トランプ大統領が就任して20日経過したが、米国事情に詳しい米専門家は同大統領の外交貿易政策について「トランプ氏の過激な政策は、各国から前例のない構造的な反発を招く」と指摘。米国にとって大きなリスク要因となると警告した。写真はトランプ大統領就任式。

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トランプ大統領が就任して20日経過したが、米国事情に詳しい米専門家は同大統領の外交貿易政策について「トランプ氏の過激な政策は、各国から前例のない構造的な反発を招く」と指摘。米国にとって大きなリスク要因となると警告した。発言要旨は次の通り。

「米国第一主義」を掲げ大統領に勝利したトランプ氏は就任後、選挙期間中の過激な発言のほとんどを実現しようとしている。大統領に就任すれば穏健で融和的なものになるとの期待は薄れている。

しかし関係官庁との協議はほとんど行われておらず、ホワイトハウス(大統領府)によって決定されている。移民政策の決定も、ケリー国土安全保長官への事前の連絡がなかった。国内企業や航空会社の正規就業者への影響も不確定のままで、不安が広がっている。「トランプチーム」には協力、調整という意識がなく、行政府での必要なコンセンサス形成づくりが無視されている。

トランプ氏は意外性の高い言葉を発して、人を驚かして成功してきた経験から、「混乱」や「敗訴」などをもろともしない。逆にメディアに大きく取り上げられ、「大成功」と認識しているのではないか。

安全保障と貿易分野では、トップダウンの政策決定が続くことになろう。国家通商会議(NTC)のナバロ委員長は「多くの多国籍企業が依存している国際サプライ・チェーンを米国内に巻き戻す」と語っている。国外に工場を移転する企業の製品の米国への輸入に35%の関税を書ける方針は、当初は新規の国外投資についてのみ適用されると見られていたが、ナバロ氏は既に国外にアウトソースされた投資にも適用されるとしている。

ナバロ氏は米国の経済界との会合で、「安全保障や経済の観点から30〜40の中国企業のリストを作成中」で、このような企業と取引する米企業は「財務相のライセンスを取得する必要がある」と指摘した。これらの企業の多くは国有企業や中国の指導部や高官との結びつきが強いところが多い。中国からの対米投資の審査も厳しくなる見通しだ。特に半導体などの戦略的な分野やニュース・メディアなどの分野で精査されることになろう。

米国は対中ダンピング課税、補助金への相殺関税などを課す方針。これに対し中国はWTOルールに基づいた報復措置やボーイングなどの米企業への発注のキャンセルや先延ばしのほか、米企業を標的とした刑事・民事訴追などの方法で、対抗することになろう。

トランプ氏はメキシコや欧州連合(EU)などの経済貿易通貨対策も問題にしている。しかし米国が検討している国境税などは、世界貿易機関(WTO)協定に違反するものが多いので、EUやインド、ブラジルなど多くの国の提訴を招くのは必至だ。

トランプ氏の過激な貿易政策は、各国から前例のない構造的な反発を招き、大きなリスク要因となろう。米国の「S&P500」(トップ500社ランキング)企業の全収入の3分の1は外国での販売によっており、貿易相手国も米国に対する報復的な手段を行使することになろう。(八牧浩行)