V・プレミアリーグは2月5日までに男女ともレギュラーラウンドが終わり、ファイナル6に進出するチームが確定した。上位チーム、全日本選手が所属するチームを中心に今までを振り返り、今後を展望してみよう。


   今季限りで引退を表明している木村沙織の所属する東レは、1レグでは5連敗するなどリーグ中盤では入れ替え戦に回る7位まで落ち込んだ。「サオリンのラストゲームは入れ替え戦か?」と心配されたが、12月のリーグ中断期間に行なわれた皇后杯からチームが導入した、木村と妹のリベロ美里がふたりでサーブレシーブを担当するフォーメーションが当たり、ようやく復調。最終順位は6位だが、7位には大きく水をあけて、無事ファイナル6に駒を進めた。

 リオ五輪代表の迫田さおりは「ファイナル6に向けて詰めていかないといけないところが、まだまだたくさんある。そこをクリアして、チーム力をアップしていきたい」と意気込みを語った。木村も「残りの試合を後悔のないよう戦っていくだけ」と闘志を胸に秘める。


今シーズン限りでの引退を表明している木村沙織。コート上で見られる時間は限られている


 レギュラーラウンドを1位通過したのは、ポスト・サオリンの一番手、古賀紗理那を擁するNECだ。古賀も初戦は調子が上がらず、途中交代させられる場面もあったが、それ以降はチームを引っ張るベテラン近江あかりとともに調子を取り戻し、勝利にに貢献。最終的に勝ち点43で3チームが並んだが、勝利数で上回り、首位通過を決めた。

 リオ五輪メンバーから落選してから、記者会見でも硬い表情の多かった古賀だが、終盤はすっかり吹っ切れて、のびのびとプレーした。近江は「ファイナル6も、勝つことはもちろん、見に来てくださる方におもしろいと思ってもらえる試合をしたい」とファンにアピールした。

 久光製薬は序盤から上位をキープ。終盤に少し足踏みしたが、最終週に連勝してセット率で日立を上回り、2位でレギュラーラウンドを終えた。リオ五輪代表のポイントゲッター長岡望悠は、アタック決定本数がポリーナ・ラヒモワ(トヨタ車体)に次ぐ2位。アタック決定率でもミドルブロッカーが上位を占める中、6位に食い込む成績を挙げている。長岡がコンスタントに得点し、攻守の要、新鍋理沙がフル稼働すれば、連覇も遠くないだろう。

 さらに、リーグ途中で故障していたミドルブロッカー岩坂名奈の復帰も明るい材料だ。187cmの長身はやはり、相手アタッカーにとっては無視できない高い壁。全日本の監督が久光製薬総監督の中田久美になったことで、全日本への復帰の可能性も十分考えられる。その岩坂は「昨季のファイナルラウンドは、他力で進出できた危なっかしいものでした。今季はしっかりと自力で決勝に駒を進めたいです」と力強く語った。

 3位の日立は松田明彦監督が掲げる「速いバレー」が前半戦は機能し、いいスタートを切った。しかし、皇后杯決勝ではことごとくトス回しを読まれ、久光のブロックの餌食となり、優勝を逃した。リーグ後半は立て直したが、セット率で及ばず3位でレギュラーシーズンを終えている。

「速いバレー」を支えるのは、サーブレシーブ賞を受賞したリオ五輪正リベロ・佐藤あり紗の正確なレセプション(サーブレシーブ)だ。「リオ五輪では悔しい思いをした」という佐藤がレセプション、ディグ(スパイクレシーブ)ともに拾いまくり、多彩な攻撃を仕掛けられれば、チーム初の優勝が見えてくる。
 
 一方でリオ五輪正セッターの宮下遥が所属する岡山は7位に沈み、入れ替え戦に回る。終盤、11連敗と記録的な連敗を喫し、なんとか最終日のPFU戦で止めたとき、宮下の目には光るものがあった。「ずっと勝てなくて苦しかったんですけど、最後の最後に勝てて、本当によかったです。必ず入れ替え戦も勝って、来年はプレミアリーグで優勝を目指します」と嗚咽で途切れながらもコメントした。

 ファイナル6は6チーム総当たりで、3位以上がファイナル3に進む権利を得る。レギュラーラウンドの順位によってポイントがあらかじめ加算されるため、上位通過したチームの方が有利な戦いとなる。順当に行けば、同ポイントで通過したNEC、久光、日立が有力だが、木村の最終試合を1日でも伸ばしたい東レの奮起にも期待したいところだ。


   男子は開幕以来、首位をキープしていたパナソニックが、最終日で3位転落という波乱。もっとも最初から綱渡り状態で、ポーランド代表主将の助っ人ミハウ・クビアク、全日本主将の清水邦弘、福澤達哉ら主力に故障が相次ぐ中で、チーム力を底上げすることで何とか維持してきた首位だった。最終週に連敗し、勝ち点を上積みできなかったのが悔やまれる。

 さらに、その最終戦ではクビアクが再度、故障という不幸にも見舞われた。全日本正セッターの深津英臣は「正直、ケガ人も続出して、チーム状況は最悪です。でも、前を向いていくしかない」と悲壮な表情で話す。川村慎二監督は「今季はケガ人が多く、大きなケガだけでなく、小さなケガもあり、なかなかしんどいシーズンとなりました。しかし、池田(政之)や今村(貴彦)といった、代わりに入った若い選手たちが成長してくれて、嬉しい誤算となった。久原(翼)も、安定したプレーを見せてくれましたし、この経験を必ずファイナル6以降につなげたい」と若手のさらなる成長を期待している。

 1位通過した昨季覇者の豊田合成は、最終週前に首位争いをする東レに敗れ、エースの高松卓矢が「1位通過は難しいと思うので。2位通過を目指したい」と語っていた。しかし、最終週にパナソニックがサントリーに敗れ、東レも入れ替え戦のかかったJTにストレートで敗れる波乱があり、わずか1ポイント差ではあるが首位が転がり込んできた。

 フルセットの激闘になった最終日前日のパナソニック戦を、サービスエースで締めくくった高松は「興奮しすぎて、(試合終了の)笛が鳴る前にユニフォームを脱いで投げてしまいました」と照れ笑い。「(ファイナル6には)しっかり体調を整えて臨みたい」と力を込める。

 4位サントリーは最終日前日に4位が確定していたが、ジルソン・ベルナルド監督は「私は娘と遊ぶときですら負けるのが嫌い。これまでパナソニックさんにだけは1度も勝ってないので、明日は必ず勝ってファイナル6につなげたい」と宣言し、それを遂行した。

 ベテランの米山裕太はサーブの強化を根拠に、今後の戦いに手応えを感じているようだ。

「動作解析ソフトを活用して、サーブが成功したときとミスした時の映像を見せてもらい、その差がはっきりとあったので、修正ができた。サーブは得意なプレーではなかったが、今は『どうやって相手を崩してやろうか』という自信になっている」

 気になるのは全日本でもおなじみの柳田将洋だ。シーズン途中に故障で離脱し、1月28日の試合からピンチサーバーで復帰したが、まだ本調子にはほど遠い。本人に「ファイナル6に向けて」とコメントを求めると、「そうですね……まずは、ケガをしっかり治さないと。自分はまずそこからです」と複雑な表情を見せた。

 ファイナル6の最後の1枠をめぐる戦いは最終週、最終日、最終戦までもつれ込んだ。争ったのは名門の堺とJT。ともにそれぞれのチームの顔であるゴッツこと石島雄介と越川優が、ビーチバレーへの転向を宣言していた。石島のほうは1月になってシーズン途中での退団が発表され、堺は新体制で残りの試合に臨んでいた。

 最終日、先に試合を行なった堺は東レに敗れ、JTは最下位のFC東京にフルセットでも、勝ちさえすればファイナル6が決まるという状況となる。しかし、結果は痛恨のフルセット負け。最後は越川のバックアタックが無情にもシャットアウトを食らい、レギュラーシーズンの幕を閉じた。

 優勝争いは連覇を狙う豊田合成か、清水らが復帰したパナソニックの逆襲か、それともミドルブロッカーの攻撃が多い特徴的なバレーをする東レか。昨季もファイナル3に残ったこの3チームが有力だが、ここにきて調子を上げているサントリーも見逃せない。

 ファイナル6は、女子が2月12日(日)、男子が18日(土)にスタートする。今後は1試合、1セットが大きな意味を持つ。緊迫感が高まる中、どんな戦いが繰り広げられるか楽しみだ。

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