東京V戦にはキャプテンマークを巻いて出場した玉田。攻撃陣を牽引した。写真:滝川敏之(本誌写真部)

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 沖縄キャンプ5日目、名古屋は前日の広州恒大戦(1-6)に続いて東京Vとの練習試合に臨み、2-3で敗れた。田口とシモビッチがそれぞれゴールを決めたが、前日に続き複数失点を喫し、沖縄でのテストマッチは連敗となった。
 
 そのなか、風間八宏監督が賞賛したのはシモビッチのゴールをアシストするなど攻撃に変化を加えた玉田圭司のプレーだ。
 
「彼はトレーニングでやっていることを自分の武器として戦ってくれている。ボールを取られない。ボールを受け続けられる。自分たちがボールを奪われた時も取り返そうとする。その辺はさすがの選手だと思います」
 
 そう褒めちぎられているとは露知らず、当の本人には次のように試合を振り返る。
 
「手ごたえはあんまりないですね。負けているからというのもあるし、もちろん勝ちたいですが、まあ練習試合なので結果どうこうというわけではないんです。ただ、日々、練習でやっていることが試合でやれていない。試合だとビビッてしまう。ミスをしたらどうしようという気持ちは分かるけど、こういうところで出していかないと。自分を表現する場所は練習じゃなく、試合だと思うので。まだまだ足りないと感じます。
 
 次につながるプレーが少なかったです。ミスしなかったらOKではなくてミスをしても良いからどんどんトライしてほしい。誰がどこに配置されようが練習でやってきたことをしていかないと、外からの攻撃は別に悪くないと思うけど、何のために外を使うのかとか、一人ひとりがもっと考えながらサッカーをして、同じ絵を描くことが大切になる」
 
 今年4月で37歳となる玉田は、楢粼に次ぐチームの年長者である。今オフ、3年ぶりに古巣に戻った男は、チームメイトを叱咤激励するかのようにこうも言葉を続けた。
 
「問題はすべて。もっとやるべきことをしなくちゃいけない。ビビッてサッカーをやっていたらこのままサッカー人生終わっちゃうよと、俺は思う」
 
 自らの成長に関しても貪欲だ。
 
「(今日は)ある程度、身体も動いていたし、数回は自分が思い描いたプレーはできたので、もっと増やしていきたい。ボールを受けてはたいてもう一回受けたり、決定的なパスを出すのは自分の良さなので、監督の指示はもちろん聞きますが、それはどんなサッカーでも消したくない」
 
 数センチ単位のパスの精度を求めるなど、難解だとされる風間サッカーに関しては「簡単ではない。でも、難しく考えれば考えるほど、難しくなってしまうから、シンプルに考えれば良いと思う。もっと簡単にできるところはあると思います」と話す。
 
 冷静に泰然と――、一つひとつの言葉に風格が漂うストライカーは、再び名古屋に歓喜をもたすため、静かに走り出している。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)