ダゾーンが参入する今季のJリーグ。2シーズン制から1シーズン制へ戻ることばかり強調されている様子だが、変更されたレギュレーションの中でそれ以上に注目したいのが外国人枠だ。

 現行は3人に、アジア人選手、Jリーグと提携しているリーグの国の選手などから2人追加できる「3+2」の仕組みだ。それが来季は「3+1」に変更される。とはいえこれはベンチ入りできる選手の数。登録できるメンバーは5人に増えた。提携国枠は外国人扱いしないことも併せて決まっている。

 欧州や南米の選手を最大5人、チームとして抱えることが可能になったのだ。同時にピッチに立てるのは3人ながら、ローテーションを利かせることができれば、より豪華に見える。

 想起するのはクライフ時代のバルセロナだ。外国人枠3人の時代。だが、ベンチ外にはもう1人置くことが可能だった。クーマン、ラウドルップ、ストイチコフ、ロマーリオ。この4人をクライフはローテーションで回した。次第にラウドルップの出場時間が短くなり、クライフと対立。レアル・マドリーに移籍することになったーーとの尾ひれもつくが、メンバーは可能な限り豪華だった。それと似たようなことがJリーグでも可能になったのだ。

 ダゾーンの参入で、資金的にゆとりが生まれたクラブは少なくないハズ。その分で、増えた外国人枠をクオリティーの高い選手で満たして欲しいーーとは、よりレベルの高い試合が見たいこちらの願いだ。

 しかし外国人枠が満たされれば、その分、日本人選手の枠は減る。そのデメリットとメリットのバランスをどう取るか。気を配るべきは両者のバランスだ。

 昨今のJリーグを見て思うことは、有望な若手の減少とベテランの奮闘だ。後者が前者の蓋をしている。若手がベテランを越えられずにいる。外国人枠の事実上の増大も、若手の台頭を妨げる可能性を秘めている。

 昨季、JリーグでMVPに輝いたのは36歳の中村憲剛。日本代表を卒業したベテランだ。2年前のMVPは遠藤保仁、3年前は中村俊輔、4年前は佐藤寿人と、受賞者はその時、いずれも30歳を過ぎていた。

 欧州なら、他国のリーグへせっせと活躍の機会を求めようとするものだ。

 その昔、ボスマン判決の内容が施行され、事実上、外国人枠が撤廃されたた当初、スペイン人選手はそれでも自国に留まろうとした。自国を離れて生活することをストレスに感じる気質、他国の生活習慣に馴染みにくい気質だからとは現地で耳にした話だが、03−04シーズン、ベニーテス監督とシャビ・アロンソがリバプールへ移籍したのを機に、国外でプレイする選手の数は増加。それがいまや欧州の中で、自国以外のクラブからチャンピオンズリーグ本大会に選手を最も多く送り出している国に変貌を遂げた。国外でプレイすることに抵抗を覚える選手は大きく減少した。

 日本人選手も、かつてのスペイン人選手に似ている。欧州のクラブでプレイしたがっている選手は多いが、それは欧州が憧れの地であるからで、それがなければ、できれば海外には行きたくないと考えている選手は多いと思う。東南アジアでプレイする選手の数が増えているとはいえ、レベル的に拮抗する中国Cリーグ、韓国Kリーグでプレイすることは、念頭にないハズだ。日本人の監督を見れば、そうした気質は鮮明になる。欧州のクラブで采配を振るうことは憧れかもしれないが、お呼びが掛かる可能性はほぼゼロ。海外の選択肢は中国、韓国、東南アジアなど近隣諸国に限られるが、実際に出かけていった人はごく僅か。プライドがそうさせるのか、好んで出かけようとする人も少ない。

 選手も同じだと思う。だが、Jリーグにおける日本人枠が減少すれば、海外にプレイ機会を求めざるを得なくなる。広い門に走るのが自然の流れになるが、そうした心構えができている選手はおそらく少ない。だからといって、ファンは「外国人枠を減らせ」とは言わない。世界的に名の知られているレベルの高い外国人選手のプレイを望んでいる。それなしに視聴率アップは見込めない。加入者増も見込めない。

 一方で、日本人の選手が活躍の場を奪われ、よい選手が誕生しなくなってしまえば、日本代表は劣化する。イングランド代表とプレミアリーグの関係になってしまう。エンタメ性の追及と選手育成と。このバランスをいかに取るか。

 理想は、国内のクラブからも、国外のクラブからもチャンピオンズリーグに最も多くの選手を送り込むことができているスペインのいまの姿だ。中国Cリーグや韓国Kリーグでプレイする日本人が増え、そしてJリーグでもそれなりの数を保ち、結果として、アジアチャンピオンズリーグに出場する選手が、アジアで最も多い国になれば、日本代表はアジアで上位を維持できる。さらに欧州組が増えれば、世界にも近づける。さじ加減を間違えないようにして欲しいものである。