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産業技術総合研究所(産総研)は2月7日、ペプチドやタンパク質といった中分子や高分子を封入できる十数種類のナノカプセル(内径5〜40nm)を開発したと発表した。

同成果は、産総研 機能化学研究部門 界面材料グループの亀田直弘 主任研究員、増田光俊 研究グループ長らによるもの。詳細は2月10日に茨城県つくば市で開催される産総研 材料・化学シンポジウム「21世紀の化学反応とプロセス -快適な生活を支える機能性材料の新展開-」で発表される予定だという。

現在ナノカプセルとして活用されている「リポソーム」は、低分子には優れた貯蔵・送達機能を有しているが、分子量が数千〜数万の中分子、数万〜数十万の高分子に対しては、相当量がナノカプセルの外表面へ吸着してしまうため、効率的な封入が難しいという課題があった。また、その空間サイズを数nmスケールで制御することも難しいとされていた。

そこで研究グループは今回、安価な天然由来物質であるアミノ酸、糖、脂肪酸をカプセルの原料として選定し、合成条件の最適化を実施。その結果、1度の合成で室温では溶液中、乾燥状態のいずれにおいても長期間安定するナノカプセルを数十g規模で調製することに成功。また、内径サイズの制御にも成功し、内径サイズとして、5nm、8nm、12nm、20nm、25nm、30nm、40nmなどに分けて製造することができること、ならびにナノカプセルの内側をプラスやマイナスに荷電させることもできることを確認したとする。

さらに、このナノカプセルの形状は両端が開放しているチューブ型であり、化合物は混ぜるだけでカプセルの外表面へ吸着することなく、最大でその90%以上を封入できること、ならびにpHによってナノカプセル内側の荷電状態が可逆的に変化する性質を利用して化合物の封入と放出の制御が可能であることも確認したほか、安定的に長期間の保管ができることも確認したという。

なお、研究グループでは今後、分子量のより大きいタンパク質を用いて安定化効果の検証を進めるとともに、ナノカプセルの内径サイズや荷電状態のより精密な制御を目指すとしているほか、企業と連携して、産業用酵素や抗体医薬品のカプセル化・安定化の検証も進める予定だとしている。

(小林行雄)