルは昨年、仮想現実の研究分野で第一人者と言われるダグ・ボウマン氏を雇い入れたとも伝えられている。

 このボウマン氏は、バージニア工科大学のコンピューター科学の教授で、同大学のヒューマンコンピューターインタラクション・センターのディレクターを務めていた人物。3次元(3D)ユーザーインタフェースの設計と、仮想現実の有益性に関する研究が専門で、その研究範囲は拡張現実にも及ぶという。

 アップルにはこれらの技術を研究する数百人規模の部署があり、そこには同社がこれまで買収してきた数々の企業の人材が在籍しているとも伝えられている。

 同社は2013年に3Dモーショントラッキング技術を手がけるイスラエルのプライムセンス(PrimeSense)を買収したのち、2015年には拡張現実用アプリケーションの開発ソフトウエアや、現実のテーブルの表面などを大型タッチスクリーンとして利用するためのウエアラブル技術を手がけるドイツのメタイオ(Metaio)を買収。

 同年にはモーションキャプチャーを使い、人間の表情をリアルタイムでアバターなどのデジタルフィギュアに反映させる技術を手がけるスイスのフェースシフト(Faceshift)も買収し、昨年は顔の表情から感情を読み取る人工知能(AI)技術を手がける米エモティエント(Emotient)を買収したとも伝えられた。

筆者:小久保 重信