美しかったです…インタビューに応じたギャスパー・ウリエル

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 美しき天才グザヴィエ・ドランによる、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞の話題作『たかが世界の終わり』で主演を務めた“フランスの超美形”俳優ギャスパー・ウリエルが昨年来日した際に、今後一緒に働いてみたい人に日本人監督の名をあげる一幕があった。

 若くして才能を発揮してきたドランのもとに、ウリエル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセルらフランスを代表する豪華俳優たちが顔をそろえた本作。ある決意を胸に久々に帰省した主人公のルイは家族と再会するものの、みんながお互いの距離をうまくつかめずに、ぎくしゃくする様子を独特の感性で切り取った家族の物語だ。

 27歳にしてその名を映画界にとどろかせているドランとの初タッグについて、「世間では、彼が若くしてたくさんの映画を撮っているということを強調しがちなところがあると思います」ときっぱり言い切るウリエル。「もちろんそれはすごいことだなと思います。監督が多くのスタッフを率いて、自分の威厳っていうものを尊重させてやっていくというのは、並大抵のことじゃないですから。しかも今回、ヴァンサン・カッセルなんていう個性の強い俳優がいたので、大丈夫かなという思いもありましたが(笑)、自分としてはそういう心配をすること自体、意味がないなと思いました。監督業に年齢っていうのには、全く関係のないんじゃないかという思いに至りました」とドランに最上級の賛辞を贈る。

 また、本作にフランス映画界における第一級の俳優たちが集っているとあって「撮影する前からすごくワクワクしながら、やっぱり緊張するなというときもあったのですが、幸いなことにマリオンとレアとは共演したことがあったのと、ヴァンサンは共演したことがなかったんですけれども、数年前から知り合いだったので、そういう意味ですごく楽でした」と振り返る。売れっ子俳優たちだけに、スケジュールの予定を合わせるのが難しく、全員がそろったのは8日間だけだったそう。「短い期間だったからこそ、求められている演技をするために、それぞれの役者が一瞬一瞬で自分自身と厳しく向き合っていました。誰もがグザヴィエ・ドランの映画をすばらしいものにしたいと、この映画は本当に大事なんだと、一丸となっていましたね」。

 そして自らが演じた主人公を「エゴイスティックで残酷なところがある」と表現するウリエル。「自分の人生を生きたいがために家族を置いて出て行ったわけです。それは自分の運命を自分で切り開いていくという意味で仕方がないことなんですが」と理解を示しながらも、「家族を傷つけていたということは後になってからしか気が付けないものなんですよね」としみじみ。そんな主人公ルイは、言い争いする家族を前にしてもただ耳を傾け、煮え切らない態度でいる。「最初にドランからこの役について話をされたときには、まだ脚本が仕上がっていなかったんです。でもその時点で、ルイっていう役はどちらかというと受け身の、他者の話を聞くという、そういう演技が中心になるとドランから聞かされていたので」と裏話を明かす。

 そして完成した脚本にはドランからの念を押す手紙が添えられていたという。その手紙には「この脚本を読んだらセリフが少ないということがわかると思うけど。だからといって、ルイという人物が重要じゃないというわけではなく、語らずともちゃんとした存在感があるんだ。この物語はルイの視点を通して語られていくんだよ」とつづられていたことで、脚本を読むときに「あ、この行間に僕のやるべきことがあるんだな」と想像することができたそう。その甲斐あってか、ドランの分身的とも言えるような主人公にふんしたウリエルの演技はとても印象的だ。

 本作のほかにも、ジョニー・デップの娘リリー=ローズ・デップと共演した『ザ・ダンサー(原題) / The Dancer』(2016)や名女優イザベル・ユペール主演の『エヴァ(原題) / Eva』(2017年フランス公開予定)といった話題作にひっぱりだこのウリエル。今後働いてみたい人は一体誰なのか。「たくさんいますよ。たくさんたくさんたくさん!」と笑顔を見せつつ、「日本では是枝裕和監督がすごく好きで、河瀬直美監督も好きです。言葉にするのは難しいのですが、河瀬監督の作品にはまれにみる力強さがあるし、是枝監督の作品はドランの作品に似てると思っています。2人の作品には、俳優が演じてみたいって思う役があって、それをきちんと適した俳優に与えるんですよね」とするどい指摘をしていた。(編集部・石神恵美子)

映画『たかが世界の終わり』は2月11日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開