C大阪に4年半ぶりに復帰した清武。2月5日には会見に臨んだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 先日、日本代表としても活躍する清武がセビージャから、古巣のセレッソへ復帰することを決めたね。Jリーグでプレーするのは実に4年半ぶりだ。
 
 世界のトッププレーヤーたちが集うヨーロッパを離れ、数ランクもレベルが下がる日本に戻る選択は、一般的には否定的に見られがちだけど、僕は良い判断をしたと思うよ。
 
 実際、どんなに理由を探しても選手は試合に出てナンボなんだ。いくらレベルの高い環境でトレーニングを積んでも、ベンチに座り続けていたらなんの意味もないよ。試合に出て、新たな発見を得るからこそ、プレーヤーはレベルアップすることができるんだ。
 
 それに清武の選択は今の日本代表の流れに沿っているとも感じられるね。代表を率いるハリルホジッチ監督は、以前は海外組を重宝する傾向にあったけど、最近ではどんなにネームバリューがあっても、クラブで出場機会を失っている選手は、代表でもベンチに座らせるというスタンスを取るようになった。
 
 その証拠にミランで構想外に近い扱いを受けている本田は代表でもベンチから試合を見守る機会が増えているよね。この指揮官の考えた方は今後も選手たちの去就に小さくない影響を与えるはずだよ。だって、これまでは“欧州組”という肩書きは、代表で試合に出られる“免罪符”のような効果を発揮していたのに、それが消失してしまうんだからね。 
 
 もっとも所属クラブでベンチに座り続けているのに、代表にはコンスタントに招集されるというおかしな状況は、日本以外ではなかなか見られないよ。でも、日本ではサポーターやメディアがそれを良しとしてきた背景がある。
 
 だって正直なことを言えば、いくら国内組が活躍しても、やっぱりお客さんが見たいのは本田や香川らスター選手のプレーでしょ。彼らふたりが活躍した方が新聞や雑誌が売れて、メディア側も嬉しいはずだよ。
 
 それでも、選手たちのなかで、クラブで試合に出られなくちゃ日本代表に参加できないという危機感が生まれたのは、良いことだと思うね。
 
 ましてや日本に戻ってくること自体は決して恥ずべきことじゃないよ。いくら実力があっても、監督の戦術に合わないなど、試合に出られない理由なんていくらでもあるんだ。それなのに、ヨーロッパでプレーをしたいという想いだけで向こうに残るのはナンセンスなことだと思う。
 
 例えば、セレッソで清武のチームメイトとなる山口は、約半年でドイツのハノーファーから国内に戻って、当初は批判の的となった。でも日本代表でチームを救う重要なゴールを決めるなど、しっかり結果を残したことで周囲を黙らせたよね。そういう意味でもプレーヤーはピッチの上での仕事で評価されるべきなんだ。
 
「海外組だから」、「人気選手だから」って評価ポイントが曖昧になるから、話がややこしくなるんだよ。
 最近では柴崎のスペインのテネリフェへの移籍が、多くのメディアで取り上げられたけど、盛り上がりすぎだと僕は感じるよ。これがレアルやバルサなど超一流クラブに入団したっていうことだったら分かるよ。でも、実際はスペインの2部のクラブだ。
 
 本来、大きく取り上げるべきはそのチームで柴崎が活躍をした時で、移籍した時ではないよね。なのに、盛り上がってしまうというのは、「海外チーム=凄い」という認識が日本人のなかで定着しているからだと思うんだ。その考え方を大きく変えない限り、日本サッカーが強豪国に勝って世界への頂点に近づくことは難しいよね。
 
 繰り返しになるけど、清武のJリーグ復帰は理解できる。ただ一方で、海外から日本に戻る際、古巣を選択する選手が多いのは気がかりだよ。
 
 自分を育ててくれたクラブに恩を返したいという気持ちはよく分かる。日本では“情”が大事にされ、そのこと事態は素晴らしいと思う。
 
 でも、プロの世界ではもっとシビアになるべきだとも感じるよ。清武の獲得に関してはヴィッセルやサガンも手を挙げたと聞くけど、もっと争奪戦になっても良かったんじゃないかな。選手としても古巣への復帰を優先するのではなく、自分がより成長できる場所を見定める“目”を持つべきなんだ。
 
 いずれにしても清武は大きな覚悟を持って日本に戻ってきたはず。だからこそ、今後はより奮起してもらいたい。彼が良いプレーをしてJリーグが盛り上がれば日本サッカーにとって大きいことだし、代表の強化にもつながるはずだよ。