月刊誌として最後の発行になった「フルーツ」17年2月号(写真は「アマゾン」より)

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「オシャレな子が撮れなくなったこと」―――創刊から約20年続いた東京・原宿を代表するストリートスナップ誌「FRUiTS(フルーツ)」の月刊誌廃止理由がネット上で注目を集めている。

語ったのは同誌の創刊編集長で、出版する「レンズ(ストリート編集室)」代表の青木正一さん。青木さんといえば、東京・原宿界隈のファッションに自信のある若者たちが写真を撮影して欲しいと待ち伏せする「青木待ち」でも有名だが、いったい何があったのか。

「月刊誌の意味をなさない」

「フルーツ」は1996年創刊で、16年12月23日発売の233号をもち月刊発行を終了した。出版社レンズは「STREET(ストリート)」といったファッション誌を発行していて、どれも街を行くオシャレな若者のスナップ写真を掲載している。「フルーツ」は東京・原宿にいる個性的なストリートファッションをスナップしてきた。雑誌に掲載されることはステータスとして原宿界隈では受け止められてきた。そんな雑誌の発行終了理由について青木さんは、

「オシャレな子が撮れなくなったこと」

と、ファッションメディア「Fashionsnap.com」(17年2月4日配信)で語った。なぜ撮れなくなったのか、ネット上では青木さんの感性が枯れたから、だとか、そもそも紙媒体のファッション誌が売れなくなった、とか、様々な憶測が流れることになった。

J-CASTニュースが17年2月8日に青木さんに直接話を聞くと、

「ストリートスナップで凄くオシャレな子を撮影し載せてきましたが、オシャレをする子の数が減っていて、掲載可能な写真の数が激減してしまったからです」

と明かした。月刊雑誌という体裁上、ページを埋めなければならないが、そこで無理をして載せても雑誌の使命としては意味をなさないため、廃刊を決めたのだという。ただし、スナップは取り続けているため、数がまとまれば不定期に「フルーツ」を発行する用意はあるのだという。

ではどうして原宿界隈でオシャレをする若い女性が減ってしまったのか。

ファッションで自己主張をしようという意識の低下

青木さんは原宿の問題として、創刊当時に比べ街を訪れる人は膨大に増えたものの、オシャレとは言えない普通の人であり、エッジの効いたファッションを好む人がそこに埋もれてしまった。街の雰囲気も変わり面白い店も減ってしまった、という。

オシャレをしなくなったことに関しては、ファッションで自己主張をしようという意識の低下と、そもそもファッションにはカネを使わず服は量産型を志向するようになったこと、アパレル業界のチャレンジ力が弱まったなど、こうした複合的なものが要因ではないか、と話した。

かつてはDCブランドブームなど日本中の若者がファッションで盛り上がるムーブメントがあったが、日本のファッションはこのまま大人しいままなのかと聞くと、

「日本の若者のファッション能力は優れていますので、何かのきっかけでまた盛り上がる可能性はあります」

と話した。

青木さんの廃刊の理由に対し、ネット上の掲示板には、

「個性的でかつ斬新でお洒落って子はすくないと感じる。最近は地味目だしみんな同じようなファッションだもの」
「ユニクロ着てる貧乏キッズが増えたって事だろう。オシャレにかける金がねーんだろうな」
「レディーガガ並みに、他人と違う服装をすることを夢見る子達が、いなくなってしまったのは寂しいなぁ・・・」

などといった感想が出ている。