ルーマニアで汚職に関与した政治家を無罪放免にする緊急命令が可決されたことをきっかけに、市民50万人以上が参加する大規模デモが起こっています。

How Romania is developing its own culture of protest: view | Euronews

http://www.euronews.com/2017/02/06/view-romania-politics-protests-corruption

ルーマニアを揺るがす大規模デモの様子は以下のムービーで確認できます。

Thousands March in Romania Anticorruption Protest - YouTube

Romania protests: Victory for people power - YouTube

Why is Romania suddenly in turmoil? - Inside Story - YouTube

2017年1月31日付けで可決された緊急命令は、公金の横領などの罪に問われた政治家や官僚でも金額が4万4000ユーロ(約530万円)以下であれば刑を免除するという内容で、2017年2月10日に施行される予定でした。この緊急命令の審議は非公開で行われており、密室で急ぎ足で作られた法令という印象は否めません。

緊急命令の意義について社会民主党政権は、「刑務所の過密化を緩和するためのもの」と説明しましたが、2万4000ユーロ(約290万円)の公金を横領した罪に問われている社会民主党党首のリビウ・ドラグネア氏の罪を免除することで、過去に有罪判決を受け現在も公金汚職事件の被告人になっているドラグネア氏の首相擁立が真の目的であるという批判が挙がっています。



ドラグネア氏を含む数十人の政治家と数百人の官僚を免罪にする緊急命令が密室で可決されすみやかに施行されようとしている事態にルーマニア市民は激怒して、抗議デモが首都ブカレストを中心に勃発。首相府の周りに10万人を超える人が集まり、国会議事堂は人間の鎖で包囲され、ブカレスト中心部の勝利広場などにデモ参加者が集まり治安部隊と小競り合いになるなど、デモは緊急命令可決から日に日に規模が拡大し、Euronewsによると2月7日夜には60万人以上の人がデモに参加したとのこと。



ルーマニアの人口は約2000万人なので、40人に1人以上の割合の国民がデモに参加しているということがデモの大きさを物語っており、1989年にチャウシェスク政権が打倒されたとき以来の歴史的レベルのデモになっています。



By Denoel Paris and other photographers

国民の40人に1人以上が参加するという大規模なルーマニアのデモですが、かつてのルーマニア革命時のデモとは違う性格であるとの指摘もあります。かつてのデモが特定のリーダーの指導の下に政治的なイデオロギーを原動力にして生まれていたのに対して、2017年のルーマニアのデモは個々人の「ネットワーク(つながり)」が中心になっているとのこと。そのため、デモ参加者同士が「Distractie placuta!(楽しもうぜ!)」と互いに呼びかけ合う光景も確認できたとEuronewsは伝えています。





あまりのデモの規模に慌てたルーマニア政府は2017年2月5日に緊急命令を撤回しましたが、市民の反発は収まることがなく、内閣の閣僚の総辞職を要求して抗議デモが続けられています。政権発足から1カ月しかたっていないこともあり、ソリン・グリンデアヌ首相は、「われわれに投票してくれた有権者に対する責任がある」と述べ退陣要求を拒否していますが、「政府はごう慢で私たちをばかにしている。もう我慢できない。議会選挙で勝ったとしてももうこの政府は国民を代表していない」という市民の意見もあり、騒動がいつ収束するのか予断を許さない状態です。