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かねてより「DMM.make」ブランド内で3Dプリント事業を展開しているDMM.comが、同業種のアイジェットを完全子会社化した。これにより、アイジェットのオフィスは「DMM.make 3D PRINT TOKYO Factory」と改称することになった。

競合であった両社が統合することで、事業規模の拡大以外にどんなメリットが生まれるのだろうか。本稿では、7日に開催された「DMM.make 3D PRINT TOKYO Factory」の披露会見の様子をお届けする。

○DMM.makeへの投資目的は「先行者利益」

今回のアイジェット子会社化により、国内でも有数の規模となったDMM.makeの3Dプリントサービス。参入時には当時としては最新の業務用3Dプリンタを大規模導入したことでも話題になったほか、現在も3Dプリンタなどのプロトタイピング機器を備える複合施設「DMM.make AKIBA」を運営している。

DMM.comホールディングス 松栄立也 代表取締役社長は、過去に記者から経年による機材の型落ち問題など、事業計画や利益回収について聞かれたことを明かし、その投資目的は「先行者利益」であると明言した。

これまでに、「DMM.make AKIBA」ではメイカーズブームの火付け役であるクリス・アンダーソンらの訪問を受け、中高生の修学旅行のコースにもなっていることに言及。過去に導入した機材のスペックが経年により見劣りする点はスタッフの知見で補っていることを挙げながら、よりレベルの高い3Dプリントサービスを目指し、アイジェットとの事業統合を決定したという。

○アイジェットは3Dプリンタへの「インプット」が強み

続けて、アイジェット 久米原勝 代表取締役社長が、DMMホールディングス傘下となった経緯を説明。スタートアップ企業であった同社は創業以来業績は順調に推移していたが、DMMのクラウドファンディング支援サービス「DMM.starter」を利用したことで、同社と事業を統合することでより発展できると判断し、久米原社長自ら、DMMの亀山会長に提案を行って今回の子会社化が実現したという。

3Dプリンタによる出力サービスとしては競合している両社だが、DMM.makeでは個人ユーザーによる手軽な利用を想定し、現在展開している自動見積もりによるWeb注文サービスを継続。アイジェットでは企業からの高度な要望に対応する個別対応サービスを提供する。

また、アイジェットでは3Dプリンタへ入力する3Dデータのモデリング、3Dスキャンなどに注力しており、この分野でのBtoB利用を見込んでいる。

○DMM提供のゲーム×3Dプリントサービスも今後展開

DMM.makeとアイジェットでは共通している出力素材もあるが、今回発表された"住み分け"により、同じデータを出力しても金額に差が出ることになる。価格設定は今後統合していく方針だが、対象ユーザーが異なり、かつレギュレーションは異なり、アイジェットのサービスのほうがより精緻な指定(0.2mmレベル〜)が可能だという。

アイジェットではフィギュア、エンタメ系の業務も多く受けており、ゲームの設定画など2Dイラストを元にした3Dデータのモデリングや、ゲーム用の3Dデータを3Dプリント用に調整する業務も受けている。また、自社設備である3Dスキャナで取り込んだ人物の3Dデータをそのままゲーム内でのアバターに活用する技術も披露され、「具体的な例は非公開」としながらも、今後ゲームコンテンツでの活用を見込んでいる。

ゲームといえば、DMMでは「艦これ」「刀剣乱舞」など強力な人気を誇るブラウザゲームを展開している。自社ホールディングス内でのシナジー創出も「現在準備中」とのことで、今後何らかのコンテンツのグッズがDMM.makeのオンラインマーケットで購入可能になるとのこと。

フィギュアの再現性の問題で、3Dプリンタによるフィギュア生産はIPホルダーからNGを受けることも多かったそうだが、アイジェットとの統合による体制強化、3Dプリンタの性能の向上などで実現できる状態になっているという。

(杉浦志保)