我が子の一声が禁煙を成功に……(depositphotos.com)

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 愛煙家の肩身がますます狭い。政府は2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、「受動喫煙」の防止対策強化を検討し、厚生労働省は飲食店の原則建物内禁煙を目指している。

 ところが、飲食店業界の反対を受けて、厚生労働省は小規模店を例外にする後退案で調整している模様だ。自宅でも暗いベランダや庭先で家族の目を盗むように一服している愛煙家にとって、禁煙エリアの包囲網拡大の行方は気になる話だろう。

 後退したとはいえ、<飲食店の原則建物内禁煙>は「禁煙したほうが楽かもしれない」と思っていた愛煙家を決断させるきっかけとなるかもしれない。この行方には、注視したいところだ。

 多くの人は、タバコを断つにはまず強い決意がいる。ところが、喫煙は立派な依存症だ。単なる意志の弱さだけでは責められない。そして、本気で禁煙にトライするのならば、一人密かに始めるのではなく、家族と文字通り「一緒に」始めることをオススメする。成功率がアップするからだ。

 この調査結果が昨年12月、医学誌『The Journal of Pediatrics』(オンライン版)に掲載された。
「家族面談」で成功率は3倍近くに

 この研究は、香港の22カ所の母子保健センターを利用している家族のうち、日常的に煙草を吸う夫、煙草を吸わない妻、0〜18カ月の子どもがいる1158家族を対象に行われた。

 研究グループはこれらの家族を、禁煙について看護師が直接介入するグループとしないグループの2つに分けた。

介入グループでは、看護師が夫と実際に一対一で面接や、電話でカウンセリングを行った。さらに希望者には、夫と共に家族も参加するカウンセリングセッションを行った。

 それに対して、介入しないグループは、禁煙について書かれたリーフレット、自己啓発小冊子を渡され、簡単なアドバイスだけを受けた。

 夫はその1週間後と6カ月後の喫煙状況、禁煙する意志などを自己申告。また妻も、自分がどのくらい夫の禁煙をサポートできたかなどを報告し、それぞれの内容を評価した。

 さらに12カ月後に、子どもの唾液中のコチニン(ニコチンより体内で生成される代謝物質)濃度を調べた。コチニン濃度は、タバコの煙が体内にどれだけ入っているかを示すものだ。

 その結果、カウンセリングなどの介入をしたグループでは、1週間後の自己申告禁煙率が13.7%。しなかったグループは8.0%にとどまった。

明らかに介入したほうが高い結果となった。6カ月後の自己申告率も13.4% 対 7.5%と高かった。

 さらに、介入グループでは夫の面接だけを行った人の禁煙率が12.3%だったのに対して、家族でカウンセリングを受けた人は20.2%。また、家族カウンセリングを行った方が、妻から夫へのサポートも増える傾向にあった。

禁煙は家族ぐるみの物語

 このように禁煙は本人だけに任せるのではなく、家族ぐるみで取り組めば明らかに成功に近づくことが、今回の研究で明らかになった。最初の家族カウンセリングだけでこれだけの差が出たことが物語っている。

 喫煙者が目を背けてはいけないのが、副流煙が家族へ与える悪影響だ。たとえ換気扇の下で喫煙しても完全な換気は行えない。

 今回のように子どもも含めた「家族の問題」として捉えることで、さらに禁煙への気持ちを強くできるということもあるだろう。

 専門家によると、家族の禁煙を応援する側が気をつけたいポイントは次のようなことだ。

1 少しでもタバコを吸わないでいられたら、とにかく褒める。
2 喫煙具を処分、もしくは手の届かない場所へ片付ける。
3 吸いたい気持ちを抑えるためのガムや昆布などを用意する。
4 期間を区切って、禁煙が続いたらお祝いなどのご褒美をあげる。
5 気分転換ができるように外へ連れ出す。
6 一緒に頑張っているというスタンスで、できるだけ声かけをする。
7 イライラされても大目に見る。

 禁煙外来で家族と一緒にカウンセリングを受けるのは理想だが、まずは「暖かい目で見守って欲しい」と協力を求めてみてはどうだろう。副流煙の被害を受ける家族にとっても、共同戦線を張って禁煙成功に導くほうがメリットあるはずだ。
(文=編集部)