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ライフハッカー[日本版]では、毎週その中から1本の記事をセレクト、前人未踏の領域へとチャレンジする日本企業をご紹介していきます。仕事も報酬もハイクラスな世界を覗いてみましょう。

いつでもどこでも医師とつながる「ポケットドクター」


2015年8月、厚生労働省から各都道府県知事宛に出された1本の通達が、医療関係者の間で驚きを与えていた。通達内容は「遠隔診療の適用範囲に関して」だ。これまで医療関係者の間では、離島や僻地の患者を診察するなど、物理的に困難なケースを除いて「遠隔診療は原則禁止」という捉え方が一般的だった。

だが、今回の通達では「離島や僻地といったケースはあくまでも『例示』であり、これに限ったものではない」という、事実上の「解禁」を知らせるものだった。超高齢化社会の到来、人口過疎化に伴う医療機関の不足など、さまざまな社会問題が顕在化する中、今回の通達は、遠隔診療に関心を集める要因となるのでは、と期待する声も寄せられている。

そうしたなか、医療機関向けの医師紹介サイトの運営や医局の管理業務を支援するグループウェアなど、医療情報のプラットフォーム事業を展開してきたMRT株式会社が、株式会社オプティムと共同で日本初となるスマートフォンとタブレット端末を用いた遠隔診療・健康相談サービスを立ち上げた。それが「ポケットドクター」だ。

「体調が悪い、もしくは病気かもしれないと不安を感じたとしても、病院に行く時間がないなどの場合、いつでも、どこでも離れた場所にいる医師や医療機関とつながることができます」と話すのは、代表取締役社長の馬場稔正氏。彼の頭のなかでは、医療における環境の変化とITの進化を見越して、サービスのイメージが10年ほど前から描かれていたという。


スマートデバイスにより医師と相談者の「情報の非対称性」を解消


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代表取締役社長の馬場稔正氏


「ポケットドクター」は、専用アプリをスマートデバイスにインストールすることで利用できる。サービスの柱は3つあり、1つが初診を行った医師による再診を遠隔で行う「かかりつけ医診療」。

あとの2つは健康相談で、相談をしたい人がリストのなかから希望する医師をみつけて時間を予約、遠隔で健康相談を行う「予約相談」(2016年5月以降リリース予定)と、24時間365日、いつでもどこでも健康相談ができる「今すぐ相談」(2016年度中リリース予定)だ。

スマホやタブレット端末を使うメリットは、相談者と医師が機器に内蔵されたカメラを通じて情報を映像で簡単に共有できること。まさにここ10年の間に起こったITの進化を十二分に活用するシステムである。「診療」と「健康相談」という2軸で分かれているのは、前者は医療行為であるのに対し、後者は医療行為には該当しないアドバイスのみ行うというように仕組みを明確に分けることで、現在の法律に即したサービスラインナップにしている。

2015年のことになるが、馬場氏は、原因不明の腹痛に見舞われた。「今までに経験したことのない痛みで、すぐに友人の医師に電話をしてアドバイスを受けました。私はもともと小児ぜんそくを患い入退院を繰り返していたこともあり、医師や医療が身近な存在。医師の友人も多く、すぐに相談相手が思いついたのですが、一般の方はこうはいかない。まして、医療機関が決して十分とはいえない地域に住んでいる方ならなおさらです。この出来事でだれもが気軽にアクセスし、医師に診療や相談を受けられる仕組みをより早く提供したいと思う気持ちが強まりました」と馬場氏。

例えば、夜中に突然子どもが発熱をした場合、病院に行った方がいいのか判断に迷うことは多い。このような場合に「『今すぐ相談』を利用してほしいです」と馬場氏は話す。

「『ポケットドクター』では画面共有をベースとした遠隔支援技術を応用した『赤ペン機能』や『指さし機能』を搭載しているので、医師がカメラに映してほしい箇所を具体的に患者や相談者に指示できます。従来の電話による相談では、相談者と医師が情報を的確に共有することは困難でした。それが、情報端末の進化で大掛かりなテレビ会議システムを使わずとも、一般的に流通しているスマホで相談者と医師の間におこっていた情報の非対称性が解消されるのです」


ヘルスケア・メディカル分野のIoTプラットフォーマーを目指して


MRT株式会社は、東京大学医学部附属病院医師の相互扶助組織を母体に、現会長で現役医師の冨田兵衛氏と、馬場氏が中心となって2000年1月に設立された。インターネットを活用した医師プラットフォームを運営し、医師を中心とする医療人材紹介を主力に事業を展開。東大卒医師の3人に1人が会員登録し、医師視点のサービスや医師を中心とする医療分野で豊富な人材ネットワークを持つ。

この独自の強みに加えて「ポケットドクター」では、リモートサポートの分野で業界を牽引する株式会社オプティムと提携、遠隔診療サービスにおける優位性を実現した。2016年2月のサービス開始の発表段階で全国1,340の医療機関の賛同を得たのも、そうした背景があったからだ。

「『ポケットドクター』は一般ユーザーにメリットがあるばかりでなく、医師にとってもメリットがあります。診療の合間の空き時間を使って『予約相談』や『今すぐ相談』に対応すれば、空き時間を有効活用できます。また、近年、女性医師が増え、その割合は3割に達し、今後さらに増えるといわれていますが、結婚や出産でリタイアを余儀なくされる方も多い。『ポケットドクター』では対応する場所は問いませんので、産休や育休中に自宅で健康相談に対応できます。医師という貴重な人的資源の有効活用ができるのです」。わずかな時間も人のために役に立ちたいと考える医師は多い、と馬場氏は話す。

「私たちはヘルスケア・メディカル分野のIoTのプラットフォーマーになりたいと考えています。今後は、あらゆるメーカーの健康機器、ウェアラブルデバイス、電子カルテ、あるいはPHR(パーソナルヘルスレコード)という個人の健康記録や薬剤データなどがIoTでつながるでしょう。

すでにプラットフォーム構築のための仕掛けは終わりました。それをフリーで開放して、仲間も含め競合他社にも参加していただければと考えています。複数のアプリを開くより、一つで完結するほうがユーザーにとっては都合がいい。将来的には仮想クリニックを展開し、一つの街をつくることも思い描いています」。

ヘルスケア・メディカル分野のIoTプラットフォーマーを目指す馬場氏の夢は、どんどん広がり続けている。


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MRT株式会社で現在募集中の職種:
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