ブータンに渡航して携帯電話サービス「TashiCell」の4G LTEを試してきた!「幸せの国」はモバイルも快適なのか!?【レポート】

ブータンでは「Tashi InfoComm」の直営店にて「4G」をアピール!

日本ではスマートフォン(スマホ)を中心に「4G(第4世代携帯電話システム)」での接続が当たり前となり、フィーチャーフォン(従来型携帯電話、いわゆる「ガラケー」)でもOSの変更によって4G対応が促進されてきている。また各社では次の「5G(第5世代携帯電話システム)」の導入もめざしている状況だ。

海外でも先進国だけでなく、後進国や小国などでも4Gのサービス開始が続いている。そんな中、ブータン王国(以下、ブータン)ではTashi InfoComm(ブランド名:TashiCell)が2016年4月上旬に4GとしてLTEサービスを開始した。今回は、ブータンに渡航してTashi InfoCommのLTEサービスを試したので紹介する。

【手軽にLTEサービスを利用可能】

ブータンでは国営企業のBhutan Telecom(ブランド名:B-Mobile)が2013年10月下旬に4GとしてLTEサービスを開始したが、LTEサービスの提供エリアはTashi InfoCommより狭く、その上に短期滞在の外国人はLTEサービスを利用できない状況だ。短期滞在の外国人はTourist SIMのみ利用可能できるが、Bhutan TelecomのTourist SIMはデータパッケージが利用不可で、使いやすいとは言い難い。

一方、民間企業のTashi InfoCommは短期滞在の外国人でもTourist SIMに加えて、Prepaid Talk Moreと呼ばれる一般的なプリペイド式のSIMカードを購入可能で、手軽にLTEサービスやデータパッケージを利用できるのだ。

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ティンプーにあるTashi InfoCommの本社併設直営店


【SIMカードを購入する】

Tashi InfoCommが提供するプリペイド式のSIMカードを購入するためにはパスポートの顔写真があるページのコピーとリーガルスタンプを1枚ずつ用意する必要がある。パスポートのコピーはカラーやモノクロは問わず、リーガルスタンプは郵便局にて1枚あたり10ブータンニュルタムで購入できる。なお、リーガルスタンプはブータンにおいて契約書などに貼ることが求められ、リーガルスタンプを貼れば法的拘束力を有する契約書として成立する。

ブータンでは現地通貨のブータンニュルタムやそれと等価のインドルピーを利用可能で、いずれかの通貨を現金で準備する。ブータンの首都・ティンプーにあるブータン国立銀行の本店では日本円からブータンニュルタムに両替できた。

LTEサービスの利用には一般的なプリペイド式のSIMカードを購入する。ただ、LTEサービスに対応した新たなSIMカードを入手する必要があり、代理店には在庫がない場合があるため、直営店での購入を推奨する。

筆者はティンプーの本社併設直営店で購入した。一般的なプリペイド式のSIMカードは販売価格が200ブータンニュルタム(約330円)で、アクティベーション代との名目で徴収される。有効期間は3ヶ月間で、音声通話に使える200ブータンニュルタム分の初期残高を含む。SIMカードのサイズはMini SIM(2FF)のみで、Micro SIM(3FF)またはNano SIM(4FF)の端末で利用する場合はSIMカードのプラスチック部分が切断される。

SIMカードの購入には申込書の記入が必要で、申込書の項目こそ多いが、購入したいSIMカードを口頭で伝えておけば、氏名、パスポート番号、国籍、署名および申込日を記入してリーガルスタンプを貼れば問題ないと言われた。

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Tashi InfoCommのSIMカード


【周波数など確認】

Tashi InfoCommがLTEサービスで使用する周波数はAPT700 FDDとも呼ばれるFDD-LTE方式の700MHz帯(Band 28)である。APT700 FDDはLower Duplexer(Band 28A)とUpper Duplexer(Band 28B)が存在し、Tashi InfoCommのLTEサービスを利用する場合は少なくともLower Duplexerに対応した端末を用意する必要がある。帯域幅は20MHz幅×2、通信速度の理論値は下り最大150Mbpsおよび上り最大50Mbpsとなる。なお、3GはW-CDMA方式の850MHz帯(Band V)、2GはGSM方式の900MHz帯である。

筆者はAndroidを搭載した「Galaxy Note5(型番:SM-N9200)」(Samsung Electronics製)でTashi InfoCommのLTEサービスを利用できた。iPhoneなどのiOS搭載製品で利用する場合は対応周波数を確認の上、iOS 10以降のバージョンにアップデートしておく必要があるため注意したい。

【データパッケージに加入】

データ通信料は従量制で午前7時から午前12時は1KBあたり0.0005ブータンニュルタム、午前12時から午前7時は1KBあたり0.0002KBとなるが、データパッケージに加入できるため、データ通信をよく利用する場合はデータパッケージの購入を推奨する。データ通信容量は1GB=1024MBで計算される。

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Tashi InfoCommが提供するデータパッケージの内容と申請方法

データパッケージの購入前にはデータパッケージの金額以上の残高を確保する必要があり、必要に応じてチャージする。筆者は800ブータンニュルタムをチャージしてChenpo Planを購入した。チャージやデータパッケージの購入は直営店で申請すればスタッフがすべて処理するため手間が省ける。なお、ダイヤル画面で*770#に発信してデータパッケージの利用可能なデータ通信容量や有効期限を確認できる。

【快適に使えたLTEサービス】

開通後すぐにLTEサービスを利用可能で、APNは「ticlnet」だと案内された。適当な文字列でもデータ通信を利用できたが、案内通りに設定した方が無難である。テザリングも問題なく利用できた。

Tashi InfoCommはティンプー、パロ、プンツォリン、プナカ、ワンデュ・ポダンをLTEサービスの提供エリアとし、LTEサービスの提供エリアはBhutan Telecomより広い。Bhutan Telecomより後発で加入者が少ないTashi InfoCommはLTEサービスで優位に立ち集客する狙いがある。

ティンプーやパロの市街地では快適にLTEサービスを利用できたが、郊外に行くと3Gや2Gとなることや、山間部やティンプーとパロを結ぶ道路ではBhutan Telecomとともに圏外の場所も少なくなかった。ブータンではホテルの無線LANが不安定な場合も多く、ティンプーのホテルは通信速度が遅いため実用的に使えず、パロのホテルは無線LANが利用不可だった。いずれもTashi InfoCommのLTEサービスは整備済みで、常にメイン回線として大活躍してくれた。

質問などは7700に電話をかけると顧客対応窓口につながる。音声ガイダンスではなくスタッフが直接応答するため、すぐに質問できる。ブータンの公用語はゾンカ語であるが、ブータンでは一部科目を除いて英語で教育しており、Tashi InfoCommの直営店や顧客対応窓口であれば英語が十分に通じる。

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Tashi InfoCommのLTEネットワークに接続


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Tashi InfoCommのLTEネットワークに接続して通信速度を測定


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パロにあるTashi InfoCommの基地局


【代理購入も依頼可能】

SIMカードは代理購入も可能であり、ブータン渡航前にガイドまたは旅行会社などの手配業者に代理購入を依頼すれば、到着直後にガイドからSIMカードを受け取れる。代理購入してもらえばSIMカードの購入に費やす時間を観光などに使える。なお、ブータンではインド、バングラデシュ、モルディブの国民を除いて短期滞在の外国人は基本的にガイドが同伴する。

筆者は査証申請時にパスポートのコピーを手配業者に提出済みで、SIMカードのサイズさえ指定すれば代理購入が可能と言われたが、携帯電話事業者の関係者に話を聞く予定があり、SIMカードの購入プロセスを把握するためにも自分自身で購入した。

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チベット仏教の聖地で外国人観光客からの人気も高いタクツァン僧院の近辺は2社とも圏外となる場所が多かった


記事執筆:田村和輝


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