ベトナムでのカジノ解禁はどう転ぶか(写真はCity pass guide.comより)

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 ベトナムで自国民のカジノ入場が合法化された。

 ベトナム政府は1月23日、自国民のカジノ入場を条件付きで許可する政令を公表、3月25日から施行される。

 ベトナムのカジノは、外国人のみの入場が許可されていた。しかし、国内で初めて許可されたドーソンカジノでは2008年〜2012年に累計1690億VND(約8億4500万円)の赤字を計上、クアンニン省ハロン市で唯一の外国人向けカジノを経営するホアンザー国際株式会社も2016年の業績を発表し、約360億VND(約1億8000万円)の赤字を計上した。

 ベトナムのカジノの不況は、入場客が外国人に限定されていることに加え、広くない国土に8か所も設置(免許は10か所に交付)されているという「過剰供給」が原因とされていた。

◆自国民入場許可に期待するベトナムのカジノ

 政令の内容によれば、ベトナム人のカジノ入場が認められる条件としては、1:満21歳以上であること、2:月収が1000万VND(約5万円)以上であること、3:民事行為能力を有すること、4:入場料を支払うこと等が定められた。

 日本でもIR設置が国会で議論されるなか、注目されるのは「依存問題」対策であるが、この度の政令では、入場料と自己排除プログラム、また許可期間の制限が設けられている。

 まず入場料であるが、1人につき24時間で100万VND(約5000円)、1か月で2500万VND(約12万5000円)となっている。ベトナム人の平均年収は、日本円に換算して約30万円〜60万円。一般的な日本人の年収で考えれば、入場料は24時間で10倍の5万円程度と考えられる。かなり高額な入場料だ。

 また自己排除プログラムも低起用している。本人や家族(両親、養親、配偶者、実子)から入場を認めないよう要請する文書が出されれば入場は出来ない。勿論、犯罪履歴がある人も同様だ。ベトナム政府は、ベトナム人のカジノへの入場は3年間試験的に適用し、その結果を見て自国民のカジノ入場を継続するかどうかを決める。

◆ベトナム富裕層を繋ぎ止めるための施策

 この度の政令は、カンボジアや香港、マカオ、シンガポール等の海外カジノに流出するベトナム富裕層を食い止め、年間10億ドルともいわれる「賭博収入」を国内に計上させるための方策である。

 報道によれば、ベトナム財務省の金融・ファイナンス部門のファン・ティ・トゥ・ヒエン次席は「アジア域内の各国の実情を調査し、ベトナムでも同じことができるはずだと考えた」と記者会見で答えている。

 ベトナムではカジノの自国民解禁のほか、こちらもやはり試験的な施策として、21歳以上の国民に、国際サッカー連盟(FIFA)管轄のサッカー国際試合を対象とした賭博を、3月中旬から認める方針を明らかにしている。

 1試合の掛け金は、上限100万VND(約5000円)としているが、社会主義国としては異例の措置ともいえる。

 他方、ベトナム東南部地方にある国内最大のテーマパーク「ダイナム公園」には、1月29日、複合競馬場がオープンしている。公園には、競馬場と大型バイクレース場のほか、ドッグレース場、水上オートバイレース場、自転車レース場を展開する。

 ベトナムの「賭博解禁」により、富裕層はともかく、一般の国民がどのように変化するのか。ベトナム政府が、莫大な賭博収入を得る反面、失うものがあるのかに注目である。

<文・安達 夕>