『ベテラン』『ベルリンファイル』のリュ・スンワン 監督も現状を訴えた

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 大統領府(通称:青瓦台)によって作成された“文化界ブラックリスト”をめぐり、韓国の映画人1,052人で構成される団体「ブラックリスト映画人対応行動」(仮称)の代表者たちが、現地時間2月7日の午前11時よりソウル市内の映画館にて記者会見を開催し、キム・セフン映画振興委員会委員長(通称 KOFIC)とソ・ビョンス釜山市長の辞退、および逮捕・捜査を即刻要求する宣言を行った。

 会見によると、韓国映画振興委員会は反政府的な作品を製作・上映する映画人だけでなく、映画製作・配給会社、果ては映画館までもリストアップし、ブラックリストに記載された個人・団体はKOFICの財政支援から除外、弾圧を加えたと「映画人対応行動」サイドは主張。

 また第19回釜山国際映画祭において、セウォル号沈没事件を扱った映画『ダイビング・ベル セウォル号の真実』の上映中止勧告を無視した映画祭に対し、釜山市が翌年度以降の政府支援資金を削減し、会計監査院へ使途不明金を告発した件にも触れ、「これらは現政権の意向によるもの」と説明。裁判の結果、イ・ヨングァン前執行委員長を含む4人の有罪が確定したが、これら一連の動きを主導した釜山市長をKOFIC委員長と併せて検察に告発することを宣言した。

 会見に出席した韓国独立映画協会代表のコ・ヨンジェは「『ダイビング・ベル セウォル号の真実』を上映した映画館はブラックリストに記載され、アートフィルム上映館への支援事業から除外された」と説明し、韓国映画製作者組合代表のアン・ヨンジンは「軍事独裁政権時代にはシナリオ検閲が存在したが、現在も政府主導の映画ファンドから支援を受けるためには企画段階から審査を受けねばならず、事前検閲に等しい。これは資本による弾圧だ」と主張。韓国映画監督組合副代表のリュ・スンワン監督も「これでは政府の意向に沿った映画しか撮れなくなってしまう。表現の自由に反する明らかな憲法違反だ」と政府の映画振興政策を非難した。

 この日、釜山国際映画祭を代表して映画祭プログラマーのナム・ドンチョルも登壇。「これは釜山市による明らかな報復措置。やっていることは暴力団と変わらない。イ・ヨングァン委員長は裁判所に控訴し、二審の準備をしている」と釜山市と争う構えを示すと、「映画人対応行動」は「自分たちは被害者であることを訴えているのではなく真相究明を望むだけ。このような過ちを二度と繰り返さないよう、責任を取るべき立場の者に責任を負ってほしい」と締めくくった。(取材・文:土田真樹)